トラウマ解放の真実|よくある失敗と効果的な方法

 

トラウマを解放するには、まず土台が必要だと言われます。

でも、なぜそこまで丁寧に、時間をかける必要があるのでしょうか。

「早く楽になりたい」と思う気持ちは、当然のこと。

それでも、準備を飛ばしてしまうと、思わぬ形で痛い目に遭うことがあります。

このシリーズでは、そんな「リソース構築」の大切さを、

たとえ話を通してお伝えします。

読み終えた頃には、その理由が、きっと腑に落ちているはずです。

 

トラウマ解放が失敗する理由

 

これは、数百年以上前の話。

ポムと山口さんは、村のみんな10人と暮らしてました。

みんなで苦労して、家や村を作ってきました。

ある日、みんなで食料を調達しに出かけました。

家に戻ってくると、なんと! 家の一部が、燃えてました。

 

「うわっ! 私たちの家が!」

山口さんは、そう叫びました。

「これくらいすぐ消せる!」

そう思った山口さんは、自分の上着を脱いだ。

そして炎に向かって飛び込んでいきます。

「うわぁっ」

上着で、はたいて、はたいて。

 

「一緒に頑張りましょう」

村のみんなも、次々に上着を脱いで、加勢します。

でも、火は、消えません。

一部の火は、少し消えたように見えても、上着自体が、燃えてくる。

やけどを負う人も出てきました。

「もう無理だ」

一人が、力尽きたように座り込んだ。

それでも誰かが、また炎に向かっていきました。

気づけば、家の半分が、火の海になっていました。

 

 

その時、ポムは……

「きゃー」

一目散に、逃げていった~(笑)

でも、それでいいんです。

逃げる、離れる。

それは、自分の身を守るための、正しい反応。

 

上着だけで火事を消そうとする。

これが、リソース構築をせずに、被害体験の傾聴だけをすることです。

あるいは、リソースの準備をせずに、

技法を使ってトラウマ解放をしようとすることです。

それらをすると、フラッシュバックがひどくなることがあります。

症状が、かえって悪化することも。

支援者自身も、二次受傷という形で、精神的な疲労を蓄積させていきます。

相談者も、なかなか良くなっていきません。

これは、まさに、燃え盛る火事に、上着だけで立ち向かうようなことです。

上着をパタパタするだけでは、火事は消せない(笑)

どんなに頑張っても。

何回やっても。

 

それでも火は、どんどん、大きくなっていった。

山口さんと村人たちは真っ黒になって、疲弊していた。

 

 

大きくなる炎を目の前にして、ただ、呆然としていた。

どうなってしまうのか~!

 

 

よくあるトラウマ解放の方法とは

 

燃える家を目の前にして、誰かが言った。

「これじゃダメだ」

村のみんなで、近くの川に向かうことにしました。

みんなで、バケツに水を汲みました。

それを担いで、走って、家まで戻りました。

 

 

「よし、これで消せるはずだ」

そう言って、火に向かって、勢いよく水をかけます。

何度も、何度も、川と家を往復しました。

火事は、必ず消せる。

そう信じて、足腰が疲れ果てながらも、水を運び続けました。 

 

汲んでは、走り、かける。

汲んでは、走り、かける。

それを繰り返して、ようやく、その家の火を消せたのです。

「よし、消えたぞ!」

みんな、ほっとした表情を見せました。

でも、実は、その間に、火は、裏の家にまで、燃え広がっていたのです。

 

 

臨床現場で、リソースをやってから、トラウマ解放をすることについて

 

これが、少しリソースを準備してから、トラウマを解消するやり方です。

例えば、グラウンディングをやる。

安心できる場所を、少し感じる。

数セッションだけリソースを構築をして、

トラウマに入っていく、というようなことです。

相談者が、楽になった表情を見せたり、涙を流したり、開放感を感じたりするのです。

だからこそ、「これでいいんだ」「この方法で合っているんだ」と、

思ってしまいやすい。

実際には、ほんの少しずつ、トラウマという火事は減ってるのです。

でも、あまりにも効率が悪いのです。

表面的なトラウマは少しずつ解放できても疲弊するのです。

セッションの次の日、数日、時に数週間、調子を崩すこともあります。

 

それだけでは、なかったんです。

裏の家にまで炎が燃えていたのです。

家全体が燃えていました。

「また、あの水汲みを何往復もするのか……」

山口さんと村のみんなは、泥だらけになりながら、

その場に、ぐったりと座り込みました。

「もう疲れた……」

隣にいたポムは、バケツに溜まった水に、ちゃぷんと浸かっていました。

 

 

「いい湯だな~」(笑)

この火事、どうなってしまうのか~!

 

 

効果的なリソース構築の方法(炎は消えるのか)

 

裏の家にまで、燃え広がっていったのです。

「もう限界だ……」

みんなグッタリしていました。

そんな中、山口さんが言いました。

「川から水を引いてくるしかない」

村のみんなも立ち上がりました。

 

まずスコップで、地面を掘りました。

木や竹をつなぎ合わせて、大きな筒も作りました。

水を引く仕組み作りです。

何十時間も、汗だくになりながら、手を動かし続けました。

ポムも、木の枝をくわえて、運ぶのを手伝ってました(笑)

 

 

そんな中、悲劇が起きました。

自分たちの生命線である、食料貯蔵庫までもが、燃えてしまったのです!

これがなくなれば、冬を越すことが難しくなるかもしれません。

「私たちの大事な食料が……」

みんな愕然とします。

 

そして、水を引く仕組み作りに、疑問を持ち始めたのです。

「これで本当に、火を消せるのだろうか?」

「失敗したら、今までの時間が無駄になる」

みんなにとって初めてのことだからです。

それでも、みんなで話し合い、作業を再開しました。

「ここで諦めたら今までの苦労が無駄になる」

そう、自分たちに言い聞かせました。

 

 

これが、本格的なリソース構築です。

どんな相談者にも、こういうリソース構築が必要なのです。

あらゆる角度から、相談者のリソースを、じっくり構築していきます。

リソースという土台ができればトラウマは解放できるのです。

そのためにも、数ヶ月、一年、数年、リソース構築をやっていく必要があります。

一朝一夕にできることではないのです。

 

葛藤しながらも、村の人たちと山口さんは、手を止めませんでした。

ずっと、ずっと。

作業をし続けました。

一方で、火事は、どんどん拡大していました。

 

 

リソース構築の本領発揮(村の運命は?)

 

みんなで、川から水を引く仕組みを、ずっと作り続けていました。

そして、ついに!

水を引く仕組みが、完成しました。

水発射装置を、セットします。

「よし、いくぞ!」

大量の水が、勢いよく、火に向かって送り込まれます。

「うわぁぁぁ!!」

 

 

火が、みるみるうちに、消えていきました。

「消えた……本当に、消えたぞ!」

みんな、抱き合って喜びました。

でも、喜びだけでは、ありませんでした。

大切なものが、たくさん、燃えてしまっていたのです。

みんな、それぞれの喪失を、静かに悼みました。

 

それでも、いつまでも立ち止まってはいられません。

「新しい家を建てよう」

誰かが、そう言いました。

みんなで、木を運び、柱を立てていきます。

以前よりも、もっと自由に。

もっと、暮らしやすい形に。

 

そんな中、ふと気づきました。

家のすぐ近くに、大きな池が、できていたのです!

「これは……」

みんな、驚いた表情で、その池を見つめました。

その水は、村の暮らしを、少しずつ変えていきました。

畑の作物も、よく育つようになりました。

水の豊かな、新しい村に。

みんなで、食卓を囲みます。

ポムも、その輪の中で、嬉しそうにしてる(笑)

 

 

これが、リソース構築ということです。

効果的に、リソースを構築できれば、あの水発射装置のように、

トラウマによる生きづらさを、解放することができます。

生きづらさが、改善するだけではありません。

リソース構築を土台としてセラピーをやっていくと、

自分の心と体を、大事にできるようになる。

自分の強みも、発揮できるようになる。

人間関係も、楽になっていきます。

その人が、その人らしく、輝いていく。

村が、水によって豊かになったように。

人生そのものが、豊かになっていくんです。

 

今、振り返ってみると。

あの時の私たちは、火事を経験するのが、初めてだったんです。

どうしていいか、分からなかったんです。

だから、上着やバケツの水で、消せると思っていました。

今なら、分かります。

もっと総合的に、もっと効果的に、

火を消す「仕組み」必要なのです。

 

おしまい。

 

 

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