安心安全を構築するセラピー | あなたの人生を豊かにする 

 

オフィスPomuの総合トレーニング卒業生 Tomoko です。 

セラピーは何のために行うのか。 

『安心安全の構築』のために行うのではないかと私は思っています。 

そしてソマティック(身体)なアプローチは、

『安心の構築』に大いに役立つと言えましょう。

今回の記事ではトラウマケアでは必須な「安心の構築」をどのようにすればいいのか? 

そこをお伝えしていきますね。

 

安心安全が崩れ落ちた日  

 

2001年9月11日、アメリカで同時多発テロが起こりました。 

飛行機が超高層ビルに突っ込み、

火災の発生したビルが倒壊していきます。

その様子をテレビは刻々と写し出していました。

まるで映画のワンシーンのようでした。

もう20年以上も前のことですが、 私も凍り付くように固まって、

テレビの画面を視ていたことを思い出します。 

 

 

私はテロ事件の直接の当事者ではありません。

しかしその私でさえ、当時はテレビを視てショックを受け、体が固まったのです。

幸い今は思い出しても、自分の安全や安心が脅かされる感覚はありませんが。 

"20年前の過去に起った事件"として認識することができます。

このテロ事件に遭遇した人、家族や友人、恋人を失った人々が、

いまだにPTSD(心的外傷後ストレス障害)で苦しんでおられるでしょう。 

過去の出来事が、心の大きな傷になる。 

ふとした瞬間に何かがきっかけとなって、

あの時のことを『再体験』してしまう。

あたかも"今"起きていることのように 。

パニックして呼吸困難に陥る。

過度の緊張で身体が動かなくなる。 

これがトラウマのフラッシュバックによる身体症状です。

 

 

カウンセリング的な傾聴が傷を深める?! 

 

日本では2011年3月11日に東北大震災が起こりました。 

連日の報道に心を痛めた人も多かったでしょう。 

テレビの映像を通して、自然災害の恐ろしさを知りました。 

当時、多くの傾聴ボランティアが、

心の支援の手を差しのべようとしました。

ところが被災地へ行こうとする傾聴ボランティアに対して、ある意見が出ました。 

このような災害時にまず確保されるべきは、 

身の安全や食料、生活空間の確保である。 

トラウマ体験を被災者に"語らせる"ことは、 

さらに心理的な傷を深めることにしかならない。 

傾聴することが、逆に被災者を苦しめることになるのです。 

 

 

カールロジャーズの傾聴の功罪 

 

日本では戦後、カール・ロジャースの来談者中心療法が持ち込まれて、 

傾聴中心の心理療法が広まりました。 

心のしんどさを和らげるために、

話に共感して聴くことが、

傷ついた心の回復に役立つとされたのです。

自分の話に共感して聴いてもらえることが、 

心の助けになることは少なくありません。 

しかし自分の命に関わるような突発的な大きな体験(自然災害、テロ、戦争など)は、 

無理にその体験の話をさせることで、逆効果になる場合が多いのです。 

話すタイミングも大事な要因です。

また継続的で、日常的な辛い体験(例えば虐待、性暴力、DVなど)も、 

語ってもらうだけでは、関わり方によっては 

逆に体験した人の傷を深めてしまうことがあります。(二次被害) 

辛い過去の経験を他者に語ることは、 

その過去をもう一度想い起し、 

再体験』することにもなるからです。

安全・安心ではないトラウマ体験を繰り返すことと同じです。

まず身体の安全を確保する、無理に体験を語らせない、

そしてゆっくりと少しずつ、『安心』を取り戻す体験をしていくこと、

これらが必要です。

 

 

心身一如|心と身体は繋がっている 

 

『心身一如』という考え方があります。 

心と身体は別物ではない。 

心と身体は繋がっているという一元論です。 

心と身体が繋がっているならば、 

心に起きていることが、身体の症状に表れるというのは 

とても納得できることです。 

そしてもう一つ。 

その身体症状は"必要"があって出ているという視点です。 

 

 

発熱という身体症状 

 

たとえばみなさんが風邪を引き、発熱したとしましょう。 

発熱は身体症状です。 

解熱剤でいきなり熱を下げない方がいいとされています。 

インフルエンザウィルスなどは、

ヒトが発熱することで死滅するとも言われています。 

侵入したウィルスに対して、体を守る必要があるので 

その反応として発熱するのです。

言わば、体がウィルスと闘っていますよ、というサインなのです。

人には、もともと自己治癒力があります。 

使わなければ、その力を発揮できません。 

最初から症状だけを抑え込むために、薬に頼りすぎていては 

自己治癒力自己免疫力も育たないのです。 

外から異物が侵入してきたときに、

えるだけの体力や栄養を普段からつけておく。 

また発熱してしんどければ、早めに休息をとる。 

これらは自分でできることです。

『身体の安全』を守ることにもなります。 

そして、身体も安心します。 

 

 

『安心安全』を育てなおすためのセラピー 

 

トラウマのケアには、『安心安全の構築』が欠かせません。

身体的なアプローチで「安心安全」を構築するのです。

その方法の1つとして「今ここの安心感」があります。

支援者がクライエントが"今ここ"にある『安心』に気づき、

体感できるようにするサポートです。

今ここにある『安心』に気づく体験は、

始めはごく微細なことかもしれません。

例えば、今まで指先に入っていた力を少しゆるめることができた。

指先の力をゆるめても"今ここ"では大丈夫である、という体験。

 

 

「今ここ」と「過去のこと」を区別してもいるのです。

今はもう『安心』していいということを、少しずつ体感していくことで、

過去の呪縛から自由になっていくのです。

 

 

『安心安全』で人生の質を上げる

 

健康度が高い人でも、日々、緊張したり、傷ついたり、疲れたりします。

私たち支援者もまた、セルフケアが必要です。

クライエントにサポートしていることは、自分のケアにも使いましょう。

こまめに緊張をほぐし、疲れを取り、自分をメンテナンスすることは大切です。

自然に触れたり、運動をしたり。

好きな音楽を聴いたり、絵を見たり。

美味しいお茶を飲んで、ほっと一息というのもいいでしょう。

質のいい睡眠を取ることも大切です。

安心というは『安』らぐ『心』でいる、ということです。

なぜなら、人は安心しているときに、一番その人らしくいます。

そして、安心している人の身体は、安らいでいて自然体です。

安心を自分の中に培い、安心した心と身体を創る。

安心した心と身体で生きる。

それは、その人本来の力を発揮して、

自分の人生を生きているとも、言えるのではではないでしょうか。