人は、どうやって変わるのでしょうか。
この問いは、私がずっと探究し続けているテーマです。
カウンセリングでも。支援者のトレーニングでも。
結局いつも、この問いに戻ってきます。
そして、長年この仕事を続ける中で、一つ、はっきり見えてきたことがあります。
それは、人には、変わっていく順番がある、ということです。
私が現場で見続けてきた「人が変わる仕組み」について、お話ししたいと思います。
コンテンツ
人は、どうやって変わっていくのか?
対人支援者として、私たちはこの問いと、毎日向き合っています。
人は、どうすれば、楽になっていくのか。
どうすれば、苦手なことに振り回されず、自然体で生きていけるのか。
で、はっきり分かってきちゃった〜(笑)
それは、まず、「リソース」という土台が必要なのだ、ということです。
リソースという言葉は、とても幅が広くて、色々なものが含まる。
なので今日は、一番わかりやすい「安心感」を例にして、お話ししますね。
安心すると⋯⋯呼吸が深くなる。身体の力が抜ける。心に余裕が生まれる。
人が変わっていくには、苦手なことを克服するには、
この「安心感」が、まず何よりも必要なのです。
対人支援の現場でよくやっちゃうこと
私たちはつい、目の前のクライアントを「早く変えよう、動かそう」と焦ってしまう。
でも、本当に大切な順番は、そこではないのです。
安心感が育つと、もう一つ、不思議なことが起こります。
安心すると人は、自然と動きたくなるのです。
例えば、ポム。
安心して眠れる場所があり、ご飯があり、大好きな家族がいる。
だから、朝起きると、自然と庭へ出たり、ボールを追いかけたりします。
誰かに、「頑張れ」と言われたからではありません。
苦手なことに挑戦するぞ! なんて全く思ってない(笑)
安心できるから、土台があるから、自然と動きたくなる。
実は、私たち人間も、まったく同じなのです。
リソースという土台が育ってくると、安心してくると、自然と動くのです。
疲れたら、ちょっと休む。
話したくなったら、誰かに話す。
でも、人が変わる仕組み、まだまだ続きがあります。
「苦手なことを克服できる人」が必ずやっていることです。
苦手なこと克服する意外な方法とは?
心理療法に、「認知行動療法」「曝露療法」ってありますよね。
苦手なことに、少しずつ取り組みながら、新しい経験を積み重ねていく。
そうすることで、少しずつ、苦手なことを減らしていく。
でも、長年、トラウマの臨床を続ける中で、感じてきたことがあります。
離脱する人が多い。
で、こう言います。「途中で苦しくなって続けられなかった」
その理由は、リソースという土台がないまま、そこへ向かうのが、苦しすぎるのです。
身体は、まだ危険だと感じてる。神経系は、まだ安心できてない。
そんな状態で、「少しずつ挑戦してみましょう」
「まずは、苦手なことをイメージしてみましょう」と言われても、
身体は、「まだ無理〜」って叫んでる(笑)
だから、頑張ろうとしても、動けない。
人によっては、「やっぱり私はできなかった。」という経験だけを、
積み重ねてしまうことも。
例えば、ポム。
安心して眠る場所もなく、ご飯も食べられず、毎日ビクビクしていたら、
ボールを投げても、きっと、「え?」「だから何?」って無視するよ(笑)
今は、遊ぶどころではないのです。
でも、安心して眠れて、ご飯を食べて、家族とゆっくり過ごす。
そんな毎日が続くと、「ちょっと取りに行ってみよう」って、
自然にボールを追いかける。

誰かに、「頑張れ」「ボール追いかけなさい」と言われたからではない。
安心できる毎日が、ポムを、自然と動かしたのです。
リソースという土台が自然と次の行動へ進めてくれる
実は、私たち人間も、まったく同じ。
安心から自然に生まれる、「やってみようかな〜」
それを、小さな実験と呼んでいます。
苦手なことを克服する最初の一歩は、苦手なことではないのです。
小さな実験は、大きな挑戦ではありません。
例えば、無理して頑張っていることに気づいて、五分だけ休んでみる。
1分でもいい。10秒でも。
肩に力が入っている、それに気づいて、ふっと力を抜いてみる。
身体の声を聞いて、今日は早く寝てみる。
そんな、苦手なこととは一見関係ないような、本当に小さな一歩です。
そうやって、神経系が少しずつ整ってくると、ある日⋯⋯
「あれっ」「ちょっとやってみようかな」という気持ちが、自然と生まれてくる。
こういう小さな実験こそが、人が変わっていく最初の一歩なのです。
その後はどうなるのか?
その仕組みについては、図を使って説明していきますね。
人が楽になっていく仕組み(図で解説)
苦手なことを克服する最初の一歩は、苦手なことではない、ということでしたね。
その自然に生まれる一歩が、「小さな実験」
では、その小さな実験は、どうやって人を楽にしていくのか?
どうやって人を変えていくのか?
実は、人が変わる仕組みは、とてもシンプルです。
こんなイメージです。
⬇︎
【リソース(安心)】
⬇︎
【小さな実験】
⬇︎
【思ったより大丈夫だった】
⬇︎
【リソースが育つ】
⬇︎
【また小さな実験】
この図を、一つずつ見ていきましょう。
安心すると、「ちょっとやってみようかな」という気持ちが、自然と生まれます。
そして、その一歩は、苦手なこととは一見関係ないのです。
例えば、少し休んでみる。自分に優しい言葉をかけてみる。軽く散歩してみる。
そして、その小さな実験をしてみる。
すると、「思ったより大丈夫だった」という、新しい経験になる。
その経験が、また安心(リソース)を育てる。
そうすると次の「ちょっとやってみようかな」が生まれる。
この繰り返しで、人は少しずつ、変わっていくのです。
神経系そのものが、「これなら大丈夫〜」って、なっていくのです。
だから、以前なら怖かったことにも、自然と向かえるようになる。
人が楽になっていくプロセス
例えば、ポム。
最初は、ボールを取りに行くだけ。
「できたね」「すごいね」と、たくさん褒めてもらう。
その経験が、ポムの安心や自信になっていく。
すると今度は、寒い日に、「これを持っていったらどう?」とポムなりに考えて、
ブランケットを運んできてくれる(笑)
ポムにとっての「新しい小さな実験」です。
「できた」「思ったより大丈夫だった」そんな経験が積み重なることで、
また新しいことを、やってみたくなる。
大切なのは、いきなり頑張ることではありません。
思った以上に小さいことの方がいいのです。
安心を育て、小さな実験をして、「思ったより大丈夫だった」を、
一つずつ積み重ねていく。
その循環が、少しずつ、私たちを変えていく。私たちを楽にしていくのです。
でも、この循環には、実は、もう一つ、とても大切なものがあります。
それがあるからこそ、安心も育ち、小さな実験も、続けていくことができます。
それを次に、お伝えします。
人が楽になるのに、とても大切なものとは?
ここまでを、まとめると⋯⋯
「安心」と「小さな実験」を繰り返しながら、人は少しずつ変わっていく。
でも実は、人が変わるには、もう一つとても大切なものがあります。
何だと思いますか?
それは⋯⋯「場」です。
家族という場。
学校という場。
職場という場。
私たちは、そうした場の中で、傷ついたり、我慢したり、頑張ってきた。
自分らしくいられなくなることもあった。
回復や成長もまた、場の中で起こるのです。
例えば、ポムが子供の頃。
ドッグランに行き始めたのです。
そこには勢いよく走ってくる、大きなワンちゃんがいた。
ポムは、びっくりして、私の後ろへ隠れたのです(笑)
最初は、ドッグランの外から見てるだけにしました。
小さなワンちゃんとだけ遊ぶ日もありました。
そのうち私は、ポムを抱っこして、大きなワンちゃんに近づいてみました。
「ポム、大丈夫よ〜」って言いながら。
そういう段階を経て、ポムは大きなワンちゃんとも遊べるようになっていった。
ポムの心と体(神経系)が、「ここは大丈夫。」と思えるようになったのです。
もし、怖いからといって、ずっとドッグランに行かなかったら、どうだったでしょう。
きっと、ドッグランは、いつまでも、怖い場所のままだった。
場で傷つき、場で回復と成長する私たち
私たち人間も、同じです。
人が苦手だから、人を避ける。
そんな時間が必要な時もあります。
でも、安心できる場の中で、少しずつ、「小さな実験」を積み重ねていく。
見ているだけの日があってもいい。
少しずつ近づいてみる日があってもいい。
そうやって心と体(神経系)が、「ここは大丈夫。」と思えるようになっていく。
だから、人は、「場」で傷つき、「場」で回復していく。
でも、ふと思う。
回復や成長にはどんな場が最適なのか?
実は、もう一つ、とても大切な条件があります。
どんな場なら、人は変われるのか?
「安心」「小さな実験」「場」でしたね。
では、どんな場なら、人は変わっていけるのか?
それは、「自分のペースでいられる場」です。
こんな経験、ありませんか?
「今日は、しんどいな。」
そう思いながら、目をこすって、講義を聞き続けている。
「ちゃんとしなきゃ。」
そう思いながら、安心できない場所で、無理して参加し続けている。
世の中には、たくさんの研修や、トレーニングがあります。
知識や技術を学ぶ場として、それも大切です。
でも、そのやり方だけでは、神経系は育っていかないのです。
楽にはなっていかない。
「自分のペースでいい」
これ、シンプルなことです。
でも、それを戦略的に設計して、
本当に許可してくれる研修やトレーニングの場は、実はとても少ない。
場づくりを大切にするトレーニングを開催しています
総合トレーニングでは、場づくりをとても大切にしています。
その一つが、「自分のペースでいい」なのです。
例えば、Zoomでの実践会を開催しています。
疲れた日は、休んでもいい。
いや、休んだ方がいい。
画面をオフにしてもいい。
話したくない日は、聞いているだけでいい。
その人のペースを、大切にする。
決して「甘え」や「怠け」ではないのです。
神経系が、「これなら大丈夫。」と思える大きさで、小さな実験を続けていくためです。
安心という土台があるからこそ、
「少し話してみようかな。」
「練習に参加してみようかな。」
そんな、小さな実験が、自然と生まれる。
そういえば、総合トレーニング中、
ポムは、何をしていると思いますか?
私が、一番大事な話をしている時、横で、ぐーぐー寝ています(笑)
それでいいんです。
眠たい時は寝る。
起きたくなったら起きる。
遊びたくなったら遊ぶ。
ポムは、完全に自分のペースです(笑)
だから、私は、これからも、
そんな場を、大切に育てていきます。
あなたが楽になって現場の対応力を育てる総合トレーニング。
これからもずっと続けていきます。
あなたも、自分のペースでいいんです。
疲れた日は休んでいいんです。
そこにいるだけでいいんです。









