怒りを解放するソマティックなアプローチ よくある間違いとは?

 

怒りを抑圧している人、怒りがおさまらない人など、

怒りがテーマになることはカウンセリング現場でよくあります。

解決したい問題の奥に、怒りが関係していることも見落とせないですよね。

怒りという感情を解放するには、本当に多くのアプローチがありますが、

大事なのは、怒りは身体の感覚という理解がまず必要です。

身体の部分にアプローチするから、感情の部分が解放されるのです。

海外のソマティックなアプローチをお伝えします。

 

動画もよかったらどうぞ。

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パットオグデン先生の怒りの解放

 

パットオグデン先生はセンソリーモーターサイコセラピーの発案者です。

先生の著書の「トラウマと身体」は有名。日本でも翻訳されています。

その第2弾の著書がより詳しくていいんです。

でも、なんと800ページ。誰も翻訳したくないですよね(笑)

その中で、怒りについて興味深かったことお伝えします。

大事なのですが、ちょっとややこしいので、ゆっくり読んでくださいね。

 

 

怒りと身体記憶の関係

 

怒りは体レベルの記憶でもある。Implicit Memoryということ。

日本語では潜在記憶とか訳されますが、身体記憶という意味でBody Memoryの方がピンときます。

要するに、怒りを抑圧する時、私たちは目に力が入れたり、顎に力が入れたり、胸やお腹に力を入れる。

怒りを表現する時は、同じようにもなりながら、腕や上半身に力が入れる。

今から攻撃するような身体の状態になる。戦闘態勢なのです。

こどもの頃、怒られた時、そんなふうに、力を入れて我慢していたかもしれない。

歯を食いしばって、お腹に力を入れて、怒りを抑える。

この記事の冒頭の写真の女の子のように(笑) 

力入ってますよね。お腹、腕、顔など。

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心理カウンセリングでは、そのような「身体」や「姿勢」を探求することが大事なのです。

ムカつくことを思い出してもらって、目の前でそのようなポーズを取ってみてもらう、というようなこともいいですよね。

さらに、落ち着いているときはどのような体の感覚なのか? 

それとは逆に、イライラの時は? 怒りを感じている時は、体や姿勢がどうなるのかを一緒に探求するのです。

セラピーのセッションで、ムカついたことをずっと話し続けてもあまり変わりません。一時的な快楽で終わることが多いです。

そして、ここからが、もっと大事。

 

 

怒りがテーマにある人は、裏切られたことに反応する?

 

怒りを抑圧していたり、怒りがテーマになっている人は、

さっき言ったような姿勢や表情が影響して、「特定の刺激」に意識がいくというのです。

どういうことか? 怒りのテーマがあると、

「裏切られたこと」

「批判されたこと」

「脅威に感じること」

この辺に意識がいくのです。

例えば、怒りのテーマがある人は、批判されることにビクビクしていることもあります。

人に何か言われたことに関して、イラっとしたり、裏切られた!と感じ取ることもあります。

上記のようなことに意識がいくというのは、オリエンティング反応ということです。解説していきますね。

 

 

オリエンティング反応とは?

 

定位反応と言ったりしますが、文字通り位置を定めているのです。

私たちは環境という外側の世界に、意識を向けていますよね。

この場所は危険とか安全とか。道を歩いていて、「あっ、右斜め前から怪しい人が歩いてきた」とか(笑)

ある人を見た時に、穏やかな人と感じる人もいれば、なんだか嫌な感じがするという場合もありますよね。

私たちは内側の感覚や感情にも意識がいくし、外側の環境にも意識がいくのです。

さっきの怒りがテーマにある人の例だと、裏切りや批判に過剰に反応するということ。

その部分に意識がいき過ぎているのです。その部分にオリエンティングしているのです。

だからその裏切りに意識が行き過ぎるというオリエンティング反応にアプローチするということです。

もうちょっと具体的に説明していきますね。

 

 

心理カウンセラーはどのように怒りを解放すればいいの?

 

繰り返しになりますが、裏切られたこと、批判されたことなどに意識が行き過ぎるわけですよね。

そうだとしたら、カウンセラーの仕事は….なんでしょうか? 急にクイズ形式ですが、ちょっと考えてみてはいかがでしょうか?(笑)

 

まずは、そのようなクラインアントさんのオリエンティング反応に気づいてもらうということです。

「確かに、裏切られたことばっかりに反応している〜。」みたいに。

そして、意識を向ける先を変えたりするサポートをするということです。

姿勢も探求しながら、リソース的なことに意識を向ける、というようなことも出来ますよね。

ソマティックなアプローチまだまだあります。

 

 

ポリヴェーガル理論の発案者であるポージェズ博士の見解

 

さっきのパットオグデン先生と同じで、ポージェズ先生も怒りを身体感覚とか、

神経レベルで考える必要があると博士は言われます。

感情を吐き出すとか、解放するみたいなことではなくて、まずは身体の反応を変えるということなのです。

怒りがある人は、呼吸が浅いのです。とても基本的なことですが、ゆっくり息を吐くことで怒りとの関係が変わってきます。

当たり前のことですが、怒りがある人に深呼吸を促したり、ゆっくりと息を吐くことを促しているかということです。

ただ傾聴しているだけだとクライアントさん本人に気づきがありません。

次に、もっと大事な、ポージェズ博士の興味深い見解である、笑顔の危険性をお伝えしますね。

 

 

なぜニコッとスマイルすることが危険なのか?

 

怒りがテーマにある人は、裏切られた、批判された、ということに意識がいきやすいことをお伝えしました。

それと同じように、人の顔を認識する時も興味深い特徴があるのです。

というのは、怒りがテーマにある人は、人がニコリとスマイルしているのを脅威とか、皮肉というように受け取りやすいのです。

怒っている人に、笑顔で対応するのは危険ということです。脅威や皮肉と捉えられてしますのですから。

なぜそうなるのかヒントは口元だったのです。

 

 

怒りと顔の認識の深い関係とは

 

ポージェズ博士によると、進化論的に考える必要があると言う。どういうことか?

顔の下半分は口元ですよね。その口は、進化的に見ると「噛む」という目的もある。敵に襲われた時に「噛む」という意味です。

私たちがスマイルすると、口元がニヤリと口角が上がりますよね。怒りがテーマにあると、その表情を攻撃的だと認識するのです。

ちょっと実験なのですが、以下の写真をじっくり見てみませんか? 何が起こりますか?

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もしあなたがこの写真をみて、何かイラっとしたり、攻撃だと感じるのであれば、怒りのテーマがあるのかもしれません。

他の理由もあるかもですが、女性が嫌とか、日本人が嫌とか、メガネが….とか(笑)

確かに、ニコリとすると歯が見えますよね。

もうちょっと顔に力が入って、口角が上がれば「今にも噛みつくぞ! 私は怒っているのだ!」 

という表情に近いですよね。

怒りのテーマがある人が、攻撃だと認識しても不思議ではないと思いませんか?

 

 

心理カウンセリングの現場でとても大事

 

笑顔を「攻撃、批判、皮肉」と認識するということですよね。

そうであれば、心理カウンセリングの現場で気をつけなければいけません。

セッション中に、怒りがテーマにある人に、カウンセラーが苦笑いとかしたら、とんでもないことになります(笑)

よくやってしまいそうですよね。怒りを向けられて、カウンセラーがご機嫌取りという意味でニコリとしてしまったり。

もしくは、あえて楽しい話をして笑ってみたり。

ニヤリとすることでセラピーの効果が下がるのです。クライアントは脅威に感じるのです。

もちろん例外はあると思いますが、このポイントは知っておく必要があると思います。

 

まとめ

怒りは、吐き出すようにクライアントに話させても変化はおこらない。

怒りは身体へのアプローチが必要。

ゆっくりとして呼吸をする。

怒りの姿勢を探求する。

怒りのテーマがある人に、ニコリとし過ぎない。

 

怒りを解放する方法の一部をお伝えしました。

 

怒りを解放して、パウンダリーを構築するという

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