オリエンティング(定位反応)を活用したソマティックなメソッド

 

オリエンティング(何に意識を向けるのか)は地味な印象があるかもしれませんが、

心理カウンセリングでは、非常に大事な概念であり、プラクティスです。

でも大事さを語っている海外のカウンセラーは意外にも少ないのです。

そんな中、パットオグデン先生が一番しっかり語っておられます。さあ、ちょっと難しい部分もあるかもですが、最後まで頑張りましょう。

まずは動画をどうぞ。

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なぜオリエンティングが大事なのか?

 

私たちは、生きている時、常に五感を働かせています。自分の内側にも、外側にも意識を向けている。

目を使って危険なものはないか、大丈夫なのか? というように。オリエンティングしながら生きている。

ずっと何十年も、毎日毎日そう生きてきたのです。

だから、オリエンティングを学んだり、実践することで、人生の質が大きく変わるとも言えそうです。

ちょっと知っている人であれば、「オリエンティングというのは、周りをみてみましょうと促すことですよね。」と言われるかもしれません。

いやいや、とてつもなく深いものです。本1冊書けます。まあ…..書きませんが(笑)

 

 

オリエンティング(定位反応)とは

 

オリエンティングと言われても、あまりピンとこないかもしれません。

簡単に言うと、どこに意識を向けているのか? ということ。

今、まさにあなたの意識は、このブログに向いている。スマホとか、パソコンのモニターに意識がいっている。

ちょっとここで実験してみましょう。解離、離人症、シャットダウン傾向の人は、無理にしないでくださいね。

今いる部屋をグルっと見渡してみる。外であっても同じです。

どこに意識がいきますか?

は何をみていますか? は何を聞いていますか?

 

そして、その傾向に気づいてみる。例えば、部屋にある思い出のものに意識がいったかもしれない。なんとなく斜め上を見渡したかもしれない。

普段みているものに意識がいったかもしれない。別に、壁や床の細かい模様をじっくり観察してもいいわけですよね。でも、そうする人は少ないと思います。

人はみたいものをみている。

意識をしたいものを意識している。

意識的に自分で選択して注意を向ける、というのもあるし、無意識的に、反射的に意識を向けることもあります。

オリエンティングというのは、五感を様々な刺激に意識を向けるということ。現代人は目の役割が一番大きい。その次に耳でしょうか。

 

 

オリエンティングとトラウマ体験

 

トラウマを受けると、危険な人やもの、ショックを与えてきた人や物に、極端に意識を向けさせられるのです。

例えは、犬に噛まれたとする、その時の犬の顔とか、むき出した歯とか、ワンワンという吠える音に強烈に意識がいく。

これはサバイバルな反応ですよね。

アドレナリンとかが出て、覚醒状態になって、目を一点に集中させる。危険なものを特定して、危険を回避するためですよね。犬の状態を把握するのです。

そして、闘うか逃げるか、の反応もある。逃げるなら、どう逃げればいいのか? という空間認識をする必要がありますよね。首を動かしながら、目を使ったりもしながら。

走って逃げながらも、安全な場所はどこにあるのか? 逃げるには、どのルートがいいのか? というようになりますよね。

目、顔、体などを使って、オリエンティングしまくりなのわかりますでしょうか(笑)

だから、オリエンティングとトラウマというのは深い関係があるのです。

言い換えれば、オリエンティングを変えることが、トラウマから解放する一つの有力な方法なのです。

 

 

オリエンティングと愛着形成の体験

 

トラウマと同じように、親子関係の愛着でもそうです。

例えは、あまり関心を持ってくれない母親だったとします。色々な反応がこどもに出ると思いますが、こどもは母親の気を引こうとしますよね。

こどもは、どこにオリエントしますか? どこに意識を持っていきますか?

母親ですよね。お母さんの表情や言動ですよね。

「あっ、今お母さん機嫌わるそう」 だから、大人しくしとこうみたいに。

「あっ、お母さんこっち向いた」 おっ、これはチャンスかもみたいに(笑)

そんなのが1回とか、10回とかではないですよ。

毎日、何百回!

15年とか!

そのように培ったテンプレート的な傾向性が、大人になっても対人関係に出ても自然です。

人の顔色を伺いすぎたり、自分のことを無視しても人に関心を持ってもらえるように頑張ったり。

もっと親に関心を持って欲しかったから、関心を持ってくれそうな人に意識がいく。それがたとえ不健康な関心でも。

愛着の傾向性とオリエンティングの関係性が伝わりましたでしょうか。

 

 

トラウマからくる未完結なソマティック反応

 

ソマティックなアプローチで、オリエンティングは大事です。

例えば、左から父親の大きな平手が飛んできた、右の方向から罵声をよく浴びさせられた、後ろから殴られた、というのがあったとします。これは全て外側からの刺激ですよね。

右から、左から、後ろから、という方向が関係してくる。トラウマによって苦手な方向ができるのです。

抵抗がかかるスポットがあるのです。右斜め上みたいに。そこは、丁寧に探求して解放する必要がありますよね。

 

 

カウンセリングの現場では、苦手な方向が出てくることはよくあります。さらに、クライアントさんの頭が傾いてきたり、目が動いてきたり。固定されたりと様々な反応があります。

そこにトラウマを解放するヒントがあるのです。

 

トラウマの反応を解除するのに様々な介入が可能です。

闘争逃走などのエネルギーを解放する時にも、オリエンティングが大事になる。

目を向ける、又は目をそむける、というオリエント反応。

首の動き、首を振る動きとオリエント反応。

リソースとオリエンティング反応。

五感(特に目)を何か1点にフォーカスする。1点ではなく、逆にソフトにぼんやり、オリエンティングする。

2つ以上のもの同時にオリエンティングする。

あげればキリがないのでこのへんで。まとめると、トラウマ体験と私たちのオリエンティング反応が深く関係しているということです。

心理カウンセラーの役割は、クライアントが自由に、柔軟に意識を向けたいところに向けるようになる手助けをするとも言えそうです。

そんな中、解離や離人感、シャットダウン傾向がある場合は、より細心の注意が必要ということをお伝えしていきますね。

 

 

解離、離人感、シャットダウンしている場合

 

危険な目にあって、闘う逃げるが出来ないことが多いので、その場合、シャットダウンしますよね。

もう無理っていうように。その場合、目をはじめとする五感なども、ロックされる。固定されるのです。

シャットダウンすると、目はキョロキョロしなくなります。だってもう敵の場所を特定したり、戦わなくていいし、逃げるためのルートも探さなくていいのです。

意味があって、目をロックさせているのです。感じないように。痛みを最小限に減らす為に。

だから、そのようなクライアントさんには、一気にEMDRとか、目を左右に動かすとか、

部屋の周りをグルっとみてみましょうとか、促すのは危険です。

「混ぜるな危険!」くらい危険ですよ(笑)

 

私も昔は、どんな人にも言ってしまってました。「とにかく周り見てもらって落ち着いてもらおう」みたいに。

知らないって不幸。本当に申し訳なかったと思っています。

視界を狭めて、1点を見つめてる方が落ち着くと言われるクライアントさんも結構おられます。

まずは、状況、状態の理解です。共感です。認めることなのです。変化を促す時には、ちょ〜ゆっくりやる必要があります。

大げさなくらいゆっくりです。あなたが想像する5倍くらいゆっくり(笑)

 

 

トラウマ治療であるEMDRやブレインスポッティング

 

目にアクセスするという意味で、トラウマ治療なんかでは、視界の中のあるスポットを解放するというのもありますよね。

EMDRとか、ブレインスポッティングが代表的なアプローチですね。この辺のメソッドもオリエンティングと深い関係があるということです。

さっきのシャットダウンのところでもお伝えしたように。早い段階で、トラウマ処理みたいなことで、目を動しすぎです。

トラウマ症状が勃発してるのに、トラウマの記憶を思い浮かべてもらって、両極性の刺激を与える(目を左右に動かす)ことをするのは論外です

そうされたとよくクライアントさんに聞きます。やめてあげて〜! 本当に。

 

 

より安全な方法を選ぶ

 

まずは、その人のオリエンティング反応はどうなのかチェックしていますか?

目が固まっていませんか? シャットダウンしていませんか?

面倒でも、時間がかかっても、リソースを構築するお手伝いをするのです。

すぐトラウマ処理をやりたがるんだから! もう!

使い方もわからないのに、こどもにチェーンソー持たすようなものです。

ジェイソンか!(笑)

 

 

なんか感情が湧いてきた〜! 2時被害を受けたクライアントさんが回ってくることに私はムカついているのです。

クライアントにじゃないですよ。わかった気になってチェーンソー振り回している支援者にだよ。

別にチェーンソーだけが道具じゃない。もっと安全なやつ沢山ありますよね。

 

 

オリエンティングとパーツ心理学

 

違うパーツは違う刺激にオリエント(意識)するのです。もちろん、多重人格系の人格たちもそうです。

様々なパーツ、自我状態もそうです。様々な役割を担ってサバイバルしてくるのです。

日常を頑張るパーツ。トラウマ記憶を背負うパーツ。管理するパーツ。あげたら、100くらい出てきますが(笑)

みんな、それぞれ違うオリエンティングの傾向性を持っているのです。

トラウマ記憶を抱えたパーツは、もちろん怖いものに意識がいくし、助けてくれて、ケアしてくれる人に意識がいく。

支援者のあなた、、、パーツというようなことも意識してみてはいかがでしょうか?

パーツさんたちも、支援者がちゃんと意識を向けてあげないと、信頼してくれないですよ(笑)

 

 

普段の日常生活での実践

 

まずは実践してみませんか? 普段どんなことに意識がいっているのか?

あなたの状況、状態に合わせてやってみてくださいね。

トラウマ症状を抱えた方は、ちょっとだけ意識してみることから始めてみませんか? 無理に変えようとしすぎないでくださいね。

支援者の方は、セッションをやっているとき、どこに意識がいきますか? 家族といる時は? 一人の時は? 目をどのように使っていますか?

探求すると興味深い発見があると思いますよ。

面白いことがわかったら、お問い合わせフォームから教えてくださいね。