何のために支援者をやっているのか?|使命の話(第3話)

 

物語を通じて、対人支援者に何が必要なのか?をお伝えしていきます。

ポム(愛犬)と船旅に出たが遭難。

山口さんだけが、無人島に漂流。

今回が第3話。

最初から読む人はこちらより。

トラウマセラピーのリソース構築|船旅の話(第1話)

 

ソマティック心理学を対人支援に活用|無人島の話(第2話)

 

何のために支援者をやるのか?|無人島730日目。

 

部族の人たちと生活を共にすることで、

身体、精神、言語、全てに影響を受けた。

毎日が、とても充実していた。

幸せだった。

その反面、ずっとこの島に⋯⋯

ということを、よく考えるようになった。

自分の使命は何なのか?

何のために生きていくのか?

この島にいるのか?

それとも祖国に帰るのか?

帰って、ここで培ったことを伝えたいのか?

でも、どうやって帰るのか?

そんな悩みを悶々と抱えていた。

 

そうやって密かに悩んでることは、

すぐに部族の人には見抜かれた(笑)

みんなが親身に寄り添ってくれ、

自分ごとのように、本気で悩みに付き合ってくれたのでした。

数ヶ月、悩み抜いた結果、体が自然と帰る方向に。

自分が何を望むのか? そういう意思は超えていた。

部族の人たちの願いも込められていたのでしょう。

少しでも多くの人が幸せになってほしい。

 

で、現実問題として、

部族の人たちには船を作る技術はない。

ずっと島で暮らしてきた。

みんなが協力してくれて、数ヶ月かけて、船を完成させた。

 

 

テスト的に何度も近くまで船を操縦してみた。

手作り感が満載な船だけど、

部族の人たちの想いと技術が詰まった船だった。

ついに出発の日がやってきた⋯⋯

 

 

支援者をやる覚悟はあるのか? 無人島820日目

 

祖国に帰る日がやってきた。

船の所に部族の人たちが集り、涙ながらに別れを惜しんだ。

最後に、部族のリーダーが山口さんに、そっと耳打ちしたのです。

「ポムと再会できるといいですね」

何もかも、お見通しだった。

祖国に帰る目的は、部族の知恵を伝えること。

それ以上に、ただポムに会いたい一心だった。

ポムが、どうなったのか、確かめたかった。

ついに出航。

大海原を進んでいった。

 

培った身体性と精神性のお陰で、行くべき方向を感じ取ることができた。

孤独と恐怖も、全身で感じることができた。

オールを漕ぎ続けて、2週間が過ぎた。

ただひたすら海だった。

1ヶ月が過ぎた。

一向に陸は見えない。

流れに任せることにした。

食料もなくなった。

もう無理だ。

自分の選んだ道⋯⋯

導かれた道⋯⋯

ついに嵐になり、荒波に襲われた。

 

 

一晩中ずっと耐え続けながら⋯⋯

ポムと遭難した時のことがフラバ。

これまでの人生、ポムと過ごした日々を思い起こしていた。

ついに船は転覆。

山口さんは海に放り出され、

船に捕まろうと、もがき続けたが、海深くに飲まれていった。

ここで死ぬ⋯⋯

息が苦しい⋯⋯

ポム⋯⋯

 

 

何のために生きるのか?|850日目

 

ふと目が覚めたら、砂浜にいた。

なんか、ふわふわしていた。

向こうから走ってくる⋯⋯

なんと!? ポム!

ポム〜! 生きてたのかっ!

 

 

 

2年前に遭難した時、

ポムは船の一部に捕まってたのだ。

 

 

 

それで、なんとかこの島に辿り着いたのだった。

それにポムが子供を3人も育ててる。

 

 

 

その後、ポムの家族と山口さんは幸せに暮らした⋯⋯

部族との2年間の体験を多くの人に伝えていった⋯⋯

 

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あとがき

古びたペットボトルが砂浜に打ち上げられた。

それを少女が、たまたま見つけたのです。

中に手紙が⋯⋯

部族との2年間の体験を、山口さんが書き留めたものだった。

それが最終的に知識人に届き、多くの人に伝えられた。

 

 

総合トレーニング参加者の感想

旅の物語で、食い入るように読みました。とても面白かったし、私は絵が好きなので、絵があるのがとても良かったです。

特に、ポムの子ども達の写真が、本当に可愛すぎて心射止められました(笑)三人の子どもっていうのが、それもまたちょうど、背側、交感、腹側という感じの表情で。お〜と、うなってしまいました。

物語、特にリソースのところは、なるほどなと。まず、水。そして、にんじん。甘いフルーツはいきなりはしんどい。それを、リソースを現場で実践する中で、本当に実感するようになりました。

特に傷つきが大きい重いパーツほど、ちょっとずつでないといけない。自分自身に対してもそれを気づくようになりました。そこから、生き物や人との出会い、世界が広がっていくっていうのも、絶妙だなと。

人のリソースがあってこそ、もう一度、祖国に戻ろうと思えた、フラバも乗り越えられた。そこも本当にセラピープロセスだなと。ただ、なかなかそこまで実際の現場でセラピーが進んでいくのは難しい。それこそ、支援者自身が乗り越えていないと、そこに辿り着けない領域なんだろうとも感じました。

全体を通して、ポムは、命の源の象徴のようにも、両親像の象徴のようにも感じました。一旦それが失われる、死んでしまうというところが、死と再生、自立のテーマを描いているように。いったん失われていたものと再び出会い直すというところが、面白いなと。

ポムの方から駆け寄ってきてくれたというのが、ポムの中でも同じように山口さんが生き続けて探し続けていたというか、それが意味深いなと。

ポムの奥さんか旦那さん?の存在が見えなかったのが、なんだか山口さんらしいというか、両性具有というか、一人が二人を表しているという感じがして。

それと、ペットボトルの少女のくだりも、興味深くて。少し少女に同一化する気持ちというか、私は知識人ではないけど、総トレでの体験、山口さんやみなさんから得たものを、自分なりに多くの人に伝えていきたいなと思った次第です。