ソマティック心理学を対人支援に活用|無人島の話(第2話)

 

ある日、山口さんは愛犬ポムと船旅に出た。

不運なことに嵐にあい、山口さんだけが無人島に流れ着いたのだった。

第1話はこちらより

今回は、その続編。

無人島90日目からの話。

ストーリーを通じて、対人支援で必要なことをお伝えしていきますね。

 

無人島90日目の話|心理セラピーを深める方法

 

山口さんはフルーツを食べ、森を散策する日々を送っていた。

どこまで行っても森ばかり。

孤独に耐えながらずっとここで生きていくのかと絶望していた。

でも、来る日も来る日も、森を歩き続けた。

ある日、森の中を歩いてるとカサカサッと音がした。

なんと、キツネがヒョイと立っていた。

こっちを見てる。

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この3ヶ月一人ぼっちだった。

キツネさんと遭遇したことで、嬉しくなった。

こっちを見ながら何か訴えかけてきてる⋯⋯

キツネさんは森の奥へと歩き出した。

山口さんは、ついていくことに。

時々キツネさんは、こっちを確認してくる。

こっちだよ、そう優しく言ってる感じ。

とにかく後を追って歩き続けた。

すると! 景色が急に変わった。

何かがおかしい!

この辺は、何度も何度も探索した場所。

こんな場所は絶対になかった。

そのまま歩き続けていると⋯⋯

森の奥に広大な土地が⋯⋯

その時、キツネさんは役目を終えたように、

走って去っていった。

山口さんは、広大な土地を眺めながら、一休みした⋯⋯

啓示が⋯⋯

 

一人では絶対に辿りつけない場所がある。

導いていくのが支援者のお役目。

それと同時に、支援者と相談者が一緒にやっていく。

ただ、そのプロセスを信頼すること。

意図を手放すのです。

プロセスを信頼すると思考を超えた、思ってもみない変容が起こる。

ガイドするのとプロセスに任せるのと。

その絶妙なバランスなのです。

 

山口さんは思った。ありがたい啓示。

でも、一人ぼっちでなんの意味があるんだ!

ポム〜

こんなことになって、ごめんよ⋯⋯

そのまま眠りに落ちた⋯⋯

 

 

楽になるには身体が鍵|出会い

 

キツネさんとの出会いから、一夜が明けた。

目が覚めると、びっくり!

3人の部族が、こっちを見てる!

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山口さんは捕まり、森の奥へと連れて行かれたのです。

手を縛られてもないし、ヤリを向けられてもなかった。

部族の3人が、5m前に一人。5m左に一人。5m右に一人。

それなりの距離感で私の周りを歩いてる。

でも、逃げれそうにもない。

不思議な感覚だった。

どこに連れて行かれるのか、

ドキドキで、ちょー過覚醒。

 

しばらくすると彼らの村に着いた。

老人も、こどももいて、50名くらいの部族だった。

リーダー的な人が出てきた。

言葉が全く通じないから、自分の状況を身振り手振り、説明しようとしたら⋯⋯

全てを悟ったように、受け入れてくれた。

食事と家を与えてくれた。

一緒に生活するようになり、

この部族の身体性の高さに驚くばかりだった。

運動能力が、猫のように高い。

しなやかだった。

体の使い方も、とても効率的だった。

立ってる姿が美しかった。

一緒に食料の調達、食事の準備、家づくりをした。

一緒に作業をすると、自分の身体性のなさに気付かされた。

でも、一緒に作業をするだけで、体が不思議と、どんどん楽になっていった。

体験したことがない感覚だった。

腰の疲れも、首のコリも、どんどん減っていった。

海で遭難したことも、この3ヶ月、孤独だったことも、

少しずつ思い出さなくなった⋯⋯

 

 

部族の身体性の高さがもたらすもの|無人島150日目

 

部族の人々と住むようになって2ヶ月が過ぎた。

この部族の人々は、猫のような、しなやかな身体性を兼ね備えてる。

その身体性が土台となって、精神性も高かった。

山口さんにとって、驚きの連続だった。

ポリで言うところの真ん中の部分、腹側がONになって、人と穏やかに繋がってる。

一部の人だけでなく、みんなそうなのです。

 

 

例えば、食料は、木の実と野菜。

収穫する時も和気あいあいとやってる。

ふざけあったり、楽しみながらやってる。

家を作るのも、村の施設を作るのも、

みんなで工夫しながら、探求心で進めてる。

ある程度、設計は事前に話し合うけど、作り出したら試行錯誤の連続。

そこに「あそび」がある。

こんなんどう? みたいなことにも、やってみよう! っていうノリ。

何よりも、山口さん自身が、とっても楽しんでいた。

もちろん、過覚醒になったり、低覚醒になったりする時もある。

でも、まあ、そんな時もあるよね〜って感じ。

みんな、あったかく見守ってる。

ポリ理論とか習ったことないのに(笑)

習う必要がないのかも〜

ふと気づけば、この部族と住むようになってから

例の啓示がなくなった。

この人たちとの生活自体が「啓示」のようだった。

この人たちが自然と繋がり、みんなで一緒に楽しく生きることで、

最初、無人島で一人だった私に、ずっと啓示を与えてくれていたのかも〜!

そんな和気あいあいの生活が続いたからこそ⋯⋯

ふとした時にポムのことを思い出す⋯⋯

罪悪感⋯⋯

ポム⋯⋯

 

高い精神性と身体性がもたらす社会|無人島365日目

 

この部族の人々は、しなやかな身体性、高い精神性を、兼ね備えてる。

で、9ヶ月も一緒に暮らしてると、わかってきた〜!

現地の人が使う言語ですよ。

独特の言語システムを持っているのです!

例えば、「嘘」という言葉がないのです。

お互いに感じ合ってるから、相手の意図や意思が自然と伝わってくる。

みんなで協力するという価値観もあって、嘘をつくことがないのです。

 

 

この部族の人達は、必要な時は知的な概念を使い、知的な会話もある。

でも普段は、擬音語的な会話なのです。

さらに、身体感覚や感情に関する言葉が豊富。

例えば、「喜び」という言葉も10種類以上ある!

それも何かリズミカルな擬音語的な言葉。

体や顔を使ってのジェスチャーも多い。

この9ヶ月、山口さんは知的に言葉を理解しようとして、うまくいかなかった。

体感が育ってくると自然と会話ができるようになったのです。

視覚優位で思考が強い人がリーダーを務める先進国とは全く違っていた。

でもなぜ、ここの人は、身体性、精神性、言語性がここまで優れているのか?

謎は深まるばかり⋯⋯

現地の言葉を、ふと口ずさむようになった⋯⋯

ポムに会いたいよ⋯⋯

 

 

強みの背景にあるのもは?|無人島420日目

 

部族と暮らすようになって1年が過ぎた。

なぜ部族の人は精神性や身体性が、とんでもなく高いのか?

その理由が意外なことだった。

 

 

実は、先進国の自然搾取により、50年以上前から気候変動が起こっていた。

そのせいで津波、台風、異常気象。

それによって食料が確保できなかったり、死者も出てたのです。

だからこそ、台風や津波を感知して、避難する力が必要だった。

動物的な能力が必要だった。

そのために戦略的に、必然的に身体を鍛え、精神を研ぎ澄ませてきたのだ。

それを子供の頃から教育してるのだった。

感じること、体を調整すること。

労わること。自然と繋がること。

そういう教育、トレーニングによって災害を回避できるようになった。

結果、高い精神性と身体性、独特な言語力を持つようになったのです。

自分たちの家族が気候変動によって死んでいった。

その悲しみや教訓を活かして、みんなで協力して頑張ってきたのだった。

だから今がある。

社会に問題があって、それをただ消極的に傍観するのではなく、

能動的に、問題解決に取り組んできたのです。

強みの裏には傷つき、苦労、試練がある。

山口さんはこの事実を知って納得した。

と同時に、先進国に住んできた人として、複雑な思いだった。

何が大事なのか、どう生きるべきなのか⋯⋯

次回に続く⋯⋯