痛みとは強制マインドフルネスである

こんにちは。

総トレの水澤です。

前回の記事では、体調不良で意識を失い転倒したことをお伝えしました。

最強リソースのお陰でPTSDをまぬがれたお話でした。

今回はその続き、痛みのお話です。

実は倒れた日から痛みとの付き合いが始まったのです。

四六時中カラダを意識した日々でした。

 

「身体探求生活」

 

倒れた日は昼頃帰宅して、先ず寝ました。

そして目が覚めてから始まったのが、常に身体を感じる生活でした。

起きてすぐ感じたのは頭の違和感です。

寝たまま右を向こうとするとズーンと痛みが走ります。

触るとタンコブ!

記憶にはありません。

でも本当に頭を打っていたんだな、と実感が深まります。

さらに起き上がろうと思ったら別の部分がズキッ。

右の肋骨に痛みが走るのです。

起き上がろうにも力を入れることができません。

「ちょっとー!」

大きな声で隣室の家族を呼ぼうと思ったら、肋骨に響くのです。

しょうがないので、携帯で呼び、体勢を変える手伝いをしてもらいました。

手を握って、少しずつ引っぱってね、と伝えます。

ソロリソロリと向きを変え、少しずつ起き上がります。

こんな調子なので、家の中を歩くことすら苦行でした。

少しずつ足を動かし、肋骨に振動がいかないように歩くのです。

お年寄りの歩き方です。

特に始めの1週間は意識が肋骨に向いていました。

 

 

探求とマインドフルネス

 

痛みのある生活は、マインドフルに身体といる日々でした。

身体の中で起きていたことをと普段より繊細に感じました。

そんな風に身体を感じていると、思考は2番手に回ります。

以前の私は思考でガチガチなところがありました。

例えば、喉に違和感があっても仕事や家事の手は抜かずフルパワーで動き続ける。

そして最終的に熱を出して寝込む。

例えば、本当は嫌なのに友人の誘いを断れずに出かける。

その結果、グッタリとして帰ってから何もできなくなる。

どちらも身体からの声を素直に聞いていれば、行動は変わったと思います。

でも、「多少しんどくてもがんばるべき。」

「友だちなんだから、誘われたら行くべき。」

という思考が自分をしばっていたのですね。

 

ソマティックセラピーを学び始めたおかげで、

少しずつ身体の声をきけるようになってきました。

でも身体の声にタイムリーに気づくことはまだ課題でした。

そんな中で始まった強制マインドフル生活だったのです。

例えば「布団から起き上がる」だけでも超マインドフルでした。

 

 

普通なら数秒で終わる動作ですよね。

でも頭と身体が話し合いながら、1分くらいかけて動いていました。

以下、水澤の中で起きていた●身体と▲頭のリレーの実況中継します。

再生速度、0.1以下のスローモーションをイメージしていただく分かりやすいです。

 

▲ 起き上がろうと思う

● ほぼ同時に身体が察知

● 息が止まる(緊張)

● 身体の重心が右側に移る

● イタイッ!!!

● 硬直

● フーっと息を吐く

▲ どうしよう(トイレへ行くのやめようかな、いやそれも無理)

自問自答からの一大決心

●と▲エイヤー!

● 痛い!

▲ でも立てば大丈夫

● フッ(ホッとする)

 

先ずは身体が反応し、それに思考が応える形で動いていました。

この時期は少しでも身体を動かそうとすると、サーっと緊張感が走っていました。

 

トイレはもっと大変です。

先ずは上記の一連の流れがあって起き上がります。

その後、ソローリソロリと歩きトイレ前に到着します。

肋骨へ響かないよう、力を加減しつつドアを開ける

(腕を動かすと、肋骨が反応するのです!)

洋服をずらす

下着をぬぐ

ソーっと座る

 

トイレに座るまでにどれだけ時間がかかるんだ!

と突っ込みつつ、

全ての動きに対してマインドフルになっていました。

そして、トイレは一大決心をして行く場所になりました(笑)

マインドフルにいられるようになると、自分の感覚に気づきやすくなります。

そしてソマティックな探求を続けていくと、耐性領域が広がります。

リソースの心地よい感覚だけでなく、

トラウマエネルギーの不快な感覚とも共にいられるようになるのですね。

今回の強制マインドフル生活は、そのトレーニングになりました。

 

 

痛みの対処法にはパーツ心理学が効く

 

超マインドフルな時間を過ごしていると、やはりクライエントの顔が浮かびます。

痛みを抱える人はとても多いです。

たとえば

出勤時間に頭痛で動けなくなるAさん

頭痛がひどくて休職することになったBさん

お腹が痛くて食べられなくなったCさん

痛みはつらいです。

つらいけど、身体がすることには必ず意味があります。

カウンセリングでは、痛みに寄り添いつつもパーツ心理学を意識しています。

痛み自体が人格を持つとしたら、という視点ですね。

 

 

たとえばこんな感じです。

痛みさんが話せるとしたら、何て言いたいんだろう?

痛みさんの役割ってなんだろう?

痛みさんが仕事をしなかったとしたら、何が起こるだろう?

痛みにも言い分があります。

たとえばこんな感じです。

 

痛「おれはこの人を守っているんだ!」

th「そうか、守っているんだ。」

痛「だって痛かったら仕事行かないですむだろう?」

th「なるほど、行かないで済む」

痛「そうだよ、みんなは厄介者扱いするけどさ。」

続く

 

私たちは皆、認められたいと思っています。

それはパーツさんだって同じなのです。

パーツを尊重すると、変化が起こるのです。

セルフ(本来の自分)が、パーツに対していたわりの心を持つようになると

痛みと共存できるようになってきて、いつの間にか痛みが薄れていくように思います。

 

 

痛みはトラウマエネルギーを止める

 

痛みの感覚は強烈です。

だから他のことは考えられなくなるのです。

私は毎日たくさんのことを考えていました。

仕事のこと、家族のこと、明日のご飯のこと、色々です。

でも肋骨と向き合う日々はそれがストップしました。

私の場合は仕事や家事を少しお休みできたのも大きかったです。

ひたすら休んでマインドフルネスに過ごす日々。

食べたいものを運んできてもらったり、

寝ながらぼーっと空を見たり、本を読んだり、動画を見たり、、、

一方でクライエントはどうでしょう。

トラウマエネルギーをより多く抱えています。

痛みはそれにどう効くでしょう。

自分が痛みを抱えてよく分かりました。

痛みは思考を止めるだけではない。

トラウマを感じさせなくする!

 

 

頭では理解していました。

でも、それまでの私は痛みを抱えていませんでした。

それだけに、今回のマインドフル生活をして

痛みとトラウマの関係が腹落ちしました。

痛みの裏にはトラウマがあるのです。

痛みは、その人のトラウマエネルギーが上がってこないようにしている。

特に痛みはフラッシュバックを止める力がある。

やっぱり身体は心を助けている、と思いました。

痛みはトラウマ究極のトラウマ対処かもしれません。

 

 

トラウマとリソースの関係

 

肋骨を痛めて、たくさんのことが不自由になりました。

センタリング(肋骨を意識するのでセンターどころではありません!)

早歩き(めっちゃ急いでいるのに!)

ジョギング(気分転換したいのに!)

拭き掃除(キレイにしたいのに!)

この他、冒頭に書いたように、お腹からの大きな声も出せません。

重い荷物を背負う瞬間、痛くて息が止まります。

当たり前にしていたことが、次々にできなくなりました。

それが、回復してくると全てリソースに変わったのです。

 

力を込めて拭き掃除ができる!

キレイなるって「あ~気持ちがいい!」

行きたいときに行きたいだけトイレへ!

QOLが爆上がりだ!

重いものを持てる!

(やった!南瓜とキャベツが買える!)

あー、気持ちがいい!!

開放感!!!

痛みを伴わないことに感動する日々がきました。

しみじみ、日ごろからガンバってくれているカラダさんたちに感謝しました。

完治してから日が経ちますが、今でも身体を動かせることに感動する時があります。

トラウマがあったからリソースが生まれたのですね。

あなたにも、そんなリソースはありますか?