対人支援者の皆さ〜ん。宿題って出しますか〜?
クライアント側の皆さ〜ん。宿題って出されてますか〜?
「宿題」とは、次回のセッションまでに日常生活で何かに取り組んでもうらうことです。
宿題はカウンセリングに効果があるのか? 宿題はとても奥深いものです。
まずは動画をどうぞ
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コンテンツ
心理カウンセリングでの宿題のメタ分析結果
宿題に関する研究、山ほどあります。
そんな研究を27個まとめたメタ分析の研究があります。
Kazantzis, N., Deane, F. P., & Ronan, K. R. (2000). Homework assignments in cognitive and behavioral therapy: A meta-analysis. Clinical Psychology: Science and Practice, 7(2), 189–202
このようなメタ分析もいくつかあったと記憶しています。
認知行動療法系の研究者たちに感謝ですね。
CBT的なアプローチは、特に宿題を大事にしているという背景がある。
結果はどうだったと思いますか?
結果は「ぜって〜宿題出した方がいい!」ということでした。
なんらかの宿題を出して、クライアントが日常で取り組む方が、格段に効果的だった。
以上!
お、終わってしまった(笑)
ちょ、ちょっと待って。そんな簡単には終われません。
カウンセリングで宿題を出さないのは効率が悪い
もうちょっと説明しますね。
なんらかのことを実践してもらうという宿題はめっちゃ大事です。
私もほぼ毎回出します。
セッションで次回までの宿題を出さないカウンセラーは、まるでダメダメ野球コーチ。
2週間に1回だけ教えにくるコーチ。
他の日、選手たちが練習やってるか、全く気にしてな〜い。
練習なんてしなくても、ハイオッケ〜! みたいな(笑)
もしくは歯ブラシの指導を全くしない歯医者さん(笑)
悪くなったらおいで〜、治しますよ〜的な。
もちろん宿題を出さない方がいい稀な場合もあるけど、基本、出した方がいいのです。
クライアントにとっては、セッションの時間なんてたった1時間、
その他の何百時間はカウンセラーはいないのです。
ちょっと頑固な支援者は、「わかりましたよ!出せばいいんでしょ!出せば!」
「ダメダメ野球コーチとか言わんでも!(怒)」と言われるかもしれない。
ムキになる人に申し訳ないですが、「そんなわけないやん!」(笑)
宿題をただ出せばいいという単純なことではないのです。
出すのは当たり前。どう出すか? どれだけ宿題をやってもらえるか?
そこが難しい。そこが腕の見せどころ。
心理カウンセラーが宿題って呼ぶこと自体どうなの?
そもそも「宿題」って呼び方どう思います?
先生が生徒に宿題を、、、的な印象が強いし、一方的にやって下さい感が強い。
ナンセンスだと思います。
そもそも宿題って単語は、カウンセリングで使わない方がいいです。
自然に会話してると、「実践してみますか〜?」「探求してみますか?」そんな言い方です。
どう宿題を出すのか?
あ、間違えた、どう実践してもらうのか?(笑)
どう提案するのが最適だと思いますか?
宿題をやってもらえるか、やってもらえないかで、カウンセリングの効果は大きく、変わります。
どうすればクライアントの日常で宿題(実践)をやってくれるか?
毎回のカウンセリングは、ほぼこの宿題のためにセッションをやっているようなものです。
それくらい大事なものです。
「宿題やらないと、おやつあげません! 小遣い減らします!」というような、
つい子供に言ってしまう感じではうまくいかない(笑)
宿題をやってもらえるには、工夫と知恵が必要です
その出し方について、いつくも大事なポイントがあります。
① その人にとって最適なもの
クライアントにとって「おっ、これやると回復しそう!」というものを、ご提案したいですよね。
「そりゃそうでしょ!」そんな声が聞こえてきそうです。でも、とても奥が深い。簡単ではない。
それには1回目のセッションで、しっかりしたアセスメントが必要。
過去のトラウマとか、生育歴とか、そんなことを重視する人も多いけど、
その人の神経系の状態、リソースという強みや資源、その辺の方が大事。
でも、それがわかれば、宿題を提案できると思いますか?
例えば、過覚醒の状態で、理解してくれる母親が1番のリソースだとします。
これでも宿題を提案するには不十分。
実際に、宿題になりそうなことをセッションでやってみる。
まず支援者が山ほどの引き出しの中から、提案してリードする。
クライアントからフィードバックを受けながら。
一緒にコラボする。一緒に共同創造するのです。
そんな中、どんどん宿題が明確になっていく。
その人にとって最適なものを「最初に」提案する。
最初が大事です。だって、宿題を取り組んで全く楽にならなかったら、続きます?
楽にならなくても、「これは自分のためになるかも」そう思わないと続きませんよね。
アセスメントしながら、状態を見極めて、一緒に宿題となることをやってみるのです。
やってみて微調整するのです。そうしながら宿題が明確になってくる。
品揃え豊富な服屋さん、みたいなことです。
そこの店員さん、めっちゃ親切に一緒に探してくれるんです。
どんな服が欲しいのか? なんのための服なのか? 色々聞いてくれるんです。
そして色々試着したのを見てくれる。サイズや色を変えたりしながら。
そして、最後には、綺麗に包装してくれる。プレゼント用。大きいリボン付き(笑)
家に帰って嬉しくなって着てみる。そんなことかな。
最初に何を提案するのか? ということですが、2番目に何を提案するのか?
という一連の順番も大事な要素です。何をどんな順番で出していくのか?
コース料理でも同じことかと思います。
② 脳の特性
ダイエットしたことありますか?
急にやる気を出して、甘いものなし! 脂肪なし! お菓子もなし! という急激なダイエット。
気合で乗り切る。あのスキニージーンズを履くために(笑)
10kg減量を成功! やった〜! でもあれれ、1ヶ月後にはリバウンド。
そうです。宿題でも同じです。
脳は、変化を嫌います。脳さんは、安定を求めるのです。
成功を夢見る、一発屋狙いの不安定な芸人とは結婚したくないのです。
なんのこっちゃ(笑)
脳も神経系も、変化を嫌い、安定を好む。
だからこそリバウンドしないように、ちょっとずつ宿題をやってもらうのです。
そう心理教育するのです。
よくある暴露療法的なやつで、被害体験を語ったテープを聞く、なんてのありますよね。
脳や神経系には過激すぎます。リバウンド王が誕生します(笑)
やれる状態の人を見極めましょう。3セッション目、そんな宿題を出すと、大変なことに。
安心感、みたいなリソースもそうです。やりすぎは脳がびっくりドンキーします(笑)
ちょっとずつ。思った以上に。
英語では、ベイビーステップと言います。赤ちゃんが歩く歩幅で、という意味です。
でも、着実に進んでいきます。
アリさんだって、もっと小さな歩幅だけど、めっちゃ運んで仕事してまっせ〜。
③ 抵抗に寄り添う
突然ですが、宿題やりたいですか?
「めんどくさい」「忙しい」「やれるか自信がない」
「変化するのが怖い」という反応があっても自然です。
日常生活で何かを実践してもらうこと、これは負担になること。
ある意味、いつもと違う生活、いつもと違う人生を送ってもらうことです。
そりゃあ、抵抗も出てきます。そんな抵抗に寄り添うことが求められます。
やりたいけど、なんとなく、やりたくない。という葛藤的な抵抗もあるでしょう。
抵抗するパーツさんがいる時もあるでしょう。IFSの管理者的なパーツが抵抗することも。
こう思うかもしれません。
「では宿題を出した時、抵抗する部分があるかどうか、確認します。」
もちろんそれも大事なプロセスの1つ。確認しましょう。
でも、その時だけでは不十分です。
その抵抗する部分、その抵抗するパーツさん、それはずっとある。それはずっといる。
だから、セッションの初めにも。セッションの途中にも。
なので、そこをセッション間もずっと意識しておくと、、、抵抗が起きない!
とまでは言いませんが、起きにくい。
もうちょっと言うと、セッションで抵抗がいい意味で起こってくる。
起こってくるから、その時に対応できます。
セッションで起こってこないと、家に帰ってから出てくるのです!
家に帰って、山口さん、〇〇を実践しよう、って言ってたけど、、、
なんとなくやりたくないな〜、なんか体を感じるのとか怖いな〜、ってなる。
そして、次回のセッションで、「何にもやってましぇ〜ん」となります(笑)
最後に、宿題を出しま〜す(笑) あなたのリソースに触れましょう。
忙しいよね。面倒だよね。いつもの感じでいきたいよね。
それもOK (^^)/
宿題に対する支援者の態度やありようが問われる
一旦まとめます。
◉ メタ分析の結果、宿題は必須!
◉ その人にとって最適な宿題を最初に出す!
◉ 脳は変化を嫌うので、ちょっとずつ宿題を出す。
◉ 宿題への抵抗を支持する
ここがスキル、やり方の部分ですね。
そのようなスキルを発揮して、宿題を効果的に提案して、それを実践するにも、
あなたの支援者という「ありよう」が求められます。
どこかどっしりと安定して、包容力があるような、そんなありようが⋯⋯