心理カウンセリングでは、恥もそうですし、罪悪感にフォーカスすることは大事なのです。
支援者に、そのような視点をもっと持っていてほしいということです。
クライアントさんが「罪悪感を解放したい」なんて言ってくれません(笑)
だから、見落としやすいのです。
生きづらさを減らすことをやっていくと、罪悪感が原因になっていくことも多くあります。
言い換えれば、罪悪感を解消することで、他のテーマの解消にも繋がるということです。
コンテンツ
罪悪感という心理を理解する
罪悪感を解消する方法を「すぐに知りたいです」という気持ちはわかります(笑)
それを的確にするためにも、面倒でも、まずは罪悪感の理解からいきましょう。
罪悪感と恥の意味
罪悪感を理解するためにも恥と比較してみましょう。
罪悪感は過去にやった「行為」に関しての感情。そして、恥はダメな自分というよいうな「自分」に関しての感情。
罪悪感も恥も同じように悪いと思っているのですが、感情が向いている先が違うのです。
「行為」と「自分自身」という違いがあります。
恥と言っても健康的な恥と毒恥があるのです。例えば、人前で失敗すると「はずかし!」って思いますよね。これは自然な健康的な恥です。
それに対して、自分という存在自体が恥というのが毒恥なのです。このような感情があると生きているのがとても辛いです。
ここからは3つの罪悪感をみていきましょう。
自然な罪悪感(1)
1つ目の罪悪感は当然で自然なものです。
例えば、人にとんでもない迷惑をかけてしまったとか、傷つけてしまったとか。
申し訳なかったという罪悪感を持つことは自然だし、健康的です。人としてそのような感情を持つことは必要です。
親が罪悪感を植えつけてくることが原因のもの(2)
2つ目の罪悪感は、親がなすり付けてくるものです。
こどもが何かをするたびに「なんでそんなことをしたんだ!」みたいに毎日やった行動に対して責め続けられたら、罪悪感も出てきます。
そんな環境で育つと、特に人を傷つけてもないのに、自分のやった行動に対して、理由もなく、ものすごく後悔して、強い罪悪感を抱えていることもあります。
大人になっても「何かに挑戦してみよう」なんていうのが怖くて出来ないですよね。
虐待環境で育つと、当たり前のようにそうなります。
サバイバルに必要な罪悪感だったとも言えます。だって、罪悪感をいつも感じて、自分の行動を規制しないと、もっと責めらる可能性が増える訳ですから。
トラウマを避けれなかった後悔と自責の罪悪感(3)
3つ目の罪悪感は、虐待やトラウマを経験からくるものです。
なぜ〇〇しなかったのか? という後悔と自責の罪悪感です。
加害者から、なぜ逃げなかったのか? なぜ断らなかったのか? というようなことです。
多くの場合そんなことできないのです。立場的にも、状況的にも無理なのです。この辺もカウンセリングでテーマになることは多いです。
その他は、なぜ自分だけが助かったというサバイバーギルトというのもありますよね。
ということは4種類の罪悪感なのでしょうか。1つ増えてるし(笑)
この辺はまたの機会に詳しくお伝えするかもです。
重い罪悪感がない場合?
健康的な恥もそうですが、自然な罪悪感は必要なのです。
想像してみてください。罪悪感がないコミュニティーや社会を。統制が出来ません。秩序もへったくれも無くなります(笑)
だから罪悪感は、文明を築くのに必要だったのです。
罪悪感があるから、人に迷惑をかけなくなる。人を傷つけなくなるのです。そのような罪悪感が少ない、もしくは無いのが、サイコパスなのです。
罪悪感があるかもしれないけど、アクセス出来ない状態が虐待する親とも言えるでしょう。
進化の過程で、人と助け合う共同体を作る必要があった。人の痛みに無関心で、罪悪感が無い人は、どんどん淘汰されてきたのです。
でも、一部しつこく生き延びている人もいるから、みんな迷惑を被るのです。なんとかならないものか、、、
まあ、罪悪感を解放する話に戻しますね(笑)
苦しい罪悪感を解放する対処方法
さて、罪悪感を減らす方法をお伝えしていきますね。
それを効果的にするためにも、重い罪悪感を抱えたクライアントさんをまずご紹介しますね。
カナダ人のクライアントさん(胸が苦しい)
クライントのダニエル(50代)は罪悪感を感じると、心臓の辺りが重たくなり、苦しくなると教えてくれました。
彼は多くの犯罪に手を染め、その世界では知らないものはいないぐらいの有名人だったそうです。
ダニエルがこどもの頃、親にもいつも責められていた環境で育ちました。幼少期の耐え難い連続する性的虐待と暴行を受け、怒り狂って生きてきたのでした。
その怒りで多くの人を傷つけたとも話しました。
ダニエルは「カウンセリングを通じて、悪いことをしたことを振り返り反省したい」と言った。
さらには、「人を信頼することが出来ず、多くの人へ申し訳ないことをした。罪の意識で押しつぶされそうになっている」とも息苦しそうに語っていました。
ダニエルには、自分が人を傷つけてしまった罪悪感、がわかりやすくありました。
セッションを進めていくと、親からなすり付けられた罪悪感、性被害を避けられなかった罪悪感、も強くあったのです。
その3種類類の罪悪感の心理教育や探求を一緒にしました。
まず傷つけてしまった人のことをじっくり時間をかけて話してもらいました。
もちろんそれ以外にも、リソースやトラウマ解放のことも長期に渡ってやっていきました。
ある時、ダニエルは「すべての犯した罪を想像すると気が変になる」とも言いました。
罪悪感はすべて悪いわけではなく、傷つけた人への思いやりの証拠でもあると私は伝えたことを印象深く覚えています。
ここからは、ダニエルとやった罪悪感の改善方法もあるし、1つずつお伝えしていきますね。
心理教育が必要
心理教育が必要です。この記事で述べたように、罪悪感と恥の違いはについてとか。
罪悪感にも健康的なものとそうでものがある。そして、親から押し付けられた不必要な罪悪感は解放する必要があるというように。
心理教育の目的な、知的に理解することです。そして、カウンセリングの動機付けにもなるからです。
ただカウンセラーがクライアントを治すというようなことではないですよね。
どんなテーマでもそうですが、罪悪感の解放は特に、クライアントが主体的に取り組む必要がありそうです。
認知行動療法的なアプローチで罪悪感を向き合う
認知行動療法的に、観察することも大事なアプローチです。
海外のソマティック系のトレーナーや研究者はあまり罪悪感について語っていません。
そんな中、若干名ですが、罪悪感について語っている書籍や講座でも認知行動療法的なアプローチも推奨していました。
様々なポイントを観察、探求することが必要です。罪悪感の引き金になっているのは何なのか?
罪悪感の感情をどのように感じているのか? その時の思考は? 罪悪感が強く出た時に、どのように対応しているのか?
他には、罪悪感を感じた時に依存に走っているのか? 健康的な対処の仕方をしているのか? などなど沢山ありますよね。
申し訳ないという後悔の想いを謝罪する
人を傷つけたのであれば、何年経っても、何十年経っても、謝罪することも大事です。
そう現場のセッションで提案することもあります。その謝罪したい人との関係もありますし、ご存命か、というようなこともあります。
状況的に直接な謝罪がオススメでない場合は、手紙を書いてセラピストに読むのもいいでしょう。
逆に、親から押し付けられた罪悪感の場合は、謝罪するのは親や加害者の方です。
でも実際には、多くの場合はそれは可能ではないので、傷ついた部分を癒していくということになります。
まあでも、謝まってほしいですよね。といっても、謝ったくらいで許すわけもないけどね(笑)
ソマティックなアプローチで克服する
どのように罪悪感を感じているのか? 体のどの辺で、どんな風に感じているのか? ということを探求するのです。
ダニエルの場合は、心臓のあたりが苦しくなる、という感覚でした。そこを探求すると次への展開があるのです。
他には、リソースを感じながら、その感覚に入っていくこともあります。
リソースと罪悪感を同時に感じるようなワークも時には必要です。
体の感覚から感情に持っていったり、感情から体の感覚に持っていくこともやったりもします。
パーツ心理学的なアプローチで罪悪感を手放す
罪悪感を感じているパーツと対話する。
これ結構大事ですよ。ダニエルのように大人になって人に悪いことをしたという部分は、あまりパーツという感じではないです。
どちらかというと、大人の部分です。このような罪悪感はしっかり感じることが大事ですし、必要な感情です。だって悪いことをしてしまったから。
ここでいう、罪悪感のパーツと対話するのは、こどもの頃、親に責められたパーツということです。
この部分は、傷ついたチャイルドに寄り添うように丁寧に対話と解放をしていく必要があります。
ダニエルの場合も、セラピーの後半、長い年月をかけて進めていきました。
現場のカウンセリングでどのように罪悪感を癒すのか?
どのようなテーマでもそうですが、罪悪感を解放するのは1回のセッションではないですよね。
50回セッションをやるとして、1回目と3回目、そしてしばらくたって16回目と20回目、後半にもそれなりにというようなことです。
ステージによって扱う罪悪感も違ってきますよね。チャイルド的な罪悪感のパーツは後半にすることが多いですよね。
そして、罪悪感だけを解放するわけでもないですよね。他の感情を解放する時に、同時にすることもよくあります。
体という意味でソマティックなワークをしながら、罪悪感が出てきて解放するなんてこともありますよね。
何度も出てきていますが、必要な罪悪感と不必要な罪悪感でもアプローチが変わってきます。
まとめ
怒り、悲しみ、不安というような感情でも心理教育は大事ですが、罪悪感に関してはもっと必要になります。
それは、多くの人にとって罪悪感にあまり馴染みがないからです。
健康的な罪悪感なのか? 不合理で人に押し付けられた罪悪感なのか? 虐待を避けれなかったという罪悪感なのか? これらの3種類を明確にしていきましょう。
そして、お伝えしたように罪悪感の解放には、複合的なアプローチが必要になってきます。