この記事を書いた人 

山口修喜(Nobuki Yamaguchi)

北米に17年間住み、カナダ、ブリティッシュコロンビア州の公認臨床心理カウンセラーとして7年間働く。

帰国して、海外の最新トラウマセラピーを支援者に講座で伝え続けている。

 

 

ぽむ
僕、めいそう状態〜!

 

山口のぶき
ぽむ~。迷走? 瞑想?

 

ぽむ
多重に「めいそう」してる〜。

 

 

今、注目の多重迷走神経理論とは?

なぜトラウマセラピーにおいて、
革命的であり、必須の理論なのか?

性暴力の例もあげながら、
わかりやすくお伝えします。

 

多重迷走神経理論とは

 

この理論は、
ポリヴェーガル理論とも言います。

「ポリ」は多重。
「ヴェーガル」は迷走神経。

トラウマからくる
PTSD症状を理解したり、
その回復法を知るには、、、

この理論は必須! 

まず、多重迷走神経理論を
理解するには、、、

とりあえず、3つのシステム、
をおさえておきましょう。

たった、3つでいいんです!(笑)

 

 

 

多重迷走神経理論 システム1

 

人ととの関わりシステム
英語では、Social Engagement System

日常的な会話を人としたり、
平常心で落ち着いた状態で
いられるようにするのが
このシステムの役割。

健康な人はこのシステムが
日々の中心になっている。

赤ちゃんは、母親と
「愛着」を形成しますが、
それも、このシステム。

人は人の笑顔などの表情を
みることによって安心しますよね。

赤ちゃんであれば、
遊びながら環境を探求する。

その時に、ふと不安になると
母親の顔をみて、
ほっと安心したり。

 

 

このシステムは、
腹側の迷走神経がつかさどっています。

お腹。

安心したら、
お腹があったかいとか
ありますよね。

そんな感じで覚えてもいいかも。

顔の筋肉や口元の神経が
脳幹などと繋がっています。

親が健康的にこどもに関わると
このシステムがしっかり発達してくれる。

虐待などの加害者に育てられると
このシステムが効率よく
機能してくれないことが多いです。

ある意味、カウンセラーなどの
援助者が対面で顔、表情、口、全身、
声などを使ってクライアントと関わることは、
このシステムを再起動していることになります。

ちょっとわかりにくいかも
しれませんが、何となく
読み続けていってみましょう。

 

 

多重迷走神経理論 システム2

 

さあ、続いてシステム2!

戦うか逃げるかのシステム。
英語では、Fight, Flight, Hyperarousal
なんて言われてます

例えば、加害者に迫られる、
森で熊に襲われる、
車に引かれそうになる、

どれも怖いな(笑)

それらに遭遇すると
このシステムが起動する。

過剰すぎるストレスを感じると
脳内でアドレナリンや
コルチゾールが分泌される。

 

 

交感神経がフル活動し、
瞳孔が開き、心拍数が高くなる。

怒りが出てきて
戦闘状態になったり、
恐怖感でその場から逃げようと
必死になる傾向のシステム。

そりゃ、ね〜。

危険に迫られると
人は何としてでも戦おうとしたり、
避けようとするのは自然な対応ですね。

覚醒状態にあるという
言い方もできます。

 

 

多重迷走神経理論 システム3

 

3つ目は、フリーズのシステム。

よくアメリカ映画で
警察が出てきて、
「犯人手を上げろ〜!」

みたいに「フリーズ!」
って叫んでますよね。

手を上げろ、というより
止まれ! みいたな。

このシステム、英語では
Immobilization, Freezingと言ったりします

システム2で、
闘争や逃走が出来ないとわかると
身体がやがてフリーズする。

生命の危険を感じた脳が
鎮痛剤のオピオイドを放出する。

自然な脳の麻薬やね(笑)

過覚醒状態であったのが、
心拍数は下がり、
脳の活動は低下し、
離人感のような解離にもなる。

 

 

痛み、辛さ、その他の
感情も麻痺することも多い。

何が起こっているのか
脳が把握できていない状態。

だから記憶は断片的になるし、
なくなることがある。

戦うことや逃げることが出来なくて、
フリーズして無力感に陥ることで
トラウマ、PTSDが発症される。

このシステム3を
つかさどっているのは、
背側の瞑想神経。

怖いことに直面すると
背筋がゾッとするって
いう感じで覚えてくださいね。

 

そして怒りや恐怖感の感情や
エネルギーが解放されずに
身体にしみついてしまう。

ある意味、トラウマの回復とは
このしみついたエネルギーを
「戦う」「逃げる」ことを
身体レベルですること。

要するにトラウマ時に出来なかった
行動をセラピーという場で
やり直すという言い方もできます。

まあ、概念的な説明は
難しいと感じることもあると思います。

例えを使っていきますね。

 

 

性的暴力から多重迷走神経理論を理解する

 

性的暴行を受けることを例に
説明していきます。

ある時、のんびりと
夕日を見ながら散歩していました。

近所の人とあいさつをしたり、
話をしたり。

これは、システム1、
人とのかかわり、ですね。

そのうち人気のない公園につく。
そこで突然5人に絡まれ、
金を出せと迫られた。

脈拍数は一気に160になり、
怒りがこみ上げてきた。

システム2の闘争ですね。

正義感が強く、
「お前らに払う金はない」と強く言った。

それを聞くと1人が
ナイフを取り出し、
突きつけてきた。

何とか逃げようと後ずさりしたが、
他の4人に取り押さえられる。

もがきながら振り払おうとした。
システム2の逃走ですね。

しかし、1分後には
完全に取り押さえられ、
身動きが取れなくなった。

そのうち5人から殴られ、
蹴られ、最終的には
性的暴行を受けた。

 

 

その最中は、体はフリーズし、
麻痺した感覚になっていた。

システム3のフリーズですね。

体が軽くなって、
何が起こっているのかわからない状態。

暴行は30分にも及んだが、
被害者本人には断片的な記憶しか
残らなかった。

これは単発的なトラウマの例です。

 

 

継続的なトラウマの場合

 

連続的にトラウマを
受け続けるとどうなるのか?

何年に及ぶ性的虐待の場合、
時に週に何回というペースで行われる。

次第に被害者は闘争、
逃走しようとする時間が
短くなっていきます。

だって、、、
抵抗するのが無意味になってくるから。

どうせ嫌なことをされるなら
おとなしくしてさっさと終わらせよう、
と思うこともあるかもしれません。

何度も、何度も繰り返されると
すぐにフリーズや解離するようになります。

例えば、加害者である父親が
夜に階段を上がってくる音を
聞いただけで恐怖で体が固まり、
解離してふわっとしてくる。

その後のことはほとんど
覚えていないこともあります。

解離とかフリーズというのは
防衛的な反応ですよね。

全ての不快感や恐怖感を
感じてら、やってられません。

 

 

過去の物語ではない!

 

この理論を応用すると
幼少期などの過去の「物語」に
こだわりすぎる必要が
ないことがわかります。

そう、多くのトラウマ専門家が言います。

答えや解決策は
物語の中にあるのではなく、

「今ここ」の神経システムにある。

要するに身体レベルで、
どのようなパターンの
システムになっているのかが重要。

解離傾向にあるのか?
覚醒傾向にあるのか?
行ったりきたりしてるのか?

その辺をちゃんと
アセスメント、モニターするのが
支援者のお役目。

 

 

過去の出来事を話してもらい
受け留めていくことを否定はしません。

ただ、PTSDなどのトラウマの場合、
言語をつかさどるブローカ野や
統合や理性と関係している前頭葉など
が働かなくなります。

そのため言語レベルでの
介入では限界があります。

時に言語レベルだけの介入では
再トラウマ化を引き起こします。

物語に執着するのは
援助者側の不安からくるのかもしれない。

今ここで感じている感覚に
注目すべきです。

私の臨床経験からも、
過去のトラウマの出来事を
ほとんど知らなくても、

自傷行為であるリストカット、
依存、フラッシュバックを
ゼロに近いところまで軽減できた
経験はよくあります。

なので、クライアントさんの
今の覚醒レベルに寄り添うということです。

クライアントの日常生活にも目を向けるし、
セッション中、今まさにどうなっているのか?

どのような状態なのか?

そして、この多重迷走神経理論を
クライアントさんにも、
ちゃんと説明するのが大事。

この3つのシステムを心理教育する。

そしてセッション中に
「今どうか?」を伝えてもらう。

 

ま〜、今の覚醒レベルを
モニターすることは大事。

その大事さを教えてくれたのが
この革命的な、
多重迷走神経理論なのです!

 

 

 

ぽむ
僕は、覚醒と平常心を繰り返してる〜。

 

山口のぶき
そういう傾向があるかもね。

 

ぽむ
お〜覚醒してきた〜! そしておやつっ! 欲しくなってキタ〜!

 

山口のぶき
おやつ食べるより、深呼吸じゃね(笑)

 

 

 

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