笑いの心理学|ユーモアをカウンセリングで活用する

 

 

笑いと心理療法は、それなりに研究されてきた分野でもあります。

笑い、笑う、とても繊細でアートフルな現象だと思います。

この記事では、笑いを心理カウンセリングに取り入れる利点。

そして、間違った笑いの使い方をおさらいします。

最後に、笑いを効果的に取り入れる7つの方法をお伝えします。

あらためて「笑いと心理療法」は奥深いと実感させられました。

自然に笑いが起こっているようなセッションは、いい流れになっているのかもですね。

この記事で、、、クスッと笑って頂けたら、、、

 

笑いを心理カウンセリングで取り入れる利点

 

どうせなら楽しくやりましょう。

過去のトラウマに向き合う、自分の苦手な傾向に向き合う、これらは辛いプロセスでもあります。

だからこそ、楽しくやれる部分を出来だけ増やしたいですよね。

笑いの利点は他にも色々あります。セラピストとクライアントの信頼構築になる。ストレスの軽減。リソース構築の一環として。

そんな研究、山ほどありますよね。

 

 

笑いとユーモアと心理療法の研究結果は?

 

海外の文献を色々調べてみました。

多くの研究をレビューして、まとめたという意味で信憑性がある以下の「メタ分析」の結果をお伝えしますね。

C. Natalie Van Der Wal & Robin N. Kok (2019) Laughter-inducing therapies: Systematic review and meta-analysis. Social Science & Medicine
Volume 232, Pages 473-488

色々書かれていたのですが、ざっくりとお伝えすると「うつ、不安、ストレスなどが笑いによって軽減される」ということでした。

さらに、「自然な笑い」というより、「戦略的な笑い」の方が効果的だったのです。

戦略的な笑いというのは、お笑い番組をみる、みたいなことです。

ただ、研究者も言っているのですが、この分野の研究の質はそこまで高くなく、まだまだ研究が必要だそうです。

まあ、どんな研究でも、完璧なものはないのですが、、、(笑)

一般的な鬱や不安などには、笑いが効果的なのでしょう。でも、トラウマや虐待を受けた人には、笑いが脅威になることも多いのです。

さあ、その辺のことも視野に入れながら、どんどん深めていきましょう!

 

 

笑いの種類はたくさん!

 

笑う、と言っても、様々な笑いがある。

思いつくのをちょっと書いてみますね。

緊張を隠すための笑い、テンションが高い笑い、困った時の笑い、自然な笑い、相手のご機嫌をとるスマイル、恥かしさの笑い、、、、というように、沢山あります。

 

笑いが起こっているから、いい方向に進んでいるとは限らないのです。

自然な笑いにみえて、よ〜く感じ取ると、不安からくるものがチョビっとあるかな、、、というような。

繊細さを感じ取るのも必要です。何の笑いかを明確にしましょう、ということです。

 

 

心理療法で間違った笑いの使い方

 

 

日本語訳「あなたのセラピーのセッションのおかげで、自分の鬱をどうすればいいか、わかりました」

アメリカンな笑いなのでしょうか、、、

たまたま見つけたので(笑)

 

カウンセラーの笑いにクライアントが仕方なく付き合っている

カウンセラーが自分のストレスを発散するために冗談を言っている。

それに付き合わされるクライアントが可哀想。まじで気づきましょう。

その痛さに(笑)

この記事での、私のちょっとおちゃらけた書き方、、、あなたは付き合わされてませんか?

でも、いいんです。ブログであれば、嫌なら読むのを止めればいいだけですから。

セッションの時は、カウンセラーはパワーを持っています。立場が強いのです。

先生の話、ちょっと面白くないです、帰ります、なんて中々言えません。

飲み会で嫌な上司の笑いに付き合う、、、みたいなことです。帰りたくもなります(笑)

 

笑いがいつも同じでクライアントも飽きている

いつも同じ親父ギャグを言う、カウンセラーみたいなことです。

気づきましょう!(笑)

それとは逆に、同じような笑いのパターンが、いい感じでクライアントとの関係で出ることもありますよね。

これはいいと思います。

そのカウンセラーとセラピストの間でしかわからないようなユーモア、、、いいじゃないですか。

 

ブラックなユーモアで失敗する

人を蔑んだような笑いになっていないか注意が必要です。

言っている本人が面白いと思っていても、聞いてる方は傷つくことありますよね。

日本のお笑いは、毒舌的なものもあります。ボケとツッコミというのもあります。

普段からそのようなものを沢山みていると、そのような傾向の笑いが、ふと出てきても自然なことです。

相手を下げて面白がるとか。Sっ気のカウンセラーは、気をつけましょう。

 

ぽむ
当たり前ですが、ユーモアや笑いはクライアントのためにあるのです。

セラピスト側のニーズを満たすものではないのです!

あらためて、この機会に自分の笑いについて意識してみましょう、というだけのことです。

 

 

両方が過覚醒状態で笑っている

セラピストとクライアント両方が過覚醒状態になっている。

そして、ケラケラ笑って、一見楽しそうにセッションを進めていることをたまに拝見します。

わかりにくいのですが、結構あります。一般の人がみると、2人が楽しそうに会話をしている、と言うような状況です。

 

お友達2人が、カフェでテンション高く楽しそうにしているのであれば、いいのです。

でも、カウンセリングは独特な会話のテンポで、進んでいきます。カフェでの話とは違う。

クライアントが過覚醒の傾向があって、支援者も内的なものが解放されてなくて過覚醒気味、、、

一緒になって過覚醒、、、楽しそうかもしれませんが、楽しいだけで終わりそうです。

そんなセッションを拝見すると、、、まるでパーティーのように感じます。

この写真のような状態、、、と思ってしまうのです(笑)

 

 

自己調整とか、落ち着くとか、何かを解放することは、このような状態では難しいです。

厄介なのが、支援者がこの状態に気づいていないことが多いです。

 

無意識の抵抗の笑い

支援者がカウンセリングのテーマに対して無意識に反応していることがある。

その反応に抵抗して「笑い」が起こっているのです。

例えば、カウンセラーが緊張したり、不安になると、ケタケタ笑い出すというような。

けっこうしっかりした、カウンセリング系のトレーナーでも、不安が強くなると、甲高い声でケラケラ笑う人も何人かおられました。

まあ、教える先生は、大勢の前でデモセッションをしたり、緊張するのも自然です。1対1のセッションだと、そんなことないかもですね。

 

笑顔が脅威に感じる

笑顔=いいこと、だと思っていませんか?

笑顔をみると安心する人もいますが、笑顔が脅威に感じる人もいることを支援者は知っておきましょう。

特に、様々な虐待、いじめ、トラウマを受けた人には、注意が必要です。

加害者全般、特に多いのが性の加害者が、笑っていることもありますよね。

笑いながら、いじめてきたり、加害をしてくるのです。

だから支援者が、笑顔でいると虐待サバイバーさんは「コワッ」ってなることも結構多いですよ。

笑いを使って、人のご機嫌をとる傾向が強いカウンセラーさんは、要注意です。

 

 

笑いやユーモアが苦手な心理カウンセラー

 

人それぞれ個性があっていいと思うんです。

とっても、きさくで楽しい人もいる。いつも真面目な人もいる。

そのような個性は大事にしながら、ユーモアや笑いを発揮してほしいと思います。

お笑いやタレントも色々個性がありますよね。激しいのから、シュールなのまで(笑)

 

ただ、冗談のちょっとも出てこないカウンセラーさん、、、、

んー、どうしましょうかね???

笑う、ユーモアに関して、抵抗やブロックがあるのかもしれません。そもそも表情が固まっている支援者も。

笑ったり、冗談を言うと、怒られた生育歴を持ってたりする場合もあるでしょう。

そこを解放しましょう。

大丈夫です。そこを解放するのがトラウマセラピーですよね。

 

 

心理カウンセリングでユーモアを効果的に活用する7つの方法

 

クライアントがリソースとして笑いを取り入れてるか?

クライアントにとって笑いとは?

その辺をヒアリングするのも大事なことです。でもそんな質問をすること、忘れやすいですよね。

「笑い」は多くの人にとって安らぎを与えてくれるリソースになったりもします。

どれくらいクライアントが笑いをすでに日常で取り入れているのか? というアセスメントも必要です。

そして、必要に応じて、どうやったらユーモアを日常で取り入れられるかを一緒に考えることもあります。

「前回のセッションから、なんか笑えたことあったりしました?」なんて聞くこともあります。

 

ユーモアについて、クライアントに確認する

ユーモアや笑いについて、セッションの最後でもいいし、途中の場合もでもいいし、クライアントに率直に聞いてみるということ。

その時に、言えない場合もありますが、聞いてくれたことが安心につながったりもします。

私の場合ですが、笑いがあって、楽に話せてよかった、と言って頂くこともけっこうあります。

自然体で笑ってることが関係してると思います。

でも、クライアントによっては、それが傷つくこともあるので、ちゃんと「どうだったか?」を聞くのです。

過去にいじめられた体験の中に、笑われた、という辛い思い出もあるのです。

 

アセスメント目的で笑いを使う

あえて笑いを誘うような会話をしてみて、どのような反応があるのか、をアセスメント目的でするのもいいでしょう。

笑うのか? 笑った表情はどうなのか? などなど、どんな笑いなのかを観察するのもいいでしょう。

ポジティブな感情をどのように感じて、表現するのか? というアセスメント にも繋がってきます。

 

関西の人、注意が必要です

関西の人! 関西弁は関東の人とか、他の地域の人にとってキツイ時があります。

関西の笑いは、けっこう激しいのです。

なんでやねん! みたいに(笑)

ほんまアホやな〜、とか関西人は普通にいいますから。

私自身、人生の半分は海外に在住してたとはいえ、大阪生まれ、今は神戸なので、関西的なノリがあります。

ちゃんと意識してやっていきます。自分のために書いた気がする(笑)

 

Zoomのオンラインのセッションと笑い

よくZoomとかスカイプで接続が悪くなって、変な顔のままフリーズしたりとかありますよね。

そんな時こそ、笑いに持っていくのもありですよね。

 

 

Zoomあるあるです(笑)

私もよくあります。「今日はスカイプちゃんまたご機嫌が斜めですね〜(笑)」というように。

 

解放の笑い

ソマティックなセッションをやってたりすると、、、

いい流れで解放が起こった時に、笑いが出てくることがあります。

そのような笑いがあることを知りましょう。

そして、十分時間をとって、どんどん笑っていいんだと促してあげることが必須です。

ゲラゲラ笑うのは不謹慎だと思っているクライアントさんもおられます。

 

リフレームの笑い

問題があると、人は一定方向からしる傾向に陥ることもありますよね。

そんな時に視点を変えるリフレームが、たまに役に立つのです。

笑いもリフレームを起こす、一つの方法というわけです。

絶妙な加減でやらないと、傷ついてしまうことがあるので注意が必要です。

 

もういっちょどうぞ ⬇︎

 

日本語訳「最近、仕事関係でストレスが溜まっていて、、、」

まあ、そりゃ、、、ね〜(笑)

 

 

笑いを提供しようと思わない方がいい

 

注意点はあるにせよ、笑いが心理療法にポジティブな影響があることは明らかです。

じゃあ、冗談を言ってみよう! ギャグを考えなきゃ! ではないのです(笑)

支援者であるあなた自身が自然体でいることが一番大事かと思います。

笑いを取り入れる、という操作的なことではないと思います。

興味を持ちましょう。探求しましょう。人の心や体、実はとっても興味深いのです!

そんな好奇心を持って、自然体でいれば、いいタイミングで、クライアントのためにもなる、笑いが起こるかも〜!(笑)

 

まとめ

笑いは大事。
笑いと言っても、色々な種類の笑いがある。

 

支援者は、自分の笑いに注意しましょう。

過覚醒状態で笑っていませんか?
無意識に抵抗して笑っていませんか?
自然に笑えない自分がいますか?

 

笑いを効果的に使うには?

クライアントと笑いの関係をヒアリングする
何の笑いなのかを明確にする
解放の笑い、というのを知る
関西圏など、自分の地域を意識する
リフレームとしての笑いがある