様々なモードが切り替わる「解離」
そんな人が来てもどう対応すればいいかわかりません。
普段、臨床をやっていてもイマイチうまく対応できない。そんなことありませんか?
海外の先生の知恵もお借りしながら、カウンセリング現場の具体例も挙げながら、
少しでもお役に立つようにお伝えしていきますね。
コンテンツ
センソリーモーター心理療法のパットオグデン先生の話
「トラウマと身体」で著名なパットオグデン先生のZoomセミナーに参加した時の話。
コロナになってから海外の先生たちが濃い内容のZoomセミナーをやっています。
ある意味、私にとっては参加しやすくていいです。
その先生のZoomセミナーでこんな話がありました。
「解離の対応が難しい」そんな報告を支援者からよく聞くのだそう。
人格、自我状態、パーツの解離っていう意味です。私もよく支援者から聞かれます。
だから先生がどう答えるのか、、、耳をダンボにして聞きました!
先生はこう言われました。「難しく感じても自然だと思う。」
「だって、パーツさんたちそれぞれ違うんだもん」
だもん、、、!? そんな言い回しかどうかは別にして。
私にはそう聞こえました。「だって違うんだもん」みたいに(笑)
「いやいや、そもそも違うから」というように。
パーツたち、それぞれ、思考も違う、気持ちも違う、目的も違う、ニーズも違う。
あっ、間違えたッ! 思考も違うんだもん。気持ちも違うんだもん(笑)
色々違うんだもん。だからこそ、同じようにやってもダメなのです。そんな話でした。
次に、実際の現場の例でお伝えしていきますね。
安心できる場所というリソースのやり方
トラウマセラピーをやる上で、最初の方にリソースを構築する目的で「安心できる場所」を提案したりしますよね。
あなたの安心安全を感じれる実際の場所、もしくは架空の場所をイメージしたり、感じたりというように。
でも、うまくいかないことありませんか? 定着しないという意味です。
よく感じられません、見つかりません、などよくあります。
その1つの重要な理由は、、、大人の部分は、やりたい、よくなりたい、改善したい、そう思っている。
でも、そう思っていな部分もあるからなのです。さらに具体的な例をあげますね。
交感神経の過覚醒的なパーツ
関わっているクライアントの中に「企業戦士的なパーツ」がいるとします。
過覚醒で逆境や虐待をサバイバルしてきたパーツとかもいます。
このパーツは、安心できる場所をやりましょう、という提案にどのように反応すると思いますか?
「安心できる場所!?」「安心してる場合かぁ!?」
「それよりも結果残さんかい!」ってね(笑)
だってゆったり安心してるよりも、忙しくして頑張った方がいい戦略だと思っているのです。
背側のシャットダウン的なパーツ
「ナマケモノちゃん的なパーツ」がいたとします。
このパーツは感じない、やらない、シャットダウンするなど虐待やトラウマを、サバイバルしてきたのです。
安心を感じる、なんてことに対しては、どのように反応すると思いますか?
「ま〜いいんじゃない〜でも私やんないよ〜(笑)」というように反応したりするのです。
補足ですが、このような内的なパーツ(部分や傾向性)は、
重いトラウマを抱えた人にも多いけど、心の健康度がある程度高い人にもあるのです。
あなたもありますよね? こうなりたい、でもそうできない自分とか。
さあ、もうちょっとお伝えしていきますね。
内的家族システム療法などのパーツ心理学的なアプローチも必須
大人の部分は「やりたい」と言っている。企業戦士やナマケモノちゃんは、「やりたくない」と言っている。
臨床で何かをやる時に、やりたい人、やりたくない人、両方がいるものだと思って進めると自然に流れていきます。
例えばこのようなことです。
お姉ちゃんはディズニーランドへ行きたい! 弟はUSJに行きたい! 妹は家にいたい!
じゃあ、どないしよか〜って考える必要があるのです。
ディズニーランド行きたい! USJ行きたい! これを無視すると、家族崩壊が起きますよ!(笑)
そんなことを意識して臨床をやってみると新たな発見があるかもですよ。
ポリヴェーガル理論的な心理臨床も求められる
色々な部分が私たちの中にはあるのです。過覚醒的であったり、シャットダウン的であったりします。
そこにしっかり対応していかないと、何をやっても効果が出ないのです。
ポリヴェーガル理論的な視点を持つ必要もあるのです。
今目の前のクライアントがどのような状態になっているのかを常にモニターすることでもあるのです。
「今、ちょっと覚醒したな」とか。「あ、少しシャットダウン気味になってきたな」というように。
トラウマセラピーをやる時の解離の対応をうまくなる方法(体験的なワーク)
解離の対応法をお伝えするのに、ちょっと体験的なワークをしてみませんか?
あなたが対応したことある、誰でもいいので1人、クライアント思い浮かべれますか?
臨床やったことなかったら、練習相手でもいいし、友人でもいいです。
その人とカウンセリングをするとします。今、目の前にいるとイメージしてみる。
できました?
目の前にいる人、、、何人いますか? 本当に1人ですか?
何を言ってるんだ。「さっき、1人をイメージして」って言ったよね。
1人に決まってるだろ! そ、そうなのですが、、、本当に1人なのか? ということです。
あえて、、、何人かで来てる。そう思ってみませんか?
こう言われるかもしれません。
目の前の人の中には色々なパーツがいて、、、、違う違う(笑)
内的な家族とか内的なパーツとか言ってません。
5人くらいで来てる。そう思うのです。そう思ってみる、ということ。
そう思ってカウンセリングをしようとしてみてください。
今、実際に目の前の数人相手に声をかけてみる。どうなりますか?
そうそう。その感覚なのです。こ、このワーク、やらないとわからないですよ(笑)
数人いると思って普段の臨床をやってみてはいかがでしょうか?
間違っても、クライアントに声に出して、、、「あなたの横に4人くらいいますね?」なんて言ってはダメですよ(笑)
解離性同一性障害(多重人格)の人との臨床を経験する
もう一つの解離の対応法を効果的にするには、、、いわゆる多重人格(DID)の臨床を少しでもやってみるということ。
解離の対応が、とってもうまくなるというか、自然にやれるようになります。
まあ、倫理的な問題も出てきますよね。
全く経験がないと、ある程度やれる人にリファーする方がいいと思います。
でも、DIDまでいかなくても、ある程度その傾向の人とやったことがあったら、自分で対応してもいいと思います。
私自身、DIDと呼ぶのは好きではなのですが、そのような方と臨床をすればするほど、
解離の対応に、とても役に立ったと感じています。
まずはこちらの記事を参考にどうぞ。
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最後に、、、
解離という傾向は、本人も苦労するし、
それを対応する支援者も苦労することが多いです。
だからこそ、しっかりやれるようになることが必須だと思います。
解離を対応できるようになると、他のテーマや悩みも、うまくできるようになると思ってもいます。