心理系、福祉系、教育系、医療系、ボディ系の対人支援者へ。
対人支援の仕事をしていると、気づけば、いつも疲れていませんか?
頑張っているのに、なぜか、疲れが抜けない。
その原因を探るため、愛犬ポムと一緒に、3つの団体へ調査に行ってきました。
そこで見たのは、笑えて、驚いて、少し身に覚えのある光景でした。
この物語を通して、支援者が疲れてしまう理由と、
その先にあるヒントをお届けします。
コンテンツ
なぜ支援者は疲れるのか【調査①】
多くの支援者の悩みは、疲れているということです。
その疲れの原因の一つに、ある団体が関係しているようなのです。
その調査のために、山口さんと愛犬ポムは、その団体に来ました。
ビルは、まるごとその団体のものでした。
入り口はとてもゴージャスでした。
中に入ると、対人支援者らしき会員たちが、500人も席に座っていました。
講演会が始まりました。
イエス会の教祖が出てきました。
髭面で、年配の男性でした。
教団のような衣装を着て、みんなの前に立ちました。
そして、教祖がゆっくりと右手を上げます。
すると、会場が声を揃えて答えます。
「イエス!」
それは、ものすごい迫力でした。
教祖は、イエスの大事さ、自由に生きること、人生のためになる話をしました。
そして、マイクを持って、一人ずつに聞きました。
「自分を愛していますか?」
「イエス!」
「人に貢献していますか?」
「イエス!」
教祖はとても嬉しそうでした。
生き生きとしてきました。
そして、次は、ポムに向かってマイクが向けられました。
「毎日を頑張っていますか?」
ポムは一瞬、黙りました。
ポムは教祖に向かって言いました。
「ノー!!」
会場中に響き渡りました。
教祖は愕然として、立ちすくみました。
ポムはもう一度、叫ぶように、「ノー!!」
教祖は目が点になり、膝から崩れ落ちました。
山口さんは込み上げる笑いをぐっとこらえました(笑)
教祖はよたよたしながら、付き人に支えられて去っていきました。
ポツポツと拍手が起こりました。
みんな呆然としています。
なぜ、イエスと言ってしまうのでしょうか?
支援者には、ノーと言える環境で、育ってきてない人もおられますよね。
イエスと言って、合わせて生きてきました。
それは、疲れますよね。
だって、お願いされてイエスと言うと、やることが増えますよね。
だから、疲れるわけです。
そういえば、イエス会は月額2万円のサブスクでした。
イエスを言い続けると、お金もエネルギーも引き落とされ続けるのです(笑)
でも、支援にもノーが必要な時があるんです。
自分を大事にするためにも。
ただ、それは、簡単なことではないですよね。
ノーと言えるようになるには、何が必要なのでしょうか?
その後……
イエス会の会員はどんどん減っているようです。
教祖の体調不良で、セミナーも開かれていないようです。
イエス会を解体に追い込んだポム(笑)
ポムは、ちょっと言い過ぎたかな、と気にしていました。
なぜ支援者は無理して聞いてしまうのか【調査②】
多くの支援者が疲れています。
その調査の続きです。
2つ目の団体は、郊外の古民家にありました。
玄関には、手書きの看板がありました。
「聞き役サポート協会」
少し傾いていました(笑)
中に入ると、畳の部屋に、十数人の会員が集まっていました。
2人1組で、聞く練習をしていました。
何を言われても、「うんうん」とうなずいていました。
うなずきが半端なく多くて、首が痛そうな会員が一人いました(笑)
みなさん、献身的で、温かい雰囲気でした。
でも、少し無理をしているようにも見えました。
会長も、聞く練習をしていました。
優しい雰囲気の、カーディガン姿の年配の女性でした。
目の下には、うっすらクマがありました。
「うんうん」と話を聞き続けている会長の足元に、ポムは座りました。
山口さんは、程よい距離で見守っていました。
会長は、聞き続けながら、ポムをよしよしと撫でます。
しばらくすると、静かに涙が流れてきます。
練習のあと、会長は言いました。
「私、無理していたのね」
「みんなにも、無理させていたのかな」
「ごめんなさいね」
会員たちは、うなずくのをやめて、静かに会長を見ていました。
ポムは会長のそばに居続けていました。
なぜ、ここまで一生懸命に聞いてしまうのでしょうか?
聞くことは、とても大切です。
ただ、聞き続けるだけでは、支援者のほうが先に疲れてしまいます。
家族の中で、聞き役に回ってきた歴史がある人もいます。
優しい人が聞き役に回りやすいです。
聞き役をずっとやってきたことは、あなたの強みでもあるのです。
でも、無意識に聞きすぎてしまう。
それが疲れる原因にもなります。
無理して聞きすぎる必要はありません。
効果的な支援には、聞く以外にも、やることが沢山あります。
そういえば、聞き役サポート協会は月額2000円のサブスクでした。
安すぎます(笑)
でも、引き落とされていたのはお金より、エネルギーでした。
その日の帰り際、会長は山口さんとポムに言いました。
「楽に自然体で聞ける支援者を育てていきたいんです」
「でも、どうすればいいのかしら」
会長の目に光が戻っていました。
帰り道、ポムはルンルンと、嬉しそうに歩いていました。
なぜ支援者は頑張りすぎてしまうのか【調査③】
多くの支援者が疲れている現実があります。
今日も山口さんとポムは、調査のために、団体を訪問します。
セミナー会場で、「頑張る塾」は開催されていました。
会場には、100名ほどの対人支援者がいました。
この塾は、月額1万円のサブスクのようです。
毎朝6時から、オンラインで朝活もやっているようです。
山口さんとポムは、一番前の席に座りました。
ついに、講師が登場します。
スーツ姿の細マッチョな男性で、メガネに鉢巻き姿です。
みんなから、「頑張るマン」と呼ばれています。
「なぜ頑張る必要があるのか」「頑張ることで変えられる未来」
について、彼は熱弁しました。
会場のエネルギーはどんどん高まっていきました。
その間にも、頑張るマンは栄養ドリンクを1本、飲み干していました(笑)
「さあ、今週も頑張っていこう!」
参加者は、元気よく手を上げます。
ポムも最初は前足を上げて、頑張るふりをしていました。
でも、いつの間にかポムは寝ていました。
やがて、頑張るマンはポムが寝ていることに気づきました(笑)
それでも、頑張るマンはポムに言い続けました。
「頑張りましょう」
「起きましょう」
でも、ポムは完全に熟睡して、起きる気配はありません。
会場にいた人も、クスクス笑い出しました(笑)
声をかけてもポムが起きないので、
頑張るマンは、疲れ果て、座り込んでしまいました。
そして、声にならない声で言いました。
「きょ、今日は……これで、終わりましょう」
山口さんは頑張るマンに言いました。
「頑張るマンさん、十分頑張ってきたと思いますよ」
頑張るマンは微妙な顔だけど、どこか嬉しそうでした。
なぜ、ここまで頑張ってしまうのでしょうか?
現実社会は厳しく、仕事、家事、子育て、忙しい日々を送っている人もいますよね。
対人支援者は頑張り屋さんが多いです。
支援者になるために勉強し、何十年も人の悩みに寄り添い続けてきました。
それは、本当に素晴らしく、誇らしいことです。
ただ、頑張り続けるうちに、疲れ果て、バーンアウトしてしまう人もいます。
だからこそ、自分自身をケアして、いたわることが大事です。
でも、奥深いところで、「もっと頑張らなきゃ」
という思いがあるのではないでしょうか。
帰り際、頑張るマンはへたり込んだまま、言いました。
「神経がずぶといワンちゃんですね」(笑)
山口さんはにっこりして、ポムを抱っこして、帰っていきました。
疲れない支援者になるには【3人のその後】
山口さんとポムは、夕日の見える縁側に座っていました。
これまで訪問した3つの団体のことを、思い出していました。
「そういえば、ポム」
「何でもイエスと言うイエス会の教祖、覚えてる?」
「手紙が届いたよ」
手紙には、こう書いてありました。
「実は、前からやめたいと思っていました」
「でも、どうノーと言っていいか、分かりませんでした」
「最近は、少しずつ断れるようになって、のんびり過ごしています」
ポムは、ノーと強く言ってしまったことを、気にしていました。
手紙を読んで、ほっとした様子でした。
「そういえばさぁ」
「ポムをヨシヨシしながら、涙を流していた会長、覚えてる?」
「うんうん話を聞く、聞き役サポート協会ね」
「楽に話を聞く協会という名前に変わったみたいだよ(笑)」
「みんなで、どうしたら楽に話を聞けるのか、探求しているみたいよ」
ポムは、前のめりで「うんうん」と聞いています(笑)
「そういえば、もう一人いたよね」
「頑張るマン、覚えてる?」
「寝ているポムに、『頑張りましょう!』って言い続けていた人」
「あの人、あれからもずっと頑張っていたみたいよ」
「いろんなことを試しては、また頑張ってしまうんだって」
「そんな頑張るマンが最後にたどり着いたのは、森って聞いたよ」
「森の中で一人、『何を頑張れって言うんだよ!』ってなったみたい(笑)」
「そして最後には『そんなに頑張らなくてもいいかも』って、
ニコニコしてたらしいよ」
「支援者の中にもイエスと言いすぎる人、聞きすぎる人、頑張りすぎる人、多いよね」
山口さんは一生懸命、みんなのことを考え始めました。
「結局さ、手放すってことだよね」
「でも、無理にやめようとせずに、やめられる自分になっていくことかな」
「そのためには、心と体を育てていくことが土台になるんだよね」
でも、気づきます。
「私、今また頑張って考えちゃってたよ」
「まあ、それぞれのペースでいいよね」
「なんとかなるよね、ポム」
ふと見ると、さっきまで起きていたポムは爆睡中でした。
「寝てるんか~い」(笑)
ひと呼吸ついて、山口さんは、夕日を見つめました。
さて、ここからはサブスクを解約する話。
イエス会は、月額2万円。
聞き役サポート協会は、月額2000円。
頑張る塾は、月額1万円。
こういうサブスクに入り続ける限り、お金は減っていきます。
と同時に、エネルギーも減り続けます。
あなたは、こんなサブスクに入っていませんか?
断れないサブスク。
聞きすぎるサブスク。
頑張りすぎるサブスク。
しかも、自動更新です(笑)
長年続けてきた習慣は、簡単には解約できないですよね。
でも、少しずつなら、変えていけるかもしれません。
ひとつだけ、頑張るのをやめてみる。
無理なお願いをひとつだけ断ってみる。
少しだけ、自分を優先してみる。
そんな小さなことから始めてみるのはどうでしょうか。
おわり










