交流がある大学の先生より質問を頂きました。
それの答えになるようにお伝えしていきます。
トラウマに直面した時に、防衛する反応についてです。
最悪な状況で自分をどう守のか?
その防衛反応を理解して対応することは心理カウンセリングの臨床現場では必須になってきます。
まず動画をどうぞ
⬇︎
コンテンツ
トラウマ時の防衛反応|闘争、逃走、フリーズ、媚びる
虐待を受ける、ハラスメントを受ける、ありとあらゆるトラウマがありますよね。
そんなトラウマに人はしっかり反応するのです。
闘うぜ! Fight
逃げるよ! Flight
フリーズしちゃう! Freeze
が基本ですよね。以前に別の記事でも書いたのが⋯⋯
媚を売らなきゃ! Fawn という防衛反応もあります。
闘うことも、逃げることもできないと判断した場合、フリーズして固まるのです。
もしくは、加害者に媚を売って加害されることを最小限に抑えようとするのです。
大事なポイントは、どの戦略も防衛反応と言われてるだけあって、自分を守ための最善の策なのです。
トラウマに遭った時の防衛反応(5つ目)
実は、もう1つ⋯⋯防衛反応があるのです。
考えてみませんか?
やな奴にからまれてるんです。今まさに、あなたは胸ぐらを掴まれてるんです(笑)
闘ったり、逃げたり、フリーズしたり、媚びたり、あと1つはコレです!
やな奴の手を振り払って、心の中でこう叫ぼう!
か・め・は・め・は〜!!!!!
なんか手から出るかも(笑)
しょうもない脱線はさておき⋯⋯
やな奴にボコボコにやられると⋯⋯こんな戦略をとるんです。
気絶しちゃいま〜す!(笑)
もう無理って、気を失うんです。faintとか言います。
死んだふりです。ふりというか、死ぬ準備をし始める。冬眠するクマちゃんのように。
もしくは、幽体離脱〜自分の体から抜ける、離人するのです。
Depersonalizeとか言います。解離するDissociateとか言います。
パソコンであれば、急に画面が真っ暗〜! 家のブレーカー落ちた! Shutdownとか言います。
まとめて、Flopと言ってもいいでしょう。
防衛反応であるFlopを明確にする
そうそう大学の先生の質問は、「このFlopってどういう意味ですか?」
検索してもよくわからないし、書籍にも迎合とか訳されてたけど⋯⋯
いまいちピントこない⋯⋯という質問だったのです。
Flopが迎合とか訳されたりもしてるようですが、私的にはシャットダウンが一番しっくりきます。
迎合はどっちか言うとFawnの「媚びる」の方かと。
シャットダウンするから、結果、媚びたり、迎合するとも言えますよね。
まあまあ細かい話はこの辺にしましょう(笑)
定義なので人によって、目的によって、色々な言い方があります。
大事なのは知的に理解することもそうですが、臨床に役立つための概念であり、定義ですよね。
この辺もうちょっと掘り下げていきますね。
フリーズ反応には2種類があった!?
まとめますね。トラウマ時に防衛する反応は⋯⋯
闘うぜ! Fight
逃げるよ! Flight
フリーズしちゃう! Freeze
が基本。さらには⋯⋯
媚を売らなきゃ! Fawn
気絶しちゃいま〜す! Faint、Flop、Shutdown
ということでした。
そして今回の内容は、「フリーズする」これには2種類あるんだよって話です。
ストーリーで説明していきますね。
サバンナでの日常(防衛反応を学ぶ)
アフリカの大草原⋯⋯春先のお昼⋯⋯
シマウマちゃんは、のんびりとむしゃむしゃ食事をしていました。
だいぶ離れた草陰から「カサカサ」と音がしたのです。
そっちの方をよく見ると⋯⋯
ライオンではないですか!
「やばっ!」シマウマちゃんは隠れる場所を探して走り出しました。
木が数本生えていて、ちょうどいい場所に隠れました。
そこから再度ライオンを確認したら⋯⋯
ぎゃっ!
ライオン、こっち向いてんじゃね?
心拍数は爆あがりです。
木の影から、もう一度確認します。
ライオン、絶対こっち向いてるやん〜!!!
そしてゆっくりこっちに向かって歩いてきた〜!!!
シマウマちゃんは、身動き取れず、息をひそめ、パニック状態です。
「どないしよ〜!」
「あいつと闘う!?」
「ライオン野郎、一回しばきたいけどな!」
「いやいや、無理でしょ⋯⋯(笑)」
「自分にツッコミを入れてる場合かぁ〜!!!」
そうそうこれがフリーズという状態です。
もう1つのフリーズ
もうちょっと話を続けますね。
シマウマちゃんはパニック状態で、走り出しました。
ライオンもシマウマちゃんを追いかけます!
シマウマちゃんも全速力で逃げます!
でも最終的には、ライオンに追いつかれました。
倒されたシマウマは、なんとかライオンを振り払おうと闘います。
もがいても、もがいても、ライオンは押さえつけてきます。
もう無理だ⋯⋯シマウマは降参して、暴れなくなりました。
この状態が、シャットダウンです。
flop, faint, shutdownです。
シマウマちゃんの話からもわかる通り、
フリーズとシャットダウンが全く別だとわかりましたよね。
フリーズとシャットダウン全く違う
背景を少し説明しますね。
10年くらい前は、3Fって言われてました。
闘う
逃げる
フリーズ
でもだんだんフリーズって2パターンあるんじゃね? ってなってきたのです。
1つは、恐怖などで体が固まってフリーズ状態。
もう1つは、気が遠くなってシャットダウン状態。
これらをまとめてフリーズって言ってたけど、
ちゃんと別々にした方がいいんじゃないの?
ということで5つ目の気絶しちゃいま〜す! Faint、Flop、Shutdownということなのです。
繰り返しますが、フリーズとシャットダウン全くの別物だよ! ということなのです。
固まってる、身動き取れない、行動レベルでは同じような印象がありますが⋯⋯
内面で起こっていることは、全くの別の現象です。
カウンセリングの現場でフリーズとシャットダウンを見分ける
まず見分けるのが大事ですよね。
「動けない」という意味では同じなので、同じように扱ってしまうのです
でもそれだと色々と不都合が出てきます。
まずはフリーズとシャットダウン全く別物。
それを知ることがまずは大事になってきます。
シマウマちゃんのその後⋯⋯
えっ? シマウマちゃんは、その後どうなったか?
ライオンはシマウマちゃんを取り押さえて⋯⋯
安心したのか、他のシマウマに意識がいきました。
ふと振り返った時には、もうすでに⋯⋯
シマウマちゃんの姿はなかった⋯⋯
フリーズ、シャットダウン、気絶などを深めるQ&A
メルマガ読者さんより、いくつか深まる質問を頂きました。
質問① どの防衛反応を選ぶのが最適?
フリーズとシャットダウンは全く別物! よくわかりました。
私だったら、気絶がいいかな? と思いましたが……
でもそうすると、ライオンがあっち向いたすきに逃げられない(笑)
どの戦略がいいのでしょうか?
山口より
結論から言うと、闘う、逃げる、これが出来ればサイコーですね。
でも仕方なく、フリーズ、シャットダウン、媚びる、をするしかないんです。
その中でどれがいいのか? どの戦略を選んでもトレードオフです。
メリットとデメリットがあるのです。
フリーズとシャットダウンの質問なので、その違いをお伝えしますと⋯⋯
「気絶がいいな」と言われました。そうなんです。
気絶の良いところは、その出来事を体験しなくて済むのです。
痛い、苦しい、怖い、加害者の顔、そんな記憶を持たなくて済みます。
でも気絶のデメリットは、身体記憶には残ります。
もう1つは、おっしゃる通り、ライオンが油断したすきに逃げにくいのです。
そして、フリーズは、ブレーキとアクセルを一緒に踏んでるようなもの。
逃げたいけど逃げれなくて固まっている。
これはものすごく体に負担なのです。でも逃げれる可能性を秘めているのです。
スキあらば逃げたるで〜 てね(笑)
だからどの戦略にするかは、その人の選択というのもちょっとはあるけど、
状況によります。最初はフリーズ⋯⋯でも、毎日繰り返される虐待だったら、
もうシャットダウンするしかないのです。
質問② フリーズとシャットダウンに関して
シマウマちゃんの、その後の人生いや馬生に与える影響はどう違うのでしょうか?
山口より
シマウマちゃんで言います(笑)
シマウマちゃんは、どっちの戦略を取ると思いますか?
私は動物の専門家ではないので憶測になりますが、
シマウマちゃんは、ほとんどフリーズを選ぶと思います。
だって逃げれる可能性があるから。
死んだふりみたいにして相手を油断させるとかもあると思うけど、
シマウマちゃんが本当に気絶したり、シャットダウンするのは、
死を覚悟した時です。死ぬ時です。
この辺は人間とは違うのかと。
人間みたいにライオンはシマウマを虐待しない。支配もしない。
ただ生きるために食べてるだけ。
質問③ 気絶とシャットダウンに関して
この2つは微妙に違うのでしょうか?
山口より
定義の問題なので、
そこまでこだわらなくてもいいかもですが、
シャットダウンは広い意味で使われてると思います。
気絶も、そのうちの1つという理解でいいかと思いました。
気絶というのは、意識レベルがどうなるか? ということに注目した概念ですよね。
シャットダウンというは、もっと広い意味で、
神経系、意識レベル、行動レベル、精神状態、色々なことを意味した用語です。
質問④ 気絶に関して
気絶は気を失ってるけど、どっか、深い所で意識があるのでしょうか?
山口より
気絶も程度によります。
軽いところから言うと、あまり感じない状態。
意識は少しあるけど、、、ほとんど覚えていない。
完全に気絶して、記憶もなくなる。
ということかと思います。
深いところというのは、無意識とか言ってもいいです。
身体記憶にはトラウマは刻み込まれるので、完全な気絶というのは
あり得ないとも言えそうです。
最後に
トラウマや虐待は本当はなくていいのも。
でもトラウマ的なことを体験せずに生きていける人はいないと思っています。
闘争、逃走、フリーズ、媚びる、シャットダウン⋯⋯という防衛反応、
どれがいいのか? みたいなことではなくて、
その人や動物によって、状況によって、
最適なサバイバルをするために使い分けているのです。
今回の記事は、質問してくださった人と共にできたと思っています。
本当にありがとうございました!