自然は最強のセラピスト | 自然から学ぶ支援者の在り方

 

オフィスPomuの総合トレーニング卒業生 Tomoko です。

心も体も健やかに元気でいたい、これは多くの人が願うことでしょう。

私たち人間は自然の恩恵に触れ、癒されます。

自然は最強のセラピストかもしれない。

そして私たち支援者が自然に学ぶことは多くあるかも。

今回はそんなお話です。

 

「カウンセラーは悩むことなんてないでしょ?」

 

私は、友人からそんな風に言われたことがあります。

カウンセラーに悩みごとはない?

いえいえ、カウンセラーだって人間です。

神様ではないので、悩むことも大いにあります。

 

私が新米カウンセラーだった頃、

ある問題を抱えて、とても悩んだことがありました。

頭の中でずっとグルグル考えている(過覚醒状態)

でも体がしんどくて動かない(シャットダウン状態)

頭はアクセルを踏んでいるのに、体にはブレーキがかかっている。

動きたいのに動けないという葛藤状態に陥っていました。

 

 

ついに日常生活に支障が……

 

私は「ああでもない、こうでもない」と考え込み、

起きた出来事について、自分を責めてばかりいました。

 

 

そして仕事がまともにできなくなり、とうとう日常生活にまで支障が出たのです。

  • 眠れない
  • 食欲不振
  • だるい

 

  • やる気がでない
  • 仕事に集中できない
  • 今までできていた家事ができない

 

  • テレビの音がうるさく感じられて仕方ない
  • 殺人などのニュースを聞くのが辛い

 

  • 字を書くと、なぜかゆがむ
  • 目の前に人がいても、遠くにいるような感じがする

 

  • 外出することがとてもおっくうである
  • 人と会うのが怖い……

 

弱りはてた私は、薬をもらいに心療内科を訪れました。

 

 

カウンセラーが鬱になる!?

 

診断の結果『抑うつ神経症』と病名がつけられて、

抗不安薬と眠剤を処方されました。

しかし薬はあまり効かず、鬱々と家で過ごす日々が続きました。

「全然、良くならない」と私はあせりました。

そしてあせればあせるほど、空回りしているようでした。

 

 

薬が効かない……

 

当時の私はグルグル思考に囚われて、不眠に悩んでいました。

不眠は表向きの悩みと言えるかもしれません。

厄介なのは、薬だけでは問題は解決しなかったのです。

薬を飲んでもなかなか眠れず、質のいい睡眠がとれませんでした。

 

わたしの辛い気持ちを聞いてくれる人はいました。

話を聞いてもらうと、そのときは幾分か気持ちも楽になりました。

しかし言葉で語って、いくら聞いてもらっても、話はグルグルと堂々巡りをします。

頭の中でグルグル考え続けているのとあまり変わりませんでした。

激しい運動をしているわけでもないのに、体がクタクタになりました。

「私は一体どうなってしまうのだろう」という不安でいっぱいでした。

どうしたらこのグルグルを止めて、この状態から抜け出られるのだろうか。

そんなことを考えて、またグルグルしていました。

 

 

ただあるがままに自然と繋がった

 

ある日、私は久しぶりにキッチンの窓からぽんやりと空を見ていました。

青空が広がる春の日でした。

空には綿のような雲が浮かんでいます。

 

 

雲は動かず止まっているように見えました。

私はまったく変化のない雲を見て「今の自分みたいだ」と思いました。

そのまま空の雲をぼぉっと眺め続けていました。

そのとき「あっ」と思ったのです。

雲が動いている!

とてもゆっくり。

少しずつだけれど、雲の形が変わっている!

私はまるで大発見をしたような気分になり、嬉しくなりました。

青空や雲をただ眺めていると、頭蓋骨がゆるみ、

グルグルと考え続ける感じが少しマシになりました。

ゆるんだ頭蓋骨のすき間から、新しい風が吹き込んできたようでした。

 

そしてまったく新しい考えが、私の頭の中に浮かんできたのです。

動きもなく形が変わらないように見える雲でも、わずかでも変化している。

この世で変わらないものは何一つない。

今は動くことができない私でも、いつかは変わることができるかもしれない!

頭の中でグルグルと囚われていたことが、ほどけた感じでした。

あせる気持ちがゆるまり、少し楽になった気がしました。

 

 

『今の私』が『当時の私』にカウンセリングするとしたら?

 

当時の私が今の私の所へカウンセリングを受けにきたら、私はこういうでしょう。

 

「グルグルを止めようとしなくて大丈夫ですよ」

「グルグルしたままでいいです」

「そのままで、あなたが気に入る自然に自分の意識を向けてみましょう」

 

私はただ『雲を眺め、観察すること』に意識を向けます。

雲がゆっくり動いていることに気づいています。

雲の形が(これもとてもゆっくりとですが)変わっていくことにも気づいています。

そして空は青い。吸い込まれそうなほどに青い。

そのことにも気づいています。その感覚が心地よい。

私はホッとして、安心します。

瞑想のようですね。仮に『雲観瞑想』とでも名づけておきましょうか(笑)

 

 

自然はあるがまま

 

新緑の輝き

心地よい風

 

温かい春の日差し

きらめくような光

ふかふかした土の感触

 

清流に流れるマイナスイオンたっぷりの水しぶき

美しい夜空の星のまたたき……

 

私たちが自然に目を向けたとき、その心地よさに気がつくことがあります。

自然の心地よさを取り入れようと意識することで、すでに癒しが始まります。

ただ空は青く、雲がゆっくりと流れていました。

私がグルグルと考えていようといまいと、自然は私を責めたりしません。

何も言わず、自然はただあるがままです。

空の青色が心地よかった。

雲のふわっとした柔らかさに、私は安心しました。

私はあのとき『空の青さ』や『雲の柔らかさ』そのものになっていたのかも。

 

 

自然に触れることで、グルグル思考で固まった頭のコリが少しずつほぐされました。

「私も変わることができる」という気づきが生まれました。

雲はただ黙って、ほんの少しずつ変わっていく姿を私に見せていただけですが(笑)

私にとっては「空さん、雲さん、ありがとう」なのです。

自然に対して感謝する気持ちすら生まれてきました。

このときの私の体験は、回復への一歩になりました。

 

 

『在りよう』を自然から学ぶ

 

人は自分が望まないのに、急に「こうしろ」と命令されたら、ビックリするでしょう。

もしかしたら恐怖すらおぼえるかもしれません。

相手の「こうしたらいいよ」というアドバイスに、イラっとしたことはないでしょうか。

自然はただそこにあるだけです。

人間に対して「こうしてやろう」というような目的や意図を持ちません。

だからこそ、私たちは自然に触れたときに安心もするし、リラックスもします。

 

私がお伝えしたい自然に学ぶセラピストの在りようとは、

『セラピストがクライエントをどうこうしてやろうという気持ちを手放す』ということです。

もちろん私たち人間は自然と違って、色んな考えや欲を持っています。

だから良くも悪くも、目の前の相手をどうこうしたくなるものです。

そのときは『相手をどうこうしてやろうとしている自分』に気づけばいいのです。

それだけで、自分の在りようが変化し始めるでしょう。

まずセラピストがクライエントの前でただあるがままにいる。

このことがクライエントに対する最強のセラピーになることもあるのです。

 

 

自然と繋がってみよう

 

みなさまもご自分の身近な自然を探して、意識みられてはいかがでしょうか。

ただ、観るもよし。

ただ、聴くもよし。

嗅ぐもよし。

味わう、触れるもよし。

自然に触れ、そのエネルギーを感じることで、

自分の中の自然な部分つまり『自然パーツ』と繋がることができます。

このブログ読者のあなたなら、すでに『パーツ』という言葉をご存知かもしれません。

自分の中の『自然パーツ』と繋がり、自分の『自然パーツ』を育てる。

そのこと自体が、支援者であるあなた自身を整え、健康にして、

自然な在りよう、つまり自然体でいることを育ててくれるでしょう。