「孤独と寂しさ」の研究|理解と対応法を解説

 

① 「孤独」「寂しさ」の研究でわかった興味深い内容とは?

② トラウマと孤独感の深い関係とは?

③ カウンセリング現場での、孤独や疎外感の対応法とは?

これらの3点をお届けしていきますね。

 

孤独や引きこもりが戦略的な対応法?

 

孤独や引きこもりを戦略的に活用されている人も多いという視点があります。

それは素晴らしいことです。特にこのようなの時代。

引きこもり自体がリソースになっているということ。人と繋がっていなくても毎日を送れるという素晴らしい能力とも言えます。

さらに、人とも繋がりながら、一人でも有意義な時間を過ごす、という価値的な部分もありますよね。

 

 

疎外感や孤独のマイナス的な要因

 

疎外感があったり、強烈な寂しさや孤独感は耐え難いですよね。

孤独のマイナス的な要素があまりにも大きいのです。

 

ミシシッピー大学のKelly Wilson博士がわかりやすくまとめてくれています。

写真は先生のサイトより引用

研究をまとめると、、、社会的に人と関わらないと、、、

「食欲がなくなる」

「うつっぽくなる」

まあ、イメージ通りですよね。さらには、、、

「依存が強くなる」

ラットの研究でもそうです。隔離されたラットはオピオイド系の薬物に、どんどん依存していったのです。

さらに興味深いのは、、、

隔離された生活を続けたり、孤独で疎外感が強いと、、、

「探求しなくなる」そして「楽しいことをしなくなる」というのです。

一大事です(笑)

 

もうちょっと言うと、「楽しいことが目の前にあってもしなくなる!」

ショッキングですよね。目の前にあるのに。

あとは、ひとりだと、、、「問題や課題がより大きく感じる」

要するに、人と関わっていると抱えている問題や悩みが、小さいく感じるということです! 不思議ですよね。

 

 

トラウマセラピーをするカウンセラーとして孤独?

 

対人支援をやっているあなた、、、孤独を感じていませんか?

私がカナダにいた頃、何度も何度もスーパーバイザーに言われました。

「トラウマセラピーは一人でやってはダメだよ」

カナダにいた頃は勤務していたセンター代表のドン先生をはじめ、沢山の先輩やスーパーバイザーがいました。

だから日本に帰国してからも、サポートを「あ、え、て、、、」求めました。

対人支援をするのは思っている以上に大変です。心と体に影響を受けます。

 

孤独の研究をカウンセラーに応用してみる

サポートを受けずに対人支援をしていると、、、

「うつになる」

「依存が強くなる」

「探求しなくなる」

「楽しもうともしない」

「問題が大きくみえる」

研究の結果を応用すると、このような傾向になっても不思議ではありません。

 

私自身も過去に支援で疲れた時、上記のような傾向性が少し出てきた時がありました。

特に新米カウンセラーだった頃は、たまにありました。支えてくれる師匠や先輩がいたおかげで酷くならなかったのだと思います。

結構、「何とかしなきゃ」という思いが強かったのもあったと思います。

あなたはどうですが? 思い当たる節ありますか?

対人支援に圧倒されてませんか? 仕事を楽しんで充実していますか?

クライアントがグングンよくなると、支援が楽しくなります。

逆を言うと、スキル不足だと本当に苦しいと思います。

 

 

人との繋がりは量より質

 

海外のセラピストたちもよく言いますし、現場のカウンセリングを通じて思うのが、、、

人との繋がりは量ではなく質だと思います。

極端に言えば、10人、100人の何となく繋がっている人より、

本当に自分のことを理解して承認してくれる「一人」の方が大きいと思いませんか?

あの人が支えてくれたから、、、あの人の一言があったから、、、

というようなことありますよね。

私にとっては、お世話になったドン先生、若本先生、、、

一人ではなく二人ですが(笑)

ドン先生は現役を引退されていて、もう何年も話してませんし、若本先生はもう亡くなられています。

でも、今でもとっても大きな存在です。

心と心で強烈に繋がっている気がします。

 

 

トラウマを抱えて生きることの疎外感

 

トラウマや虐待を経験されて、サバイバルされてきた方々は、大きな大きな孤独感を抱えておられたりもします。

こんな経験をしたのは、自分だけではないのだろうか? という感覚になることもありますよね。

実際に、頭では「他の人も同じような辛い思いをしている」とわかっていても、そのような感覚になるのも自然。

そんな方々に、寄り添うのがカウンセラーのお役目です。

どうすれば、そのお役目をしっかりはたせるのか? その辺をお伝えしますね。

 

 

心理カウンセリングにおける孤独の対応法

1 心理カウンセラーや友人と繋がる

効果的なセラピーを提供することは前提としてあります。

ただ、支援者でもいいし、何らかの形で人と繋がっていることが孤独を和らげることに繋がると思います。

人から受けたトラウマであれば、人でなくてもいいですよね。

犬とか、愛犬ポムとか(笑)

 

猫でも、その他の動物でも。

実際にペットとして飼ってなくても、そのような本を読んだり、動画をみるとかでも。

自然でもいいですよね。山とか、川とか、海とか。

 

2 繋がる抵抗を解放する

人と繋がりたくても抵抗があるクライアントさんは多いです。

その抵抗をいいタイミングで、セッションで扱うこともよくあります。

繋がろうとした時に、どのような身体の反応があるのか?

例えば、「胸がつっかえてる」というような。

その辺を解放すると早いです。身体の反応だけでなく、内側から湧き出てくる言葉や感情という抵抗も扱う必要もあります。

抵抗をどのように扱うのか? ということはとても深いので、またの機会にもお伝えできればと思います。

一言では伝えれないのですが、1番のポイントは、抵抗は必要なことであって、自然なことなのです。

何か新しいものを取り入れようとすると、必然的に抵抗は出てきます。

 

3 自分の心と体と繋がる

人と繋がる前に、動物や自然と繋がることをお伝えしました。

それと同時に大事なことは、自分自身と繋がることです。

対人支援者は、そのサポートをするのが1番の仕事と言っても言い過ぎではありません。

感情に寄り添ったり、体の感覚を育てたりすることです。

体(ソマティック)のリソースを育てることです。

地に足をつけるグラウンディングをはじめ、目の使い方、体の姿勢や硬さなどと向き合っていくことです。

健康度が比較的高い人も、トラウマ症状に悩む人も、そのようなアプローチがまず必要です。

 

4 孤独の研究を応用する

孤独でいることや引きこもりが戦略的に必要だったこと、この部分を実感してもらうことも大事だと思います。

リソースになっているという意味付けです。

さらには、孤独や疎外感が強い人は、鬱や依存の傾向があるのかどうなのか? その辺の仮説を立てるのが大事です。

そして、心理のセッションを提供しても、探求する気持ちが少なかったり、リソースを見つけにくい、という場合もあるとわきまえておくことも大事です。

そういう意味では、孤独感が強いと、それなりに心理のカウンセリングも回数が必要になる傾向もあったりします。

そのようなことも頭の片隅において、日常の支援をされていくのがいいと思います。

 

 

孤独と疎外感のまとめ

 

私たちにとって、繋がりは必要なことです。社会という群れを作って進化してきたのです。

人は人を求めているのです。

このブログだって私とあなたの「繋がり」です。薄めの繋がりかもしれませんが(笑)

様々な形の繋がりがあっていい。

 

孤独や疎外感は本当に辛い感情であり、感覚だと思います。

人との繋がりが希薄になっている現代の社会で、どのようにその部分を満たしていくのか?

支援者をはじめ、私たち全てに共通する大事な課題ではないでしょうか。

まずは自分の心と体に、日常生活のちょっとしたスキマ時間に向き合ってみませんか?