感情がない、感情が薄い、克服法を心理カウンセリングの視点で解説

 

ぽむ
僕には感情あるのかなぁ~?

 

山口のぶき
ぽむ~。そりゃあるでしょ。おとなしい方だけどね。

 

ぽむ
おとなしくなんかないぞ~!(怒)

 

山口のぶき
無理して感情出してるし、、、ふふふっ。

 

あなたが対人支援者で、
感情がない、感情が薄いという
クライアントとのセッションで困っていませんか?

もしくはあなた自身が
そのことでお悩みでしょうか?

支援者でも、クライアントでも
役に立つ内容なので、
安心して読み進めてくださいね。

動画もあります。

 

感情を感じれるようになるには
まずはポジティブな感情から

やっていくなど、

5つの対応法をお伝えしています。

カナダで臨床していた時の
クライアントさんもご紹介。

トラウマセラピー業界の巨匠である
バンデルコーク先生は
感情を取り戻す方法は〇〇だと言いました⋯⋯

 

感情がない、感情が薄い原因と特徴とは

 

すぐに解決法をお伝えしたいのですが、
まずは感情が薄い理由を理解することが、
対応法に繋がると思います。

「感情が感じられない」
「自分の感情がわからない」

これには様々な要因があると思いますが、
養育者との関係が大きな
要因の1つだったりします。

特に、信頼している人からの
虐待が何度も繰り返されると、
感情が分離してしまう。

 

 

オフィスPomuで臨床した
虐待やトラウマを乗り越えてきた方々も
一定数で感情が薄い状態だったりします。

多くの虐待サバイバーさんは、
人生をサバイバルするのに
感情などを切り捨てないと
やって来れなかったとも言えます。

長年、体や感情を無視し続けると、
感情を取り戻すには長い時間と
根気がいる様に思います。

でも取り組みさえすれば
回復は可能です。

 

 

無気力、無関心、無表情、うつと無感情の関係

 

感情がない、感情が薄い状態と
共にあるのが、
よくわからない無気力。
何にも関心がない。

うつっぽいし、
無表情だと言われる、
ということも
カウンセリングの現場ではよく聞きます。

過去の繰り返された
トラウマによって感情を
感じなくなると、
様々な生きづらさが出てきます。

それくらい
感情というものは
私たちの日常生活の選択や
行動、人間関係、
気分に影響するということです。

 

 

悲しい感情や怒る感情がない、泣けない

 

カウンセリングの現場では
過去のトラウマ的な話をしても
悲しみ、怒りもない場合もあります。

そのように感情を抑圧している場合、
ゆっくり進めていく必要があります。

感情がないというのは
辛すぎて感じれないのです

だから、楽しい感情などから
ちょっとずつやっていく回復していく
必要があります。

 

 

より詳しいやり方は、
後ほどしっかりお伝えしますね。

 

 

嬉しい、楽しい感情がない

 

嬉しい感情、楽しい感情を
感じてみましょうと言っても、

それも感じなくされている
人も多いです。

トラウマやネガティブな感情
感じなくさせるということは、

同時に「楽しい、嬉しい、幸せ」などの
感情も抑圧してしまいます。

そこをまず、どのように
改善していくのかが
回復のヒントになります。

 

 

「感情がない」「感情が薄い」を改善する方法

 

ある程度、身体の感覚や
感情を感じれるようにならないと、
効果的にやれない、ということがあります。

本当にトラウマ症状が重いケースでは、
半年、1年とか経ってから、
やっと感じる系のワークが始められます

感情や体の感覚を
少しずつ取り戻す作業こそが、
真のセラピーといいますか、
大事な取り組みなのです。

感じる系のワークができないと
セラピーにならない、
そういう態度は支援者の知識不足です。

まずは感情や感覚を取り戻す作業です。

そこをやらないから
多くの〇〇療法とか

〇〇セラピーをすぐにやっても
効果が出ないのです。

要するに、
基礎(感情を取り戻すなど)をまずやってから
応用(トラウマ解放など)をやるということです。

 

動画で、感情を取り戻す方法を
お伝えしています。

↓    ↓    ↓

 

 

動画いかがだったでしょうか?

動画では話していないことも引き続き
この記事でお伝えしていきますね。

 

 

50年以上、感情を無視してきたクライアントさん

 

実際のクライアントさんを通じて、
理解を深めるためにお伝えします。

私がカナダのバンクーバーで
カウンセリングをしている時、
スティーブン(仮名)と出会いました。

幼少期の性的虐待によって、
とても生きずらそうでした。

彼は50年間、「怒り」以外の
感情を無視して生きてきてました。

彼はこう表現しました。

「自分自身の色々な感情はぐちゃぐちゃに絡み合っていて、固まっている。それは、洗濯して、脱水し終えたときの絡み合ってる洗濯物のようだ。それを無理に引っ張ろうとすると全部出てきそうで怖いのです。」

そして、私は言いました。

「ゆっくり、一枚一枚ずつ慎重に見ていきましょう。」

 

 

スティーブンは少し安堵の
表情を浮かべました。

カウンセリングを始めたばかりの
彼のような場合、
過去の出来事について語ってもらって

今どう感じますか?
どんな気持ちですか?

などの質問は早過ぎです。

後で分かったことですが、彼は頭で考えて、
「悲しみがこみ上げてくる」などと
無難なことを何度か言っていたのでした。

この方とは週一回のカウンセリングで
1年以上経ってからようやく、
しっかり今の気持ちを感じれるし、
言える様になりました。

彼は私のほかにアルコール依存の
カウンセリングや、
過去の犯罪を犯したことの
カウンセリングも同時に受けておられました。

さらに、毎週ある依存の
グループカウンセリングにも参加していました。
とてもまじめに、
回復に取り組んでおられました。

余談ですが、彼はすべての
カウンセリングやプログラムを
無料で受けていました。

安く見積もっても
月に15万円以上の費用です。

それが無料。

カナダのように、
日本も支援体制を整えることが必要です。

もちろん彼は
50代後半ということもあるが、
長年、感情を否定すると
これほどまでの時間と努力が
必要なのだと驚かされました。

それと同時に、何歳になっても
本人のやる気しだいで、
感情の「回復は可能」だという自信と証明を
頂いたことに私は感謝しています。

 

 

失感情症(アレキサイミヤ)とは

 

感情を感じない人のことを、
失感情症とかアレキサイミヤ
とも言ったりします。

トラウマや虐待などの体験と、
この失感情症は深く関係していると
思っています。

ただの診断名なので、
さらっと流して頂いて大丈夫です。

どのような診断を
受けているかは重要ではなく、

クライアントさんは、
どのような状態なのか?
何に悩んでおられるのか?
何を必要とされているのか?

が重要ですよね。

さあ、克服する方法を
1つ1つお伝えしていきますね。

 

 

感情が感じない場合のカウンセリング的な対処方法

 

ポジティブな感情から感じるようにする

では、実際にどのように感情を
回復する手助けをすればいいのか。

まず初めに、
ポジティブな感情からはじめましょう。

喜び、感謝、安心など。
そして、最近の出来事の感情を聞く。

例えば、3日前に会社で
いい発言が出来た、とか、

褒められた時に、
嬉しかったことなど、

小さな喜びからでいいわけですよね。
それをゆっくり、少しずつ感じることを促す。

1時間のセッションで
ずっとそういう系のことをしています。

一般の人がみたら
普通の日常会話をしているだけと感じるでしょう。

そんなのを淡々をやっていくのが
本当のトラウマセラピーです。

特に過酷な経験をしてきた
虐待サバイバーさんに関しては、
いい感情を表現したり感じるだけでも難しいのです。

だからこそ、じっくり時間をかけたいもんです。

 

 

パーツ心理学のANPとEP?

ちょっと角度を変えて、
パーツ心理学の視点です。

ちょっと慣れない言葉が
出てきます。

ANPとEPの関係でも説明が出来ます。

まず、支援者が働きかけるのは
ANP(日常生活の適応するパーツ)なのです。

日常生活を送ること、
社会生活をこなしていくには
様々なことが求められます。

会社の人間関係を作ったり、
プライベートの生活を充実させたり。

そんな部分で
どういうことを
感じているか
ということからやっていく。

日常生活に適応するANPは
EP(感情的な自分)を抑圧しようともします。

会社で仕事をするのに、
過去のトラウマの感情とか感じてられないですよね。

だから、支援者が感情的な部分である
EPに早すぎる段階で
アプローチしてしまうと、
うまくいかないのです。

もう感情とか、感じるとか、
嫌っ!ってなるのです(笑)

だから、まずANPを強化する。
日常の些細なことから。

出来れば、ポジティブなことから。
そうすると自然な形でEPに働きかけられる
段階に入ることが出来るのです。

この話、あまりピンと来なかったら
スルーしてください(笑)

簡単に言うと
初期の段階は、過去のトラウマ的なことと
関係している感情を掘り起こさない
ということです。

次の改善方法にいきましょう。

 

感情がないを改善する|過去の成育史を聞く方法

感情を回復させるのに
過去の成育史を細かく
聞いていくのです。

とにかく楽しかったことなどの
リソースの体験を聞いていく。

もちろんただ聞くだけではなく、
「感情を育てる」ことを目的として。

例えば、よく子供の頃
クライアントが公園で楽しく遊んでたとする。

そのことを語ってもらって、
その時どんな気持ちだったのか聞く。

そして、「今」そのことを話していて
どういう気持ちになるのかを聞くのいいでしょう。

どんな身体感覚なのかも聞くのもありです。

とても楽しそうなことを
思い出して話しているのに、
楽しい感情が感じられないときもあります。

淡々と話しているだけ。

そんな時はカウンセラーから
その楽しそうな
感情を言葉にしてあげる。

「みんなで公園で
遊んだのは楽しかったでしょうね」

というように。

そして、
リソースを構築したり、
安心感を感じてみたり、
強みを発見したり、
信頼感を育てて行ったり、
やることは山積みです。

ある程度、準備ができたら、
あまり心地よくなかった体験に
少しずつ寄り添うという流れになったりもします。

このある程度準備ができたら、
というのが言葉にするのが難しい部分もあります。

経験的に感じていくことでもあります。

明らかに嫌な出来事なのに
何も感じないという人には、

「お父さんにそのように言われる
と悲しくなってしまいそうですね」

という感じで
ポジティブなものと同じようにやっていきます。

ポジティブな感情を
感じれるようになると、
ある程度、嫌な感情も
感じれるようになっていくことが多いです。

 

サイコドラマ的に表現した感情を強化する

演技をするように
言葉を発してもらうこともいい方法です。

「私はお母さんのとこが嫌いだ!」
「私は怒っている」
「悲しい感じる」

などとあえて言葉を発してもらう。

そうすることによって
感情が芽生えてくることもある。

役を演じるのもいい方法かも。

まあ、私は普段の臨床で、
サイコドラマ的なことはほとんどしません。

ただ、1つの方法として
知っておくのはいいと思います。

まず役になりきることによって
感情を「体験」出来る。
悲しみで泣くこともあるかもしれない。

これもまずはポジティブな
感情からはじめたい。

そしてネガティブな感情に焦点を当てる。

感情という泥が
パイプに詰まっているから、

まずは極端にでも感情を
表現するのも一つの方法です。

でも無理やりとか、
やり過ぎはオススメしません。

クライアントと一緒になって
計画を立てるといいですよね。

あまり、クライアントさんが、
やらされている感でやっていると
効果が半減します。

欧米なんかでは表現することが
善みたいな文化なので、
日本人に合うかどうかは、
慎重にすべきだとも思っています。

ま、軽く言葉を言ってみる、
そんなことからでいいと思う。

 

チャイルドと出会う

もう一つの感情を育てるやり方は、
身近に実際にいるこどもや
一般的なこどもを想像してもらう。

姪っ子や甥っ子、
自分の子供でもいいでしょう。

そして、こう聞いてみる。

「その子が〇〇を体験したら、
どんな感情が出てくると思いますか?」

あなたはその子に
「どういう言葉をかけてあげますか?」というように。

想像力を育んでいくのです。

ある程度、回復が進んでくると、
インナーチャイルドワークをしてもいいですよね。

カウンセラーとクライアントが
タイムマシンに乗り、
「5才の頃」に感じることが
出来なかったこどもに
会いに行く、みたいな。

そのこどもに出会い
「つらかったんだね。」
と親に代わって伝えさせてもらう作業なのです。

インナーチャイルドワークというと、
「傷ついたこども」という印象が強いですが、

元気そうなこどもの自分、
喜んでそうなこどもの自分に
出会っていくということ視点も大事なのです。

 

 

トラウマセラピーの巨匠が言ったこと

あるセミナーで、Van Del Kolk 博士が
参加者から質問されました。

「トラウマを受けたこどもが
回復するにあたって、一番つけさせたい
力は何ですか?」

何て言ったと思います?
普通なら

「安心感」「信頼する力」
などと答えそうですよね。

 

 

しかし彼は「あそぶ力」と断言しました。

その理由として、虐待などに逢うと
楽しいことを想像したり、
あそぶ力というものが奪われてしまう。

生きることがサバイバルになり、
怒りと恐怖の感情ばかりに支配される。

その他の感情が薄くなり、
時には感情がなくなる傾向もある。

普段のカウンセリングの現場で
多くの虐待サバイバーさんたちの過去の話を聞くと、
楽しく遊んだ経験がとても少ないのです。

だから「遊ぶ力」をセラピーで育てるのです。

 

遊ぶという方法で「感じない」を克服

セラピーの中で
あそぶことで感情を育てるのです

子供はみんな遊びたいのです。

でも静かにしなさい、
おとなしくしてなさい、
大きな声を出さない、
というように窮屈だったのです。

オフィスPOMUには、
犬がいるので、一緒に遊んだり、
ゲーム的なことをすることもあります。

 

 

進藤さん(仮名、30代)は
感情を感じにくい人でした。

彼とは身体感覚の回復をしたり、
感情の回復についても
ポジティブな感情からはじめ、
成育史を聞きながら
感情を育てていきました。

進藤さんはのセッションでは
犬とも遊びました。

犬と遊んでいると
「それなりに」は楽しそうでした。

でも、とっても控えめな表現でした。

毎回のセッションでは
犬とあそぶ時間を作りました。

そんなことを数ヶ月、半年していると
感情が少しずつ芽生えてきました。

感情を感じたり、
表に出すことは怖かったと思います。

不慣れな経験だと思います。

だからこそ犬の存在がありがたいのです。

 

まとめると、感情を回復することは可能です。
感情を回復する時にやれることは山ほどあります。

今回は5つの方法をお伝えしました。

① ポジティブな感情からやる
② 過去の生育歴を聞く
③ サイコドラマ的に表現してみる
④ こどもに出会う
⑤ 遊ぶ

この記事では書きませんでしたが、
感情を感じれるようになる「身体」を
育てることも同時に必須になってきます。

感情をホールドできる身体、
感情を感じれる身体という器を
作るというようなことです。

 

 

ぽむ
あそぶ! 僕の得意なことだ~!

 

山口のぶき
そうだね。カナダで雪が積もったとき、はしゃぎまくってたね~。

 

ぽむ
そうそう。あの時は楽しかったけど、僕の毛にピンポン玉くらいの雪が何個も引っ付いたんだ、笑。

 

山口のぶき
全然、取れなかったよね。歩きにくそうで、見てて微笑ましかったよ~。