センタリングはソマティックなセッションで必須|やり方も解説

 

「センタリング」はカウンセラーにも、クライアントにも必須です。

万人に必要です。

とても大事なことなのに、トラウマセラピー業界、

カウンセリング業界では、ほとんど語られていません。

センタリングとは何なのか?

センタリングの理解と実践方法をお伝えします。

マスターすることで、カウンセラーにとって強力なツールになるでしょう。

 

まずは動画からどうぞ。

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さらに記事で詳しくお伝えしています。

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自分軸というセンタリング

 

センタリングという言葉をあまり聞いたことがない方もおられると思います。あまり簡略化するのは好きではないのですが、丹田(センター)を意識するということです。

センター、体の中心のことです。どんなことでも中心がブレずにしっかりしていると、安定しますよね。中心がしっかりしてると、その周りが柔軟にもなります。

中心とも言えるし、軸とも言えます。昔なつかしの「コマ」をイメージできますでしょうか? 中心の軸を起点にとんでもなく速いスピードで安定してまわってますよね。

まずは、センタリングというのは、「体の中心や軸を意識してみること」と理解してみましょう。

 

 

丹田を意識することで安定した自分を育む

 

スポーツの世界でも、コアとか、センターを意識することは大事です。

相撲の力士は、シコを踏み続けますよね。どっしりしてると安定して、簡単には土俵をわらない。「どしん、どしん!」と四股を踏みしめているのが、「丹田、丹田」みたいに感じます(笑) 重心がどんど下がってくる感じもします。

 

 

ゴルフではどうでしょうか? センターがしっかりしていると、ブレずによく安定した球を打てるようになります。私は普段ゴルフはやりませんが、10代の頃、父親がゴルフの打ちっぱなしに練習に行くので、ついて行ってました。教えてもらってたので、意外に上手です(笑) 丹田を意識すると、まあ、真っ直ぐ飛びます。

書道、華道、武道…. 日本の〇〇道というのも、丹田を重んじてますよね。茶道、お茶をやる先生に、姿勢の悪い先生はいない気がします。猫背の書道家⋯⋯(笑)

動物だってセンターを無意識に「意識」してると思います。サバイバルするという意味で、逃げるのに、狩をするのに、速く走るのに、体のコアが必要で、安定が必要です。

心理カウンセラーだって同じように、センター(コア)が大事なのです。その理由とは⋯⋯

 

 

安心感を与えるカウンセラーになるには?

 

センタリングが大事な理由は、カウンセラーとしての、ありように関係します。軸が安定しているカウンセラーとそうでないカウンセラー、どちらがいいでしょうか?

なんかこのカウンセラー「どっしりしているな」「安定しているな」「安心できそう」そんな印象を与えることができる方がいいですよね。

カウンセリングという仕事は、クライアントのトラウマや感情の「渦」に影響されます。目の前のクライアントが、深い悲しみに浸っていたり、耳が痛くなるような辛い話を聞くこともあります。恐怖や怒りなどの強い感情が出ることもあります。

そんな時に、カウンセラーがいちいち感情的になってブレブレでは、いいセッションが提供できないです。例えて言うなれば、船のイカリみたいなものです。イカリを下ろして置くことで、大きな波が来ても、船は流されることがありません。

大きな波がきて、気づいたら何十キロ沖に流されていた、なんてことは避けたいものです。気が付いたら、感情的にクライアントにどうでもいいアドバイスをしていた、というようなことです。

 

 

クライアントにも必要

 

もちろん、カウンセラーだけがセンタリングするのではなく、クライアントにもいい影響がたくさんあります。フラッシュバックや辛い感情が出ても、中心に意識を持っていることで、今ここに存在できる。

例えて言うなれば、台風の目のようなものです。周りで感情という強烈な風が吹いている。でも、中心はとても静かで穏やかなのです。

 

 

そんな安定した感覚をセンタリングということを練習して自分のものにしてもらうのです。これは、クライアントに大きなギフトとなるのです。トラウマ回復にも役に立ちます。

 

 

センタリングの効果

 

センタリングの効果は沢山あります。気持ちの面では、落ち着く、感情に振り回されない、静寂を感じる、イライラが減った、など。

対人関係でも、いい印象が与えられるようになった、自然体で話ができる、などなど。データをとれば、健康面でも様々ないい影響があると思います。睡眠の質が上がったり、体の使い方が変わって、疲れにくくなったりなど。

 

 

センタリングのやり方

 

センタリングのやり方を書面で伝える難しさはあります。その理由は、体験的なことだからです。でも、頑張って伝えてみます(笑) ただ読むよりは、面倒だけど実際に立ってやってみることをオススメします。

 

1 重力と一つになる

まずは立ってみる。しばらく立ってみて、体全体に意識を向けてみましょう。猫背になってないか、胸を張り過ぎてないか、意識してみましょう。足、丹田、胸、頭頂が1本の線になっているイメージです。

 

2 丹田に意識を向ける

丹田というのはおヘソの下数センチのところです。正確にピンポイントで測定する方法もあるのですが、筋反射テストなどをするので対面でしかお伝えできません。

ただ、あまり細かいことは置いといて、丹田の辺りを意識してみましょう。別に力を入れる必要はないです。ただ、意識を向けるだけです。

 

3 変化に気づく

しばらくそのままで待ってみましょう。「とんでもないことが起こります!」 なんてことはありません(笑) 人によっては少し肩の力が抜けたとか、落ち着いてきたかな、ということがあるかもしれません。

そして、しばらく立っているのもいいですし、丹田を意識しながら、歩いてみるのもいいです。別にあらたまってセンタリングをするぞ! って気合い入れなくても、掃除機をかける時に丹田を意識してみる。

スマホを見ながらセンタリングでもいいのです(笑) 今この記事を読みながら、ちょっとやってみる。信号待ちしている時に意識してみる。そんな日常の中で実践してみてはいかがでしょうか?

 

 

センタリングをカウンセリングで活用する

 

まずはカウンセラー自身が実践してみるのがいいと思います。1回とか2回とかでなくて(笑) 日々の生活でしばらくやってみる。続けてみる。

 

 

そして、発見したり、変化したのであれば、実際のセッションでクライアントさんに提案するのもしやすいですよね。自分自身が実感しているので、説得力も上がるといいますか、自信を持ってご提案できる。

何千人という臨床経験から、トラウマ症状が強くあっても、センター(丹田)を意識しても、害は比較的少ない方です。もちろん例外はあります。なんらかの抵抗や副作用が出る場合もあります。でも、比較的安全な部類の実践にはなります。何も効果を感じない人が、一定数いるというくらいです。

次に、虐待などのトラウマセラピーにおけるセンタリングの活用法についてお伝えします。

 

 

センタリングとトラウマセラピー

 

普段のトラウマサバイバーさんとのカウンセリングでは、センタリングを実践することを促すことがそれなりにあります。中心軸が育っていくと、深いワークをすることができるようになったり、落ち着きや安定が増すことがあります。

実践しても何も感じない、という場合もそれなりにあります。それには様々な要因があります。体を感じることが危険だった過去だった。ずっと感じなくして生きてきた、などです。感じないように、頭で色々考えて生き抜いてこられてるのです。

そんな場合は、諦めずに、ゆっくり気長に実践してみたり、他のソマティックなワークなどで、体を感じることを少しずつやっていきます。末端からやるといいです。手をグーパーグーパーしてみたり、手で手をさすってみたり。もしくは、足を感じてみたり、歩いてみたり。最初は、あまり効果を感じれないかもしれません。

だから、多くの人がやらなくなります。体を感じない年月が長ければ長いほど、それなりに時間がかかるのは仕方のないことだと思います。でも、取り組みやすいことから、セラピストがガイドして一緒に探求していくのです。

 

 

グラウンディングとの相乗効果でブレない自分になる

 

大地に自分を委ねる。足の裏で大地を感じるという「グラウンディング」も、トラウマセラピーでは大事です。支援者もクライアントにもです。

その「グラウンディング」を「センタリング」と同時に実践することも可能ですよね。足の裏を感じながら、丹田であるセンターを意識する。相乗効果でいいと思いますし、多くのクライアントさんとやっています。

 

 

センタリングとマインドフルネス

 

センタリングとマインドフルネスも、実は深い関係があります。トラウマ症状を抱えたクライアントさんは、マインドフルな状態に中々入れないことがあります。マインドフルというは、色々な定義がありますが、落ち着いてる状態、自分を観察できる状態みたいなことです。

自分を感じことや観察することは深いことです。そのことに怖さを覚えることもあるでしょう。これは心の健康度が高い人でもそうです。支援者でもそうです。

マインドフルな状態と言ってるけど、ただ目を閉じているだけとか結構あります(笑) 目は閉じてるけど、頭で考えまくってるとか(笑)

 

 

ただ単にマインドフルネスや瞑想をするよりは、その前の段階としてまずはセンタリングなのです。簡単言うと、丹田を意識して、意識を下の方に持っていく、落ち着いてくる、その状態でマインドフルネス的なことをするから、効果的なのです。

センタリングという剣と…. マインドフルネスという盾が…. ボスをやっつけるのです。自分を守ってくれるのです。冒険を続けられるのです。急にゲームの世界(笑)

 

 

育てる、という意識が大事

 

センタリングと〇〇みたいなことは、山ほどあります。センタリングと呼吸とか….細かいことは置いといて、まず実践してみよう、そう思って頂けたら嬉しいです。

このセンタリングは、じっくり育てていく、という意識が大事です。はい、丹田に意識を向けました。はい、出来ました。みたいなことではないのです(笑)

毎日実践して、数週間で感じること、気づくこともあるだろうし、1年や数年でも違ってくるだろうと思います。私もまだ実践して10数年ですが、1年目と3年目でも違っています。

成長や気づきがあります。10年やるとまた深まっています。20年とか30年とか実践すると、想像もしない世界があると思ってもいます。

長年実践してきて想います、センタリングとは生き方そのものなのかも….