メルマガ読者さん達に頂いた質問にお答えしました。
れーじさんと山口さんの対談形式で進めています。
コンテンツ
質問1〜3に関する動画
動画の補足説明です。
臨床の現場で危険なことしちゃってませんか?
「軽くストレッチしましょう!」「ちょっと、のびしましょう!」
なんて言ってないですか?
虐待サバイバーさんの場合、半数以上は、そんなこと言っちゃダメです。
緩めることが危険だからです。
体を固めて、フリーズさせて、闇を抱えてるのです。
嫌な感情や感覚、トラウマ記憶を閉じ込めてる。
「ストレッチしましょう」危険です。あの、洗剤混ぜるな!くらい危険ですよ!(笑)
ストレッチをして緩めると、ダムが決壊します。
全ての水が一気に流れ出します。下流の村が破壊される。
ソマティックとかやり出すと、体をほぐそうと頑張りますよね。
一緒にストレッチとかやったり。相談者さん、その時は、大丈夫そうに見えるんです。
でもしっかり微細なところを観察(トラッキング)すると、すんごい抵抗されてる。
「ゔっ〜」って反応してる。
そして緩みたくないパーツさんに、ストレッチをさせると⋯⋯やばいよ〜
「何しとんじゃゴラッ!」って思ってるよ。
あとね〜おもろい話があるのよ。
なぜ支援者が「のびしましょう」って言うかわかります?
特にフリーズした人に。
言ってはいけないのに体を固めてる人に、より言ってしまうのです。
それはただ知らない、という理由もあるけど、
もっと多いのが、支援者自身がストレッチしたくなるんです!
フリーズした人、体を固めてる人と一緒にいると、疲れてくる。
支援者自身も固まってくる。そして、ストレッチしたくなる。
で、一緒にストレッチする。だから自分の体と向き合う必要がある。
臨床中もずっと自分の体を感じている必要がある。
でも多くの支援者は、全部の意識が相談者に向いてる。
自分にも向ける必要があるのです。
ま、自分に50% 相談者に50%のように。
ま、2人の間の空間にも向ける必要があるけど20%くらい。
んっ!120%になってもうた(笑)
緩める危険については、この動画でも語っています。
(質問1)10~18歳の方のカウンセリングで大事なことは?
精神科病院の心理士をしています。ときどき10~18歳の方のカウンセリングをします。保護者に連れられることがほとんどです。
過去のいじめ体験や現在進行形の家庭環境の脆弱性に由来するトラウマが伝わってきます。トークセラピーだけでなく、ソマティックなアプローチも取り入れてみてはどうかと思っています。
ポリヴェーガル理論の話も、物語にすれば理解がうながせることもわかりました。しかし実際にセッションをするとなると、成人と同じような方法でいいのかしら?
連れられてきたという経緯から、とりあえず来ている!という感じでワークの説明とか宿題とか伝え方が成人以上にむずかしいです。
まずはリソースからという原則でお会いしていますが、セッションの中身で工夫できることはどんなことがあるでしょうか?
ほかにも保護者のモチベーションの保ち方も工夫があればお聞きしたいです
(質問2)筋弛緩法、緩めることに関して
小、中、高のスクールカウンセラーと心療内科のカウセリングをしています。クライエントさんで、首のこわばりで苦しんでいる方がいます。
その方は仕事などで人と関わると、こわばりが出て呼吸が苦しくなる症状があります。私とのセッションの前半、半年位は趣味の話とか、リソース的な事で良かったんですが。こわばりも特になかったです。
後半、筋弛緩法を試みました。ドクターからはそのことがきっかけでこわばりが出たとは言えないと言われてますが、筋弛緩法でそのような影響が出ると考えられますでしょうか。また、そうであればその後はどのような対応が望ましいでしょうか。
(質問3)ASD、ADHD、軽度知的障害、抑うつ、過食、男性依存、処方箋依存
精神科クリニックで公認心理師をしています。ASD、ADHD、軽度知的障害、抑うつ(シャットダウン気味)、過食、男性依存、処方箋依存の患者さんとのことで困っています。
その患者さんは人に会うときは気分を上げるために、抗うつ剤などの処方薬を自分で調節した量を飲んで出掛けています。
成育歴や家族関係も悪く、友人もいない(学校でいじめにあって、保健室登校していた)ようです。「死にたいと思ったけど…」と、カウンセリングで毎回のように話します。
唯一の楽しみは、たまにクラブへ出かけて踊ることだそうです。今後のカウンセリングを、どう進めていけばいいのかわかりません。その患者さんは低覚醒気味で、話すペースはゆっくりです。傾聴中心ではないですが、特定の心理療法は使っていません。クリニックのデイケアに誘うなどしたけどダメでした。
質問4〜6に関する動画
質問をしてくれた1人は大学4年生。この春から大学院の臨床心理士コース。
まず彼に言いたい。大学生でこのような場で質問くれてたこと、本当にサイコーだよ!
彼には将来の目標があって、しっかりした「心理士になりたい」
だから、「どんな姿勢で大学院生活を送ればいいか?」
「どんな職場に就職すればいいか?」という真剣な質問。
彼はクリスチャンでもあり、信仰心がある人の心の悩みをサポートしたいのです。
私とれーじさんで一生懸命、この質問に答えました。
質問してくれたあなたに、最初に言っておきます。
私とれーじさんは、あなたのことを知りません。
質問の文章しか、わかりません。かなり好き勝手言っちゃってます。
全て間に受けないようにお願いします。
かなり逸脱したことも言っちゃってます。
これは視聴者みんなに言ってると思って頂ければ幸いです。
でも、覚悟して視聴ください。本質的なことを言っています。
あなたの心にブッ刺さるかも(笑)
山口とれーじさんからのオヤジ達からの⋯⋯熱い愛情だと思って頂ければ(笑)
私は大学4年生の時、カナダにいました。
あなたと同じように「こんな心理カウンセラーになりたい!」という夢がありました。
「多くの悩んでる人の力になりたい」と想っていて、必死でしたよ。
だからあなたに、とっても共感しています。
熱く語ったのは、あなたに言ってるようで、若い頃の自分に語ったような気もします。
若い頃、こういうのがもっと聞きたかった。
セラピーのテクニックとか、やり方とか、そんなんばっかりの、この業界。
人間性とか、人生の生き方とか、もっと深いことを先輩から聞きたかったよ。
質問してくれたあなた。あなたのアイデンティティーを揺るがすかも(笑)
あなたの夢を叶えるのに受け止めてほしいです。
少しずつでもいいから。もしくはあまりピンとこないかも。
何度も視聴すると腑に落ちるかも。
もしくは、1年後、3年後、10年後、腑に落ちるかも。先は長い(笑)
とにかく、私もれーじさんもあなたのことを、陰ながら応援してます!
(質問4)開業カウンセラーが医療や地域と連携することについて
私は医療や地域の相談機関をフィールドとしてやってきました。
カウンセリング機関を利用された経緯がある方は少なく、外部のカウンセラーさんと連絡する機会は10回程度でした。
開業カウンセラーさんは自分の見立てと方針で進めていかれるわけですよね。薬物調整がまずは重要な方、生活支援のニーズが高い方は、その手当てをしていかないとカウンセリングを有効に進められないでしょう。
また、各支援機関のとらえ方や対応がバラバラだとなかなか効果的な支援にならないかと思います。そのような様々な領域の支援が必要な方、総合的にアセスメントして支援を調整する必要がある方の場合、どうされているでしょうか。
例えば、主治医と連絡を取り合うとかされるのでしょうか。また、トラウマセラピーという観点でみたら、現状では医療がトラウマへの理解が深まっておらず色々まずいことがあると思います。そんな時、どうされているのですか?または、どう困っておられるでしょうか。
トラウマセラピーという本題とはずれますが、地域連携にまつわることについて、こうされているとか、こういうことが難しいとか、お話しても大丈夫な範囲で教えていただけたらと思います。
(質問5)大学院と将来の仕事への取り組む姿勢とは?
将来のことについて伺いたいと思っています。
現在は〇〇大学心理学科の学部4年で、来年度から同大学の臨床心理学コースの大学院に入り、実習や大学の相談室でのケースが始まります。
卒業後の進路で悩んでいます。私はクリスチャンで、最終的にはキリスト教会という場で必要な心理支援をしたいと考えています。
教会には色々な場で傷ついてきた人、色々な人間関係の問題があります。多様なニーズがありながらも、あまり専門的な心理的支援が行き届いていないのが現状だと分析しています。
なので、クリスチャン向けの心理面接だけでなく、それに対応する牧師のスーパービジョンや自己分析、信徒向けのセミナー等を同じクリスチャンとして提供できるようになりたいと思っています。つまり、ちょっと変わった形ですが、開業したいと考えています。
しかし、その前に独り立ちをするための訓練と実践、自己理解、一緒に学ぶ仲間を作る必要があると感じているので、大学院修了後はしばらく既存の心理職で働きたいと考えています。
上記の目標を踏まえると、次のような条件で働くのが理想かと考えています。
・優れた先輩やスーパーバイザーがいる環境
・なるべく色々な年代、性別、職業や学歴といった背景の人のケースを取れる
・一対一の心理面接だけでなく、スクールカウンセラーや福祉のような面接室外でのやり取りが学べる
・多職種との働き方や関係の取り方を学ぶ
中々これら全てに当てはまる職場を見つけて、またそこで雇われるのは難しいと思うのですが、上記を踏まえて、お二人の考える職場を選ぶポイントやおすすめ、また大学院での勉強の仕方や大切にすること等あれば、教えていただきたいです。
大学院の2年間をボーッと過ごすのではなく、自分の目標に向かって、実力をつけるための時間にしたいと考えています。
(質問6)英語力は心理士に必要なのか?
質問5と同じ人からです。
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英語で書かれた心理学の論文を読んだりメディアを使えたり、必要があれば英語でコンサルテーションを受けたり、セミナーを受講したりするための英語力の基準はどれくらいですか?
またそれを達成するためのヒントやポイントはありますか?英語は得意ではないです。TOEICはReading, Listening730点、Writing, Speaking280点くらいです。
論文を辞書を片手に時間をかけて読んだり、字幕ありの動画を繰り返したりして理解することはできても、その場で会話したり文章で取ったり、日本語の文献と同じくらいのハードルで英語の文献を読むことは難しいです。
お二人は、最先端の情報に触れながら研鑽する臨床家となるために、どれくらいの英語力が必要だと考えますか?働くフィールドは、基本的には日本と考えています。
海外に出た経験がほとんどないので、海外へのコンプレックスのようなものも自分の中にあるのではと感じています。