トラウマを抱えた人には、是非とも回復に取り組んでほしいのです。
それをサポートする支援者も、その取り組みを効果的にやってほしいのです。
その理由は、当事者も、支援者も、得るものが大きいからです。
それをやり続ける人にしか、見えない世界があるのです。
私自身も支援者として多くのことを得ています。サポートしたクライアントさんたちも人生が豊かになっています。
その変化や成長というは、独特でもあり、計り知れないものがあるんです。
なぜそのようなことが起こるのか? スタンフォード大学の博士の知恵もお借りしながら、じっくりお伝えしていきますね。
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なぜトラウマ(PTSD)を克服することに取り組んでほしいのか?
トラウマを解放することに取り組んでほしいのは、生きづらさを抱えたままだと辛いからです。
トラウマを解消して楽に生きてほしい。人生の質を上げてほしいと率直に思います。
でも、そんなことは誰でもそう思ってますよね。
それはそれとして、他に取り組んでほしい理由があるのです。
その理由は、その回復のプロセスを知れば知るほど、幸せに生きるとは? 人生の価値とは? 安心安全の生活とは?
というような人生の大事な質問の答えが垣間見えることがあるからです。
トラウマを「克服した人にしか見えない世界がある」のです。
それは経験した人にしかわからないのです。そこには計り知れないくらいのお宝があると言いますか。回復のプロセスで得るものが沢山あるのです。
もうちょっと説明すると、トラウマを受けてマイナス5になった。トラウマを解消して元のゼロの状態に戻った。ということではないのです。
トラウマという逆境を乗り越えるプロセスには、元の状態に戻るどころか、より進化するのです。
心理カウンセラー(支援者)自身のトラウマ解放にも繋がるから
トラウマを抱えた当事者も、回復のサポートをする支援者も得るものが大きいのです。
クライアントのトラウマ回復を手伝うには、支援者自身のドロドロした部分も解放するきっかけになるのです。
よりよい支援を提供するには、必要なことです。
例えば、支援者自身が母親との関係のテーマがある場合、その部分を解消、解放してないと、セッションの時に同じようなテーマになった時に影響するのです。
支援者がちょっとイライラしたり、クライアントにそれをぶつけたり、そのような話題を無意識に変えてしまったりするのです。
ここでお伝えしたいのが、そのような支援者の回復や成長がしっかり完了してから、臨床が出来るということを言いたいのではないのです。
それを待っていると、一生出来ません。ある程度でいいのです。
例えるなら、支援者自身が回復のプロセスをやり続けて、クライアントのちょっと先を走っているだけのことです。
ずっと走り続けるようなものです。回復の手助けをしながらも、支援者も常に成長させられるのです。
ふたりで一緒にマラソンをするようなものです。支援者が伴走しているだけのことです。
走らずに、座って指示だけしているような支援者は、大きな勘違いしていると思います(笑)
スタンフォード大学の心理学の教授のケリーマクゴニガル博士
先生もPTG(トラウマ後の成長)に関して以下のように言っています。
「トラウマ回復に取り組むと成長がある。これはクライアントだけでなく、支援者もそうなのです。クライアントがトラウマの被害体験を話すと支援者も同じように再体験します。それと同じように、クライアントがトラウマ回復、トラウマ後の成長を果たすと、支援者も同じような影響を受けるのです。」
このことを知って、より支援者とトラウマを抱えた当事者が深く繋がることができるのだと実感させられました。
お互いに影響しあっている。ということは、支援者がしっかりしていれば、導いていくこともできるのだと。
トラウマ回復のプロセスで得られるもの
ここでは、どうすればトラウマから回復出来るのか? ということには触れません。
このブログの他の記事に沢山書いていますので参考にしてくださいね。
トラウマ回復や成長を得られた時に、どのようなものが手に入っているのか? ということを1つずつお伝えしますね。
トラウマ回復に取り組むと「結構いいことあるよ」ということです。
感情と共に生きる
回復したクライアントさんは、様々な感情とうまく付き合えている傾向があります。
カウンセリングを通じて、感情に向き合う機会が何度も何度もあるからでしょう。
トラウマからくる激しい感情は解放しても、普段生活していると感情は自然な形で必ず出てきますよね。
カウンセリングなど受けたことない、いわゆる一般の人と比べて、感情とうまく付き合えているように思います。
一般の人は、感情というものを麻痺させることが多いです。お酒とかスマホ依存とかで。
ちょっと奥に隠れているような感情は、ゆったりと自分に向き合わないと感じ取れないのです。
トラウマ回復をやり切っていくと、日常的な感情に向き合っていくのは、ある意味簡単にできるということです。
感情に振り回されないくなるとも言えます。感情を味方に、人生を歩んでいけるのです。
ソマティックという体の感覚
トラウマを乗り越えるのに、様々な体の感覚を見方につける必要があります。
グラウンディングだの、オリエンティングだの、内側の体の感覚、、、などなど。
回復するのに、体を探求したり、体を見方につける必要があるので、自然と身についているのです。
さっきの感情と共に生きるという部分と同じで、一般の人、平均的な人はソマティックな感覚を探求することはほとんどないのです。
だってそうですよね。その辺の一般の人に「今内側でどんな感覚がありますか?」 なんて聞いても、怪しく思われるだけです(笑)
とにかく、トラウマを乗り越えるためにやるソマティックなプラクティスは、トラウマを乗り越えるだけ出なく、それ以外の良い副産物も得られるということです。
地に足がついていると、仕事もうまくいく可能性が増えます。呼吸に意識が向けられると対人関係が豊かになることもあるでしょう。
だから、トラウマを乗り越えようとする人、支援者も、必然的にソマティックなものに巡り会ったことは、ある意味でラッキーなのです。
認知的な気づき
トラウマを回復する過程で、様々な気づきがあるでしょう。
辛い気づきもあるし、自分の人生観を変えるくらいの素晴らしい気づきもあるでしょう。
自己理解が深まり、他者理解も深まるということもあるでしょう。
そのような多くの認知的な気づきが、人生の生きる知恵になるのだと思います。
昇進やお金という見えるもの
わかりやすい形で、人生がいい方向にいくこともあるでしょう。
仕事で昇進したり、金銭的に恵まれたり。
対人関係でも、いい人との巡り合わせがあったり。
トラウマ回復で得た内面の変革が、自分の外の世界にも波及するということですね。
このような世界を知ったことで、、、
私自身もそうです。支援者として、自分のトラウマやクライアントのトラウマに向き合ってきて、得るものが本当に沢山ありました。
ソマティックな世界に巡り合ったこと、感情に向き合ったこと、大きな気づきが得れたこと、、、これらのことは私自身にとって、とても大きなことです。
私がカウンセラーじゃなく、会社員をやっていたとしても、ソマティックな世界を知りたかったと思います。
そのような世界を知らずに生きていたとしたら、、、たぶん生きづらさを抱えていたでしょう。
というか生きづらさを抱えている、ということ自体もわからずに生きていたかもしれません。
まあ、わからないまま生きているから、それはそれでいいのかもしれませんが(笑)
哲学の世界でよく言われたりしますが、知識的にも、体験的にも「一度知ってしまうと、、、それを知らなかった元の世界には戻れない」ということです。
例えば、一度でも地に足をつけるグラウンディングという概念を知ってしまうと、それを知らなかった世界には戻れないのです。
それくらい何かの知識を得ること、何かを体験することは、私たちにとって大きなことなのでしょう。
そうです! この記事をここまで読んだということは、もう5分前の「知らなかった元の世界」には戻れないのです(笑)
限りある人生だからこそ、必要な本質的な情報や知識だけを取り入れたいですよね。そして、人生を豊かにする体験だけを積んでいきたいですよね。
今まで関わった多くのクライアントさん
トラウマ回復の道中で得られること4つでしたよね。感情に向き合う力、ソマティックな感覚、認知的な知恵、わかりやすい生活の向上。
私のクライアントさんでも多くおられます。トラウマ的な生きづらさを解放するだけでなく、振り返ってみると、これらの4つのことも得ているのです。
トラウマ解放をすればするほど、これらがどんどん育っていくのです。
仕事でどんどん昇進していった人もおられます。
ソマティックなスキルを身につけているから、営業をしても、プレゼンをしても、軸がブレずにしっかり伝わる。
人との関係がどんどんよくなったり。いいパートナーと出会えて幸せになったりも。
感情とうまく付き合えたり、自己理解や他者理解が深まると、人といい関係が気づけますよね。
私のクライアントさんも、よくこのように言われます。
「セラピーを通じてトラウマを解放できたことがよかった。それだけでなく、人生がとても豊かになりました。」
これはとても嬉しいことですよね。
ただここで大事なポイントがあるのです。それは、、、
トラウマを解放するという狭い視点
ただ「トラウマを解放する」という狭い視点で支援をすると、ただトラウマを解放して終わるのです。
トラウマを解放するだけでなく、その人の人生をどのように豊かにするのか?
そういう広い視点で関わらせて頂くからこそ、大きく飛躍できるのです。
もうちょっと言うなら、そういう広い視点を持つからこそ、トラウマの回復がしやすくなるということもあるのです。
トラウマの症状だけをみていても、改善しにくいこともあるでしょう。
トラウマの症状を相手にしているのではなく、「人」ですよね。
医療の世界でもそうですよね。病気をだけをみて、病気だけを治そうとすると、本当の治療ではない。
どこか機械的になってしまう。患者という人、その人のいる環境も含めて、みていく必要があるということです。
まとめ
当事者も支援者も、自分のトラウマに向き合ってみると新たな世界が見えると思いますよ。
ソマティックな世界、感情の世界、気づきが得られる世界を覗いてみませんか?