ソマティック心理と出会ってラクに生きられるようになった訳

 

総合トレーニング参加者の水澤です。

ソマティック心理と出会う前は、自分の身体に対して無頓着でした。

風邪が悪化し発熱するまで動き続ける。

不快でも人との付き合いを続ける。

自分に優しく寄り添うことをしていなかったのです。

でも今はどんどん楽になって、日々を生きています。

それはソマティックセラピーが大きな支えになっているからです。

なぜソマティックが支援者をラクにするのでしょうか?

今日はそのことについて書きたいと思います。

 

ソマティック心理療法の第1印象

 

今からさかのぼること6年前、とある学会に参加していました。

聞きに行った発表内容のキーワードはレジリエンス

当時はストレスから立ち直る力(逆境力)に興味があったのです。

ポリヴェーガル理論で言うところの耐性領域を広げるという発表でした。

テーマは、健康な人のレジリエンスを高める。

簡単に言うと、ソマティック的にリソースを感じようというものでした。

内容とってもよかったです。

先ずは発表者に魅かれました。

発表者は軸が安定していて、落ち着いていたのです。

 

 

ソマティックなトラウマ治療を専門にしているセラピストでした。

共同調整、こんなところでも起きていたのですね。

途中、物理的なハプニングがあったのですが、発表者は終始安定していました。

学会では、過覚醒な状態で受け答えをする人を見ることが時々あります。

ですが、聴衆とのやり取りでもそういう感じはなく、

最後まで穏やかに話していました。

神経系が安定している人といる心地よさを感じた発表でした。

 

 

心地よさを身体で感じる

 

上記の学会で、生まれて初めてリソースワークをやりました。

「心地よさ」に意識を集中するのは初めての体験でした。

何とも言えない安心感、あたたかさを感じて力が抜けたのを今でも覚えています。

それまで言語中心にやってきて、いかに伝えるか、どう分かち合うかだったのに

リソースを思い浮かべて感じるだけでこんな風になるのかと思いました。

当時会っていた生徒たち、クライエントの顔がうかびました。

これは多くの人に伝えたい、そう思いました。

言葉はいらない世界

身体を感じる世界

ソマティックと私の出会いはこんな感じでした。

その後、健康度の高い学生さんやクライエントに伝え始めました。

「先生、昨日、安心できる場所を目を閉じて感じてみたよー。」と報告してくれたり。

なかなかいい感じでした。

一方で、トラウマを抱えた方に対しては心地よさだけではどうにもならない。

どうしたらいいのか、という臨床での葛藤は続いていました。

 

 

身体感覚を意識するようになって生まれた不快感

 

その学会以降、身体で心地よさを感じることができるようになりました。

ところがです、不快感も意識に上がってくることが増えたのです。

相手の緊張感、イライラ、落ち込みがリアルに伝わってくるようになりました。

これ、臨床では役立ちました。

クライエントが部屋に入ってきた時の表情、姿勢、モード

話しているときの肩の上がり方、覚醒レベル、

語られている内容より、非言語情報が教えてくれるものの方が大きかったです。

相手の神経系を読んでいたのですね。

今考えれば、自然な流れです。

 

自分の中の内臓感覚にも敏感になりました。

内臓感覚の例とは、ドキッとした時の心臓がギュッとつかまれる感じや

感動して胸が熱くなる感じです。

カウンセリング中、自分の感覚にも開かれた状態になっていきました。

ですが、プライベートでは不快感がきつくなっていきました。

例えば、夫がイライラし始めたことがすぐ伝わってくる

夫の口調が普通でも、イライラ感がじわっと伝わってくるのです。

 

ポリヴェーガル理論で言うと、神経系が覚醒しているということですね。

つまり、神経系は上の方だと非言語情報が訴えていたのです。

以前だったら意識しなかった矛盾を明確に感じて自分もイライラしてくる。

悪循環です。

子どもに対しても同じでした。

相手の非言語を感じれると、私自身もイライラするようになったのです。

せっかく臨床に役立つことを知ったのに問題が増えてる!

感覚に対してオープンだと、思いがけないところに不具合が生じていました。

 

 

在り方の軸がブレブレだったプライベート

 

仕事ではしっかり意識していても、

プライベートではなぜこんなに自分が出てしまうのか。

クライエントとは、会う時間と場所が限定されていています。

相手は具合が悪い状態という前提もあります。

仕事では肝をすえて会う、という意識が自分にあったようです。

安定を保つように意識していたのですね。

仕事では、センタリングをしっかりしていました。

 

でもプライベートでは軸がないまま、過覚醒になっていたのです。

そうすると、家族の神経系に影響を受けて自分も大きく揺れることになります。

そして、家族も同じように私の神経系の影響を受けまくる。

もちろん、ハッピーな時は相乗効果でいい流れができます。

でも、ネガティブだとお互いにしんどくなります。

学んで理解していても在り方は追いついていない、そんな感じでした。

まだまだ思考優位だったのだと思います。

日々、快と不快をいったりきたりしていました。

(今もそうですけどね)

でもあれから少しずつ、自分の神経系を調整すること重ねてきました。

 

ちなみに、オフィスPomuの総合トレーニングでは

こういう在り方についても1からやっていきます。

トラウマ解放のテクニックだけを学ぶという浅いトレーニングだけではなく、

まさに、「総合」トレーニングです。

あの頃入っていれば、もっと早く軸が安定していただろうと思っています。

 

 

トラウマエネルギーがたまっていると、依存になりやすい

 

健康な大人が周囲のイライラを感じる、くらいならまあOKでしょう。

でも、小さいころから不快の渦にいた人はそれがデフォルトです。

何だか分からない不穏な感じ、が言語化されないまま溜まっています。

これが積もってトラウマエネルギーになります。

クライエントの中に、難しい家族関係の中で

常にイライラや緊張、駆け引きの中で育ったという方がいました。

Aさんとしますね。

生きづらさを色々と抱えていそうでした。

夜も眠れないと言います。

聞いてみると寝る直前までスマホやタブレットが手放せないとのこと。

動画やSNSを見続けて、寝落ちする毎日です。

 

 

私たちは抱えている不快感が大きいほど、それを抑えるためにエネルギーを使います。

Aさんは、トラウマエネルギーを感じないようにしているのだろうと感じました。

だから、ボーっとすることができないのだろうと。

話をしてみると、やはりぼーっとすることを無意識に避けていることが分かりました。

気を抜くと、「イヤな感じ」が上がってくるのです。

「イヤな感じ」というところに、トラウマエネルギーを感じます。

それを感じないためには、手元のスマホはどれだけリソースになることか。

ネットの刺激の強さ、手軽さは、

トラウマエネルギーを抑えるのにうってつけだったのです。

ブルーライトは良くないから寝る前はやめましょうね、なんて簡単に言えません。

(昔なら言っていたかもしれませんが)

このときは、眠りについての心理教育をしつつ

今Aさんが寝る前にしていることはリソースですよね、と話し合いました。

その後、Aさんは他のリソースを少しずつ増やしていきました。

眠る前のことにはそれ以上フォーカスしませんでしたが、

今では携帯を持ったまま眠ることがほとんどなくなっています。

 

 

無自覚の依存もソマティックセラピーで癒していく

 

臨床では、Aさんのようにトラウマエネルギーを抑えるためにエネルギーを使い、

結果エネルギー切れを起こしている方は珍しくありません。

休日、することがないとお酒を飲んでしまうBさん。

(ドクターストップがかかっています)

対人関係がうまくいかなくなると、ひたすら眠り続けるCさん

がむしゃらに夜中まで仕事を続けるDさん

(仕事が好きな訳ではありません)

こういったことを続けていくと、身体が悲鳴を上げます。

そういう私も肩こりや腰痛で「やり過ぎ」に気づくことが多々あります。

今は身体さんの声を素直に受け入れることにしていますが、

私たちは皆トラウマエネルギーを抑えて生きているところがありますよね。

もちろん、そのエネルギーの大きさは人によって違います。

 

トラウマエネルギー、言葉で話し合ったら理解は深まるでしょう。

でも、それ以上は進まなくなるときが来るように思います。

だから、やっぱりソマティックに寄り添っていくことが大事になると感じています。

寄り添って身体が安全を感じる幅が広がってくると、探求できるようになってくる。

その探求の先にあるものが、トラウマ解放だと思っています。

トラウマ解放はセラピーをする側も経験していることは大事だと思っています。

実際にセッションを受けるのもいいですよね。

ちょっとした不快体験だと、ロールプレイングで解消することもあります。

次は私がセッションを受けてみてどうだったか、お伝えしますね。

このセッション、予想外の流れになったので印象深いものとなりました。

 

 

ソマティックなセッションだけど、全ては解放しない!?

 

総合トレーニングでは様々なプログラムがあります。

その中の1つが個別コンサルです。

山口さんから1対1でコンサルを受けることができます。

 

 

副業起業の相談、臨床の相談、自分の悩みを解決するセッションを受けるなど、

どんなことを相談してもいいのです。

私はその時を楽しみにしていました。

起業や臨床の相談もしました。

さらには、プライベートで抱えていたしんどさ、不安を解消したかったのです。

セッションが進んでいき不快感の半分が解放されました。

その次が想定外でした。

不快感の半分は身体の中に降りていったのです。

そして、形を変えてお腹の中にとどまりました。

やっている自分が驚きました。

これがなくなったらどれだけ楽になるかと思っていたのに、

手放さないの!? という感じでした。

とにかく解放すればいい、ということではないことも学びになりました。

 

このセッションを受けてからは、耐性領域がぐっと広がって、

不安とも共存できるようになっていたのです。

生きていると不快な感覚は絶えずやってきますよね。

でも、ソマティックの世界になじむようになると、

快とも不快とも共にいる幅が広がると実感しました。

ソマティック、やればやるほど奥深い世界です。

自分を探求することには終わりがありません。

生涯のパートナーを見つけた感じです。

あなたはソマティックと、どうお付き合いしていますか?