こんにちは。総合トレーニング参加者の水澤です。
今日はソマティックのベースとなるリソースについて。
リソースは安心安全と思いきや危険なこともあるのです!
リソースを一言でいうなら「するめ」です。
噛めば噛むほど味わい深い。
やればやる程、奥深いのがリソースだと思っています。
そんなリソース、3つに分けてお伝えします。
①リソースとは何か
②ネガティブはリソースになるのか?
③臨床でのリソース失敗談
失敗談は反面教師にしていただけたらと思って告白しますね。
コンテンツ
心理臨床でいうリソースとは?
先ずはリソースという言葉に馴染みがない方に説明しますね。
実は私も臨床で使うようになったのはここ数年です。
少し調べてみました。
言葉の意味は、資源、資質、強み、力(能力)
具体的に言うと、気質・能力 興味・関心 特技 好物 etc
ポジティブなことが前提になっています。
ネガティブを感じていることが多いクライエントにとって、リソースは大事。
トラウマを解放する下準備という意味でも大事になります。
カオス的な日常に安らぎを与えてくれるという意味でも。
でも「あなたのリソースは何ですか?」とクライエントに聞いても、
「特にありません」
「思いつきません」
となる場合もあります。
そんな時は、五感を通じて心地よさが増すものって何があると思いますか?
と聞いてみたりもします。
ストレスコーピングもリソースになるのか?
社会に出たばかりの新人さんたちに研修をする時があります。
その時はコーピング(ストレス対処)を考えてもらいます。
そこでもやっぱり五感を使った気分転換、いいですよと言ったりします。
温泉(体感)
マッサージ(体感)
好きな音楽(聴覚)
アロマ(嗅覚)
コーヒー(嗅覚)
夜空を眺める(視覚)
実はこういったコーピングもリソースですよね。
健康度が高いと、こういったものでも上手に使うとそれなりに人生送れる気もします。
でも、ソマティックで言うリソースっても~っと奥深い、ということを日々感じています。
ネガティブなリソースってあるの?
臨床では、重荷を抱えた方たちが来ます。
そうすると、ちょっとしたストレス対処ではなんともならないのです。
こじらせ系リソースを発見したクライエント
相談者Aさん、普段はバイトをしています。
朝、目が覚めてもだるい。気持ちが沈んでいる。
身体が重たい。一日中寝ていたい。
テキパキと動けない自分はダメ、と責める傾向も。
(色々なパーツさんがいそうです)
あるセッションでのこと。
どんな時に心地よさを感じるかを話し合ってリソース探しをしました。
横になって毛布をかぶっていると少しいいみたいなのです。
でも「疲れてもいないのに横になってはダメ」という自分もいるようなのです。
この自分を責める「厳しめのパーツさん」との対話を進めていきました。
そもそも、どうして厳しくなったのか? を探っていきました。
横になられては困る訳があったのです。
そして、ずっとガンバってやってきたことにも気づきました。
厳しめパーツさんへの態度が変わっていったのです。
リソースになったのです。
クライエントはリソースと思っていなかったのです。
支援者の私もリソースとは思っていなかったのです。
でも結果的にリソースになった、そんな話です。
伝わったでしょうか。
この時からAさんの日常の中でエネルギー漏れが起きにくくなりました。
リソースを感じることで、エネルギーは増えます。
なにかあったときに立っていられるようになります。
敵が味方になった感じです。
こんなに心強いことはないですよね。
ソマティックのリソースには、「安定させる」役割も大きいのです。
一般には「悪」となるようなものまでリソースになる
たとえば暴飲や暴食はリソースになるのでしょうか?
許容範囲でしょうか?
リストカット、はどうでしょう?
(ソレってダメなヤツでは…)って思いました?
一般(ソマティック以外)に、逃避的なストレス対処はNGと教えますよね。
実際、私も外部で「ストレスマネジメント研修」をするときはそうお伝えしています。
お酒を飲みすぎたら、身体をこわしますよー。
ギャンブルにはまったら人生破綻しますよー。
ドーパミンなどホルモンなどの点からも説明します。
そして逃避的なものでなく、OKなストレス対処(リソース)を見つけましょうねー、と話します。
そんな風に伝えながら、胸のうちでは「でも逃避的になることあるよね。人間だもの」とも思っています。
やり切れない時どうしてますか?
不安で仕方がないとき
ドーンと落ち込んだとき
私は、しんどさMAXになるとネットフリックスを見まくったりします。
(話題のドラマも一気に見られますからね。)
今日中に片づけなくてはならない書類があるのに…
明日朝イチから仕事なのに…
でも見ちゃう。
依存とリソース、どうやら関係が深そうです。
違う角度から言うと、ネガティブリソースと言っていいかも。
これ以上考えたくない。
これ以上感じたくない。
そんな時もありますよね。
支援者も「依存」、やっています(笑)
でも大きなトラウマを背負っている人は、無自覚なまま行動していることが多いです。
尋常でない距離をジョギングする、
尋常でない量を食べる、
お酒を飲み続ける、
寝続ける、
リストカットする…
一般的なリソースとは真逆のものをリソースとして使っています。
リソース、本当に奥深いです。
トラウマ臨床でのリソース失敗体験
数年前、リソースをやろうとして失敗してしまいました。
あるトラウマを抱えたBさんとのセッション。
初回から数か月経ち、段々と落ち着いてきたころです。
でもその日は少し落ち着かない様子。
身体の調子を聞いて、グラウンディングをしました。
だって、グラウンディングはリソースの中でも安全なもの。
とりあえずグラウンディングをする、が私の中での基本になっていました。
最初はいい感じだったのです。
私は一生懸命トラッキングしながら(※この時点で私に力が入ってしまっています)
Bさんの呼吸や身体の動きを追っていました。
少しして、Bさんが目を開けて言いました。
「嫌な感じがします!」
(ガーン…私の心の声)
「やめましょう。」
その後は日常会話に戻りました。
体を感じると不安になる、この葛藤を教えてくれたのがBさんでした。
申し訳なかったという思いと、もっと慎重に進めようという思いが交錯した日でした。
今回のはグラウンディングに関してでしたが、リソースをやる時に、時々うまくいかないことがありました。
そして、オフィスPomuの総合トレーニングに入って、なぜダメだったのかが明確になりました。
どういう人にやってよくて、どういう人にはダメなのか?
さらにグラウンディングをやるにしても、様々な下準備が必要なこともわかりました。
リソース、ただやればいいってものではないのです。
もっと早くに学んでおきたかった!と思いました。
今回のはグラウンディングに関してでしたが、その他のリソースをやる時にも、それぞれ準備が必要でした。
奥が深い世界を知れてよかったです。
ソマティックセラピーにおけるリソースで学んだ3つのこと
①コーピングもリソースになる
②ネガティブもリソースになる
③リソースやりすぎには注意!
リソースは、感じると安定感が増すもの。
自分にとってもクライエントにとっても大事なもの。
いっけん基礎的でシンプルですが、とっても奥深いものでした。
そう、嚙めば嚙むほど味わい深いスルメです。
あなたはどんなリソースを持っていますか?