トラウマケアやカウンセリングをしていると、
つい「早く核心に触れたい」と思うことがあります。
症状の原因は何だろう。
どこを掘れば変化が起こるのだろう。
でもここで、とても大事なことがあります。
その人、雪山に登る準備できていますか?
ざっくりと言うと、心理セラピーを50セッションやるなら、
最初の25回はリソースなのです。
この記事では、比喩を使ってリソースをわかりやすく解説します。
そして、リソースを活用する1番大事なポイントを後半にお伝えします。
まず動画からどうぞ。
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コンテンツ
リソースとは? トラウマケアで最初に必要な安定化
リソースとは強みや資源という意味です。心と体が心地よいこと。自分を支えてくれてること。
一般的には、まず心の安心感や安全感をイメージされるのではないでしょうか。
でも、リソースはもっと包括的なものなのです。
リソースの種類
沢山あるので、あげればキリがないので、カテゴリーでお伝えしますね。

行動
睡眠、食事、運動、趣味、信仰、瞑想、娯楽
感情感覚
喜び、穏やかさ、安心、幸福感、心地よさ
環境
人、もの、動物、自然、環境
能力
今まで培ってきた経験、スキル、能力
体
センタリング、オリエンティング、グラウンディング、体の使い方、呼吸
パーツ
パーツに寄り添うこと、パーツが必要としてること
最後の、体とパーツという部分がリソースでの肝になってきます。
トラウマを掘る前に、なぜリソースが必要なのか
私はよく、これを雪山に例えます。
クライアントと一緒に、雪山を登るイメージです。
雪山には、寒さがあります。
吹雪があります。
足を取られる場所があります。
時には遭難しそうになることもある。
これがトラウマ領域。
そこへ行くのに、半袖短パン、サンダルでは無理です。
防寒着がいる。水がいる。
地図がいる。休める場所がいる。
一緒に登ってくれる人もいる。
つまり、リソースがいる。
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さらには、登山をするために体力づくりをしますよね。
体を鍛える運動とか。体調管理という意味で、睡眠や食事もそうです。
それらもリソースです。
ほどんどが準備不足
そのような万全な準備をせず、いきなりエベレストに登るのは、自殺行為です。
このような「準備不足」によって、対人支援や心理セラピーで、
相談者がよくなっていかないのです。
それは、短パン、Tシャツ、サンダルで雪山に連れて行っているからです。
さらに、相談者も準備をせずに、薄着で雪山に走っていこうとします。
それを止めるのが支援者です。
トラウマに惹きつけられているのです。
過去の被害体験を何度も話したくなるののです。
そういう話を止めて差し上げるのが支援者の役割です。
トラウマに惹きつけられる人もいるし、トラウマを回避する人もいます。
それに対してもリソースという準備が必要なのです。雪山に行くことが怖い。
でもしっかり準備して練習していけば、雪山も登れるのです。
手をとって優しくガイドするのが支援者です。
リソースとトラウマの関係
この2つの関係は、切っても切り離せないものです。
トラウマを経験したから、そこには大きなリソースがある。
そして、トラウマを解放するにもリソースが必要。
だから、この2つはコインの面裏の関係なのです。
リソースなしに、トラウマから回復することができないのです。
登山道具なしに、雪山は登れません(笑)
そんな中、もっとも大事なこと今からお伝えします。
リソースで大事なポイント
リソースに関して、とても大事な視点があります。それは⋯⋯
人格の解離、離人感、過覚醒、各種依存、パニック、強迫、引きこもり。
これらは治すものではないのです!
じゃあ何なのでしょうか?
全部リソースですよ!
支援者の皆さんへ。声を大にして言います。
「これら全部リソースですよ〜!」

過酷なトラウマを抱えてサバイバルしてきたことがリソースです。
強迫に苦しむ人は、
「強迫的な行動をとってきたことで、今までやってこれた」ということなのです。
過覚醒の人は、
「過覚醒になることで、色々達成して、今のあなたがある」ということ。
だってこのような適応力やリソース、めっちゃかっこいいじゃないですか〜!
つまり、症状はただの邪魔者ではない。
生き延びるために作られたサバイバルの道具であることがある。
私はこれを「サバイバルリソース」と呼んでいます。
サバイバルリソースなのです
辛い環境にいたからこそ、トラウマが激し過ぎたからこそ、
そこには大きなリソースがある。
寒い雪山で、あったか〜いお湯がどれだけありがたいか。
真夏に喉がカラカラで、飲む水がどれほど美味しいか。
体に染み渡たる〜!(笑)
言い換えれば、トラウマを経験したからこそ、培ってきたものがあるのです。
その部分をカウンセラーとクライアントで、一緒に探求していくのです。
この人は今、何によって持ちこたえているのか。
何があると少し戻ってこられるのか。
何があると崩れやすいのか。
何がまだ足りていないのか。
そこを見る。すると支援の景色が変わります。
問題行動に見えていたものが、命を守る工夫に見えてくる。
困った反応に見えていたものが、今までの頑張りに見えてくる。
ここが見えると、支援者の関わり方はかなり変わります。
リソースは難易度が高くて、奥深い
相談者のリソースを育てていくことは、シンプルではないのです。
相談者の状態に合わせてオーダーメイドで作っていくのです。
3つのポイントがあります。
① 相談者によって、リソースの微調整が必要
例えば、ソマティックなリソースであるグラウンディング。
ただ、ボーッと立つだけで感じれる人もいれば、ピンと来ない人もいる。
そういう場合は、その場で足踏みをしてもらったり、
他の提案をしていく必要があります。
決まったやり方では、うまくいきません。
クライアントさん1人1人にカスタマイズするのです。
もちろんその中でも、みえてくるパターンなどもあります。
② リソースは、最適な順番で提供していく
何から実践していくのか、どれくらいのペースでやっていくのか
相談者によって違います。
例えば、一般的に、体に働きかける時は、体の末端からやっていく。
体の中心部は様々な感情の貯蔵庫なので、あまり急にはやらない方がいい。
③ リソースを育てる過程で抵抗が起こる
だから簡単そうにみえて、とても難易度が高いです。
リソースに抵抗するパーツが出てくるのです。
例えば、穏やかに過ごしたい、と思う部分もあれば、
もっと感張って結果を出さなきゃ、と思う部分もある。
だから、落ち着くためのリソース的なワーク(例、深呼吸をする)をしても、
なかなか実践が続かないのです。
まとめると、リソースは難しい。
相談者に合わせてカスタマイズする必要があるし、
最適な順番で提供する必要があるし、
抵抗に寄り添いながらやっていく必要があるのです。
リソースを育てると副作用?
リソースを育てると、トラウマを乗り越えることもそうですが、
それ以外の「いい副作用」があるのです。

ソマティックなリソースを中心にやっていくと、
人生の様々な側面で、よいことがあります。
プレゼンがうまくなった。職場で昇進した。収入が増えた。
人間関係がよくなった。人生が豊かになった。
このようないい影響をよく報告して頂きます。
要するに、リソースを育てることは、トラウマ回復だけに必要なだけでなく、
万人に必要なのです。
大きな恩恵を受けられるのです。
雪山に行くために、準備をしたり、体づくりをし続けたことが、登山を成功させるた。
それだけでなく、現実の社会でも色々うまくいくようになった、みたいなことです。
回復のプロセスをあゆむ
対人支援者のお仕事のほとんどが、このようなリソースを育てることなのです。
自分の体を整えたり、自分の強みを発見したりすることで、心が落ち着いてくる。
でも、それが思った以上に奥深くて、難しいのです。









