男性サバイバーに関する間違った思い込み

 

ぽむ
僕も沢山のサバイバーさんに会ったよ〜。

山口のぶき
そうだね〜。みんなポムのこと大好きだったね〜。

ぽむ
みんな元気かな〜?

 

男性サバイバー(男性の性被害を受けた方)に関する神話

 

以下のことは事実ではないということ

少年、男性は被害者にならない
女性より男性の方が苦痛は少ない

加害者は大体同性愛者である
加害者は女性ではない

大人になって同性愛者になる
大人になって加害者になる 

一つずつみていきましょう。

 

 

(神話)少年、男性は被害者にならない

 

はぁ!? そんなわけないやん!

ということです(笑) 説明はいらないですよね。世界的にも4人に1人の女の子が性被害にあう。6人に1人の少年が性被害にあう。ということで、少年は性被害にあわないというのは、想像しずらいからではないでしょうか?

男性が「する方」で、女性が「される方」みたいな見方。人です。人が人に加害をするのです。性別ばかりに気を取られない方がいいですね。

 

(神話)女性より男性被害者の方が苦痛は少ない

 

そんなわけないやん!

同じパターンで申し訳ない(笑) ここも同じです。男女に囚われないでくださいね。男性もフラバになるし、死にたくなるし、へこむし、対人恐怖になるし。同じ人間です。

 

(神話)加害者はほとんど同性愛者である

 

そんなわけないやん! と言いたいところを、グッと我慢します。もう言うてるけど(笑) 加害者と同性愛者をちゃんと区別しましょう。もちろん加害者の中には同性愛の人もいます。

でも加害者というのは、犯罪者です。加害者は、弱いものを搾取する極悪非道なやつです。加害者はペドフィリアなのです。

 

(神話)性加害者は女性ではない

 

加害者の3分の2は男性です。ということは、3分の1の加害者は女性です。想像しにくいかもしれません。カナダの男性サバイバー支援センター(BCSMSSSA)でも、そのような統計でした。私の過去のクライアントさんの統計でも、3分の1、もしくは4分の1くらいは女性が加害者でした。

もう伝わってきましたよね。男性はどうとか、女性はどうとか、加害者はどうとか….. 人が人に虐待をするのです。日本人はおとなしい、アメリカ人はうるさいとか、〇〇は〇〇ってカテゴライズしたいのは脳の性質です。その方が整理しやすいだけなのです。

 

(神話)少年は大人になって同性愛者になる

 

少年が性被害に遭うと、大人になって同性愛者になるというのは間違いです。性被害に逢うと「性の混乱」が起きると考えた方が分かりやすいです。中には、被害者意識がとても強く、自分を「女性化」することもあります。

自分を弱く感じたり、表現することに慣れてしまっていて、その延長で男性を好きになるかもしれない。自分が女性であれば男性に攻撃されにくいと感じるかもしれない。または、加害者が女性であったため、女性が怖くて、男性だと何となく安心だから男性とお付き合いするかもしれない。

特に、物心つく以前に(10才以下)に性被害に遭うと、どうしても性の困惑が起き易いです。もともと男の子の性は、男性ホルモンなどの力をかりて自然に探求していくものであり、美しいものです。

しかし、その自然な性の探求が行われる前に加害者の歪んだ性を押し付けられると、「性の困惑」がおこる。加害者が男だと、こどもは「こういうものか」と男の子を好きになることを選んでいくかも知れない。だから、少年が性被害にあうと必ず同性愛になるというのは偏見です。

 

 

(神話)被害者は大人になって加害者になる

 

加害者の経歴をみると幼い頃に性被害などの虐待体験があることが多いです。だからと言って、性被害に逢うと大人になって加害者になるという結論にはならない。

小さい頃に性被害を受けると、いわゆる「性化行動」に発展することは多いです。性被害のトラウマによって、何かモゾモゾやイライラして、どう対処していいか分からず同級生や下級生などに触ったりなどの性的な行動で対処するパターンもあります。

施設内などでも性虐待を受けた子供が他の子供にも性的に接したり、性加害をするという性の連鎖なども報告されています。施設にいる10人ぐらいのこどもが色々なこどもに性化行動をし、図に表すと「この子からこの子へ」という矢印でむちゃくちゃになっている状態です。

この事実と、先ほどの「大人になって加害者になる」は一緒ではないです。多くの男性サバイバーは性やセックスは怖いもので、嫌なものと感じる方が多いです。

一部のサバイバーは、この性化行動が後に性依存になり、セックスやマスターベーションを対処行動とすることがあるのも事実。でも加害者になるというように結論づけるのは間違いです。

 

 

女性サバイバーとの違い

 

では性被害において女性と男性ではどのような違いがあるのか。もちろんこれは平均的な傾向性であり、個人差はかなりあります。違いもありますが、性別の前に同じ人なので、共通点の方が多いです。その中でも、少し違うこともある、という点を紹介しますね。

 

少年は性被害を通過儀礼とみなすことがある

男の子の場合(年齢にもよるが)、性被害にあっても通過儀礼とみなすこともあります。つまり、特に加害者が年上のお姉さんだとラッキーな体験で、早くに経験で出来たと解釈したり、周りの男友達からも、そう言われることがあります。

10才以下の男の子の場合などは、通過儀礼とみなすどころか、何が起こっているのか理解不能ですよね。年齢が低ければ低いほど、起こっている性的な虐待の理解が難しくなります。

 

少年は性暴力によって性の混乱が起きやすい

少年の場合、性の混乱が起きます。年齢が低いほど性とは何なのか、ということを加害者に押し付けられます。性的な経験がない年齢の少年にとっては特に、性被害が強烈な影響をもたらします。

実際、3割ぐらいのクライアントでしょうか。自分の性別について時には悩み、自分は男性か女性、どっちが好きなのだろうか? という性的志向に悩んでいる印象があります。

よくクライアントには、性の困惑は自然なことです、と伝えます。男性を時には好きになり、またそのあと女性を好きになったり、自分は女装が好きなのかもしれないなど、自然なことなことなのです。性というものを固定しない考えを持ってもらう。「自分は男性で一生男性を好きになることは絶対にない」などと固着する必要はないのだとクライアントに伝える場合もあります。

そして、色々な愛情の表現の仕方があり、性の志向があって当然なのだという柔軟な考え方にたどり着くことも大事です。

あるクライアントは男性として育ち、20才くらいの頃に女性として生きたいと考えて、35才まで女性として生きて来た。そして、男性も女性も恋愛の対象となった。しかし、35才の時、カウンセリングに来て、「また男性に戻りたいと思ので、そのプロセスをカウンセリングで心理的な部分をサポートしてほしい」と言いました。

あれこれアドバイスするような形ではなく、彼の迷いや、女性をやめる悲しさなどについて話したのを覚えています。

 

男性は性的虐待によって恥の意識が強くなることがある

性的なトラウマというのは、恥という感情が伴うことが多い。女性でもありますが、男性の場合、特に恥の感情が強く出ます。

まずは、男性なのに、少年なのに、被害にあった女々しいやつ、というように恥が出てきます。男なのに抵抗できなかったとか。これは当たり前のことですよね。抵抗なんて出来ない。性的なトラウマでも、そうでないトラウマでも、フリーズすることがよくあるので、体が固まります。

声が出なくなります。そうすると抵抗出来なくて当たり前なのです。だってそうですよね。熊に襲われたら、固まりますよね。ビビりますよね。

もう一つの恥は、性的なトラウマの時、感じてしまうということです。嫌な感じもするけど、時に性的な興奮が出たり、快感を感じることもあります。勘違いしてほしくないのは、性被害は全て痛くて、苦しいばかりではないということ。

苦しい、悲しい、快感、興奮、無力などなど、多くのことが混在するのが性的トラウマです。男性の場合、性器が勃起することがあります。これは自然なことなのです。熱いものを触ったら火傷するように、性的に触られると感じるのも体の自然な反応です。

こういうことを丁寧にクライアントさんに伝える必要があります。感じてしまった自分は汚いとか、おかしいと思っておられる方もいるので。

男性の場合、他にも色々ありますが、この3つの違いによって、とても苦しさを抱えることがあります。当事者や支援者に参考になれば幸いです。

 

ぽむ
男性サバイバー… 犬サバイバー……

山口のぶき
犬サバイバーとは、なんぞや?(笑)

ぽむ
おやつサバイバー(笑)

山口のぶき
おやつで生き延びる〜。